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私的アジカンアルバムランキング


 俺の青春、みんなの青春、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのアルバムをランク付けしていきます。

 なぜいまするのかといえば、「ぼっち・ざ・ろっく」旋風真っ最中だからですよ。

 ちょっと遅いか。そうですか。ちなみにまだ見てません。30分の話を12回見るのハードル高いんすよ。気が向いたら見ます。

 あとは「プラネットフォークス」が出て1年近く経って、冷静に評価できる段階に入ったのもあります。

 ほんで2月8日に配信された「宿縁」のシングル。「サーフブンガクカマクラ」の続編とされている「日坂ダウンヒル」が収録されてますね。こういうとこも相まって過去作を見つめ直すモチベが高まりました。

 今回取り上げる作品はまずオリジナルアルバム10枚、そして全5枚のEPの中でシングル性の高い「エンパシー」「出町柳パラレルユニバース」を抜いた3枚、全部で13枚とします。それでは早速13位から。




13位 Can't Sleep EP(2018)

 最初に断りを入れておきます。

アジカンに嫌いな作品ありません。

 ある程度キャリアが長く、作品を多く発表してるアーティストで、"嫌い"とまではいかなくても、退屈に感じるものが一個もないアーティストって多分他にいないですね。僕の心の中心であるミスチルや、海外のアーティストで最も好きなレディヘですら、通しで聴けないアルバムはあります。

 何を言いたいかというと、最下位とはいえ本作も好きなんですよ。ただまあEPなのでボリュームが足りなくてどうしても他のフルアルバムに屈するところはあります。

 ただ悪いところといえばそれくらいしか思い付きません。同年にリリースされた「ホームタウン」から分かるように、当時の彼らは録音は面で充実していました。なので、かなり出音がダイナミックに聴こえてきます。低音が前に出た位相は個人的な趣味で好きなのですが、抜けのよいドラムの音や、強く歪みつつ明確に聴き分けられるツインギターの音質の良さは間違いなく2018年の彼ら独自のものです。

 特にお気に入りなのが「イエロー」。山ちゃん作曲山ちゃんボーカルの曲ですね。アジカンらしい疾走感あるエイトビートに乗せて、上記のような分厚く心地よいバンドアンサンブルを鳴らした隠れた名曲です。


12位 崩壊アンプリファー(2002)

 EPが続きます。今回取り上げた中で最も古い作品。世のそういった作品たちの例に漏れず、青さが滲み出た初期衝動溢れる作品です。

 アジカンのレビューをする際には何度も使うことになり頭を悩ませてしまうワード "疾走感" が本作を表す最も端的な表現でしょう。荒削りでラウドな音像は、彼らの敬愛するNUMBER GIRLの影響を感じます。この点も通底する焦燥感の生む要因なのでしょうか。ゴッチのボーカルが裏返っているところさえあったりなど、随所に見える若々しさ。20代になったいま聴くと胸が締め付けられるような感覚を覚えます。中学のうちにアジカンと出会っていてよかった。ありがとう兄貴。

 ただ、未熟なイメージを持たれるかもしれませんが、彼らの代表曲と呼ぶにふさわしい「遥か彼方」をこの時点で作り上げているあたりポテンシャルの高さを窺わせます。

「羅針盤」ではサビのメロディで高音を用いないことで逆説的にカタルシスを生む構成に巧みさを感じますね。ファン人気も非常に高い曲です。



11位 ランドマーク(2012)

 ミスチルしかりスピッツしかりピロウズしかり、2011〜2013あたりの邦楽は震災から感化された作品が多いですが、これも例に漏れずそういった作品です。

 少々左寄りの思想を持つゴッチなので、当時の日本の行動を揶揄する皮肉めいた歌詞が非常に多いですね。「それではまた明日」のCメロなんかはゴッチの怒りが露わになっています。

 アジカンのそういう側面は僕嫌いじゃないです。作家性を込めに込めた歌詞にはある意味で誠意を感じますし、そもそも音さえ気持ちよければいいので。

 で、肝心の音はどんな感じかというと、一言で言うなれば "カラフルサイケデリック" 。耽美的ですが「ファンクラブ」のそれとは違い、毒毒しいサウンドプロダクションがディスコグラフィーの中で異彩を放ちます。「N2」「AとZ」「マシンガンと形容詞」などのリバーブの深い曲はその顕著な例と言えます。

 「マジックディスク」を経て大きく広がった音楽の幅が功を奏した「バイシクルレース」が個人的なハイライト。電子音を交えた緻密なアンサンブルが徐々に広がって壮大な音景色を見せる、アジカンの新境地を垣間見ることができる名曲です。

 個人的には、初めて参加したライブが「ホームタウン」のツアーだったこともあり、当時アコースティックver. で披露された「大洋航路」には愛着を持っています。ゴッチらしい面白い節回しが心地良い、隠れた名曲。

 総評すると、初めて聴くには少しエグ味が強いかなとは思います。ゴッチの髪型の迷走も含めキャリアの転換期の一作でした。


10位 プラネットフォークス(2022)

