ASI/AGI, マタギドライブのためのいくつかの準備.
先日記事を書いたんだけど長い(8万字)のでまず要約
1.要約
デジタルネイチャー(計算機自然)の概念: AIによる要約は、デジタルネイチャーを「人・モノ・自然・計算機・データが接続され脱構造化された新しい自然」と定義し、落合氏の思想的背景として東洋哲学(老荘思想や禅仏教)を挙げています。これに対し、落合氏は「計算機自然」という言葉で、デジタルとフィジカルの不可分な融合と相互進化を強調します。
脱人間中心HCI: AIは、人間以外の存在との相互作用を重視する新しいHCIの潮流として「脱人間中心HCI」を位置づけ、落合氏はこれを「価値発見工学」として発展させます。特に、「マタギドライブ」という概念は、デジタルネイチャーにおける狩猟採集的な知的生産・創造活動を指し、非線形性と揺らぎを前提とした動的な世界観に基づいています。
ファントムレゾナンス: AIは、デジタルアートにおける超自然表現とデジタルネイチャーとの関連性を指摘し、落合氏は「ファントムレゾナンス」という概念を用いて、AI生成物と人間の感性の共鳴現象を説明します。これは、人間とAIの新たな関係性を示唆する重要な概念です。
オートエスノグラフィーとN=1の当事者研究: AIは、xDiversityプロジェクトを事例として、オートエスノグラフィーとN=1の当事者研究の意義を論じ、落合氏はこれらを「マタギドライブ」を実践する上での強力なツールと位置づけます。
AGI/ASI時代の科学技術: AIは、実験自動化、研究自動化、デジタルツイン、そして計算機自然(デジタルネイチャー)を基盤としたAIによる科学の自動進化という4つのテーマを挙げ、落合氏はこれらを「科学技術のゲームチェンジャー」と呼び、計算機自然(デジタルネイチャー)がその中核を担うと主張します。
2. オリジナリティの深化
落合氏の主張のオリジナリティは、以下の点に集約されます。
計算機自然(デジタルネイチャー): デジタルとフィジカルの融合を、単なる技術的進歩ではなく、自然観そのものの変革として捉え、東洋哲学と西洋哲学を架橋する新たな世界観を提示している点。
価値発見工学としてのHCI: HCIを、ユーザビリティや効率性の追求だけでなく、未知の価値や新たな意味を発見するための「価値発見工学」として再定義している点。
マタギドライブ: デジタルネイチャーにおける知的生産・創造活動を、狩猟採集的なアナロジーで捉え、非線形性や揺らぎ、即興性を重視する新たな研究スタイルを提唱している点。
ファントムレゾナンス: AI生成物と人間の感性の共鳴現象を、単なるノスタルジーではなく、人間とAIの新たな関係性を示唆する現象として捉え、脱人間中心HCIの鍵概念としている点。
オートエスノグラフィーとN=1の当事者研究: これらの方法論を、デジタルネイチャーにおける自己と他者の境界の融解、および新たな知の探求方法として位置づけている点。
3. 推論
落合氏の主張に基づき、以下のような推論が可能です。
デジタルネイチャーは、新たな「魔法の世紀」をもたらす: 計算機自然(デジタルネイチャー)は、現実と仮想の境界を融解し、物理法則や時空間の制約を超越した環境を実現します。これは、アーサー・C・クラークの「高度に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」という言葉を体現する、「魔法の世紀」の到来を予感させます。
マタギドライブは、デジタルネイチャーにおける「野生の思考」である: レヴィ=ストロースの「野生の思考」が、未開社会における具体的かつ直感的な思考様式を指すのに対し、マタギドライブは、デジタルネイチャーにおける非線形性や揺らぎを前提とした、即興的かつ狩猟採集的な知的生産・創造活動を指します。これは、デジタルネイチャーにおける新たな「野生の思考」と言えるでしょう。
ファントムレゾナンスは、人間とAIの共進化を促す: ファントムレゾナンスは、人間とAIの感性の共鳴現象であり、相互に影響を与え合う「感性の循環」を生み出します。これは、人間とAIの共進化を促し、新たな芸術表現や価値創造に繋がる可能性があります。
オートエスノグラフィーとN=1の当事者研究は、デジタルネイチャーにおける新たな倫理観の構築に貢献する: これらの方法論は、個人の経験や価値観を重視することで、従来の人間中心的な倫理観を相対化し、デジタルネイチャーにおける多様な存在者の権利や責任を考慮した新たな倫理観の構築に貢献する可能性があります。
AGI/ASIは、科学的発見の自動化だけでなく、科学そのものの変革をもたらす: AGI/ASIは、計算機自然(デジタルネイチャー)上で自律的に実験やシミュレーションを行い、新たな仮説を生成することで、従来の仮説駆動型の研究から、データ駆動型、さらにはAI駆動型の発見へと、科学的方法論そのものを変革する可能性があります。
4. 良い文章
落合陽一氏が提唱する「デジタルネイチャー」は、単なる技術的進歩ではなく、人間と自然、そしてテクノロジーの関係性を根底から覆す、新たな世界観の提示である。それは、現実と仮想、物質と情報、人間とAIの境界が融解し、相互に作用し、進化する「計算機自然」の到来を告げる、革新的なビジョンだ。
この「計算機自然」におけるHCIは、従来の人間中心主義から脱却し、未知の価値や新たな意味を発見するための「価値発見工学」へと進化する。その鍵となるのが、「マタギドライブ」である。これは、デジタルネイチャーを狩猟採集の場に見立て、非線形性や揺らぎ、即興性を重視した、動的かつ創造的な知的生産・研究スタイルを指す。
「マタギドライブ」を実践する上で、オートエスノグラフィーとN=1の当事者研究は強力なツールとなる。これらの方法論は、個人の経験や価値観を深く掘り下げ、デジタルネイチャーにおける自己と他者の境界の融解、および新たな知の探求を可能にする。また、AI生成物と人間の感性の共鳴現象である「ファントムレゾナンス」は、人間とAIの共進化を促し、新たな芸術表現や価値創造の源泉となる可能性を秘めている。
AGI/ASIの時代には、科学技術は加速度的に進歩し、実験・研究の自動化、そして「計算機自然」を基盤としたAIによる科学の自動進化が実現するだろう。これは、科学的発見の自動化だけでなく、科学そのものの変革をもたらす、「科学技術のゲームチェンジャー」となる。
しかし、この「魔法の世紀」の到来は、同時に倫理的な課題も突きつける。人間とAI、そして多様な存在者が織りなすデジタルネイチャーにおいては、従来の人間中心的な倫理観は通用しない。オートエスノグラフィーとN=1の当事者研究は、個人の経験や価値観を重視することで、デジタルネイチャーにおける多様な存在者の権利や責任を考慮した新たな倫理観の構築に貢献するだろう。
落合氏のビジョンは、単なる未来予測ではなく、我々がどのように生きるべきか、その指針を示している。「マタギドライブ」を羅針盤とし、「ファントムレゾナンス」を触媒として、「計算機自然」という未知の領域を探求することで、人間とAI、そして自然が調和的に共存する、より豊かで持続可能な未来を創造することができる。その先に広がるのは、驚きと発見に満ちた、新たな「魔法の世紀」である。我々は今、その入り口に立っているのだ。
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落合陽一の見ている風景と考えていること
落合陽一が日々見る景色と気になったトピックを写真付きの散文調で書きます.落合陽一が見てる景色や考えてることがわかるエッセイ系写真集(平均で…
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