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フゴフゴする猫のイビキを聴きながら.猫きのこ遊牧民

 夜のアトリエがひそやかな光に包まれている。オレンジ色のランプシェード越しに、床板に映り込む影は柔らかな輪郭を残し、微弱な揺らめきを漂わせている。小さな窓の外には、深い山形の稜線が闇に沈み、微細な情報菌糸網が地表を覆うように延びている。アトリエの片隅には、IoTによって制御される自動給餌機と自動トイレ、自動給水器が並ぶ。その周囲には数匹の猫がゆったりと動き回り、彼らは人間の手による農耕的ケアを既に超克したかのように見える。人間が糧を手渡さずとも、機械が絶えず食料と快適な環境を供給している。それは、人間がコンピュータに依存する様相を、猫と人間がかつて共有した関係へと反転させるメタファーでもある。

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3,298字
落合陽一が「今」考えていることや「今」見ているものを生の言葉と写真で伝えていくことを第一に考えています.「書籍や他のメディアで伝えきれないものを届けたい」という思いを持って落合陽一が一人で頑張って撮って書いています.マガジン開始から4年以上経ち,購読すると読める過去記事も1200本を越え(1記事あたり3円以下とお得です),マガジンの内容も充実してきました.

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