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フロップスドリブン(FLOPs Driven)について #デジタルネイチャーからマタギドライヴへ

知的貢献が半導体の数とエネルギーの総量で決まるようになる,というのは実にマイニングっぽい話である.マイニングに比べて若干嬉しいのは意味がある感じがすることである.感じがするだけなのがミソである.こんなことを考えてたのは懐かしい.

ニュースザップの最終回だったような

さてFLOPs Drivenの世界はこの境界を突破する.エネルギーと半導体が知性であり,マイニングであり,発見であり,芸術である,という世界は自然崇拝的でないか? ということをここのところ(10年くらい)ずっと考えている.マタギドライブに合わせて,FLOPs Drivenという言葉が降りてきたのは僥倖である.

落合陽一氏は、「デジタルネイチャー」という概念で知られる日本のメディアアーティスト・研究者です。彼の思想は、テクノロジーと自然の融合に焦点を当てています。つまり、**「計算機は自然となり、自然は計算機のようになる」**ということです。このループが、計算機時代の新しい自然を定義しています。

1. 知的貢献と計算資源
落合氏は、「知的貢献が半導体の数とエネルギーの総量で決まるようになる」と述べています。簡単に言うと:半導体:コンピュータのチップなど、現代の電子機器の基本的な構成要素。
エネルギー:これらの電子機器を動かすために必要な電力。
つまり、技術の進歩や知識への貢献は、私たちが持つ計算能力(半導体)とエネルギーにますます依存しているということです。

2. マイニングのアナロジー
彼はこの考えを暗号通貨のマイニングに例えています:マイニング:コンピュータを使って複雑な数学的問題を解き、ブロックチェーン上の取引を検証するプロセス。大量の計算力とエネルギーを必要とします。
「マイニングっぽい話」:知的貢献を大量の計算資源で達成しようとする姿勢が、暗号通貨のマイニングに似ているということです。

3. 意味の錯覚
落合氏は、「マイニングに比べて若干嬉しいのは意味がある感じがすること」と言っています。しかし、「感じがするだけなのがミソ」と続けています。意味がある感じ:マイニングは単に通貨を生み出すだけかもしれませんが、知的な追求は社会に有意義な貢献をしているように感じます。
錯覚:しかし、その「意味」は本当に実在するのか、それとも私たちが作り出した幻想なのかを問いかけています。

4. ノスタルジアと振り返り
彼はこれらの考えを「懐かしい」と表現しています。おそらく、以前からこのテーマについて深く考えてきたことを示しています。具体的には、「ニュースザップの最終回」でこれらの話をした可能性があります。

5. FLOPs Drivenの世界
落合氏は「FLOPs Drivenの世界」という概念を紹介しています:FLOPs(Floating Point Operations per Second):コンピュータの性能を示す指標で、1秒間に実行できる浮動小数点演算の回数。
境界を突破する:FLOPsが主導する世界では、従来の境界(例えば、意味のある知的作業と単なる計算の区別)が曖昧になるということです。

6. エネルギーと半導体が知性と芸術に
彼は、「エネルギーと半導体が知性であり,マイニングであり,発見であり,芸術である」と述べています。概念の融合:私たちが使うツール(エネルギーと半導体)が、その成果物(知性、発見、芸術)と区別できなくなっている。
自然崇拝的な世界:このような世界観は、エネルギーや物質といった基本的な要素を崇拝する「自然崇拝」に似ているのではないかと問いかけています。

7. 10年にわたる思索
彼は、「ここのところ(10年くらい)ずっと考えている」と述べ、これらの考えが長期間にわたって彼の中で重要であることを示しています。

8. 「FLOPs Driven」という言葉の降臨
マタギドライブ」に合わせて、「FLOPs Driven」という言葉が降りてきたのは「僥倖」だと述べています。マタギドライブ:おそらく彼のプロジェクトやコンセプト。
僥倖:思いがけない幸運という意味で、この言葉がタイミングよく思いついたことを喜んでいます。

9. 8年前の考えとのリンク
彼は現在の考えを、8年前の発言と結びつけています。これにより、彼の思考に一貫性があることがわかります。

10. ビットコインのマイニングとDNAのアナロジー
落合氏は、ビットコインのマイニングDNAの連鎖を比較しています:ビットコインのマイニング
SHA256のハッシュ関数に合致する値を総当たりで見つける必要がある。
膨大な計算資源とエネルギーを必要とする。
DNAの連鎖
自然界での生存、交配、交雑の結果としてDNAが連なっていく。
これも複雑でエネルギーを要するプロセス。

11. 困難なプロセスの価値
彼は、人類が「困難な演算や処理を繰り返すことで、それ自体を価値あるものだと信じる」と述べています。アート、ブロックチェーン、DNA:これらはエントロピー(無秩序)の中で最適解を求めた結果であり、それゆえに美しいと感じます。
プログラミングされた感性:私たちはそれらを美しいと思うように「プログラミング」されている、と指摘しています。

12. 情報操作と意味の創出
彼は、「情報をこね回すことで本質的に意味も価値もないものを意味と価値があるように感じることができる」と言っています。意味と価値の付与:情報を操作することで、元々は意味や価値がないものにそれらを与えることができる。
感覚と現実:私たちの情報との関わり方が、この「意味」を創り出しています。

13. デジタルネイチャーと計算機自然
彼の核心的な概念に戻ると:デジタルネイチャー:デジタル世界が私たちの自然環境の不可欠な一部になっているという考え方。
計算機自然:自然そのものを計算や情報処理として理解できるという考え方。
ループ「計算機は自然であり、自然は計算機である」。この相互関係がループを形成し、計算機時代の新しい自然を表しています。

14. 計算機時代の新しい自然
この新しい時代では:境界の曖昧化:デジタルと自然の間の境界がますます曖昧になっています。
価値の再構築:価値や意味は本質的なものではなく、計算的な相互作用を通じて付与されます。
自然崇拝の再考:私たちの崇拝の対象が、従来の自然から計算(エネルギーと半導体)の基本要素へと移行しています。

15. 結論
落合陽一氏は、技術的に進歩した社会における知性、芸術、自然の理解を再考するよう私たちに促しています。デジタルと自然の世界の計算的な基盤を認識することで、彼のような思想家が描く新しい形の「自然」を理解できます。それは、私たちの計算能力によって形作られ、また私たちの計算能力を形作るものです。

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落合陽一が「今」考えていることや「今」見ているものを生の言葉と写真で伝えていくことを第一に考えています.「書籍や他のメディアで伝えきれないものを届けたい」という思いを持って落合陽一が一人で頑張って撮って書いています.マガジン開始から4年以上経ち,購読すると読める過去記事も1200本を越え(1記事あたり3円以下とお得です),マガジンの内容も充実してきました.

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