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天災は忘れた頃にやってくる:トラ彦

弊猫,トラ彦といいまして色んなところに出てきますが,今日は猫のトラ彦でなく寺田寅彦の話.

こういう災害を防ぐには、人間の寿命を十倍か百倍に延ばすか、ただしは地震津浪の週期を十分の一か百分の一に縮めるかすればよい。そうすれば災害はもはや災害でなく五風十雨の亜類となってしまうであろう。しかしそれが出来ない相談であるとすれば、残る唯一の方法は人間がもう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はないであろう

寺田寅彦『地震雑感 津浪と人間:寺田寅彦随筆選集』千葉俊二、細川光洋編、中央公論新社中公文庫〉、2011年7月。ISBN 978-4-12-205511-7

文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を十分に自覚して、そして平生からそれに対する防禦策を講じなければならないはずであるのに、それが一向に出来ていないのはどういう訳であるか。その主なる原因は、畢竟そういう天災が極めて稀にしか起らないで、丁度人間が前車の顚覆を忘れた頃にそろそろ後車を引き出すようになるからであろう

寺田寅彦『地震雑感 津浪と人間:寺田寅彦随筆選集』千葉俊二、細川光洋編、中央公論新社中公文庫〉、2011年7月。ISBN 978-4-12-205511-7

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