 はい、最新作この位置です。なんだかんだで2022年で一番聴いた新譜でしたね。ツアーも参加させてもらって。そろそろこのアルバムに対する印象が定まってきました。

 年間ベスト記事でも本作を取り上げているので是非。

 で、定まった本作の印象はというと、「キャリアの上半分にはこないかな〜」ぐらいに落ち着きました。

 上記の記事でも語っているのですが、録音した曲ごとに3,4年も開きがあるとどうしても散漫な印象になってしまいます。「解放区」「Dororo」、単体では大好きな曲たちですが、本作で初めて発表されたアルバム曲と並べて違和感が出るのは仕方がないかなと。このへんはメンバーも苦労したみたいですね。

 年間ベスト記事で語っているので詳細は省きますが、音楽性やメッセージ性もかなり気合が入っています。ですが、同年の「出町柳パラレルユニバース」がかなり力の抜けた、原点回帰的作品ですごく好きだったので、本作はちょっと肩に力入りすぎたかなーと思います。

 ただ、曲単体で見るとキャリアでもトップクラスに好きなものがあります。「You To You feat. ROTH BART BARON」「エンパシー」なんかがそうで、音楽性を広げ、間口を広げ、バンドの可能性を広げようとした本作の成果は間違いなく有ったと感じさせられます。


9位 サーフ ブンガク カマクラ(2008)

 アジカンの "肩の力が抜けた" 傑作といえば本作。江ノ島電鉄に合わせたコンセプトは周知の通りですが、録音がアナログでほぼ一発通りで尚且つ練習も禁止だったとのこと。「鵠沼サーフ」のブリッジの部分なんか成立してるようにみえて結構メチャクチャです。本作のラフな質感はこういうところから生み出されているわけですね。

 敢えてここでジャンルの話をすると、本作はパワーポップ色の強い作品です。シンプルなビートにパワフルなバンドサウンド、ポップなメロディ。これがパワーポップの特徴ですが、まさにアジカンの得意分野ですよ。スピッツフォロワーとしての一面を感じますが、こういった点と先述のラフさの相性も素晴らしいです。

 直近の「出町柳〜」や「日坂ダウンヒル」も同じような良さがありましたね。

 パワーポップ的な魅力を語ってきましたが、「腰越クライベイビー」「由比ヶ浜カイト」「鎌倉グッドバイ」などの曲に色濃い、鎌倉の情景を思い起こさせるようなエモーショナルな一面も本作の素晴らしい点ですね。というか、この二面性がアジカンの最たる魅力なのですが。


8位 Wonder Future(2015)

 ホワイトアルバムを彷彿とさせる簡素なデザインのジャケットとは裏腹に、内容はラウドで分厚くて肉体的なロックンロール。前作までの音楽的拡張を目指す動きとは逆の、ある意味回帰的なムーブメントを行なったことを示す一枚。

 ただ、ラウドとはいってもキャリア初期のNUMBER GIRLやeastern youthの影響下にある焦燥的なそれとは異なり、むしろ洋楽的な、ドライでアメリカ的なラウドロックです。

 このような印象を抱くのも必然で、本作のレコーディングが行われたのがStudio 606という、Foo Fightersのプライベートスタジオなんですね。そういうこともあって、本作はよく「音が良い」なんて言われますが、とくにそれを感じるのがキヨシのドラムです。「ボンゾか!?」ってぐらいの大迫力。

 個人的に好きな曲を挙げるとすれば「Little Lennon / 小さなレノン」「Signal on the Street / 街頭のシグナル」「Opera Grasses / オペラグラス」あたりでしょうか。一つ目はそれこそホームタウンツアーで印象的だった曲ですが、3つ目の曲なんかはかなり展開が面白い曲。メロディが秀逸なので、それも合わせて中毒性が高いです。


7位 君繋ファイブエム(2003)

 邦ロックファンから絶大な支持を誇る彼らの1stフルアルバム。「未来の破片」「アンダースタンド」「君という花」など、00年代前半の邦ロックアンセムが詰まっています。本作に出会ったのは中学3年生のときでしたが、Linkin ParkやFACTなどと共に当時は狂ったように聴いてました。懐かしいなあ。

 音楽性は「崩壊アンプリファー」から1年弱で著しい進化を遂げています。端的に言えば、先述の "二面性" の獲得ですね。疾走感と同居する耽美性が本作で花開いています。ファン人気の高い「無限グライダー」「ノーネーム」ではそういった面を多分に感じることができます。

 去年のツアーでやった「電波塔」も久々に聴くととても響きましたね。中学時代を思い出すと同時に、音源から20年経って変化した現在のアジカンの演奏を感慨深く体験しました。

 横道逸れましたが、少年少女たちは一曲目「フラッシュバック」のイントロでブッ飛べます。日本の全ての中学生が聴くべき名盤。


番外編
フィードバックファイル(2006)

フィードバックファイル2(2014)


 アルバム未収録曲集ということで今回順位づけの対象からは除外した2作ですが、仮に順位をつける場合、2枚ともここらへんの位置に来ます。

大好きです。この2枚。

 前者はアジカンが最も勢いに乗っていた時期の曲を集めているということで、カップリングの曲も強力。あと僕が初めて聴いたアジカンの作品なので愛着が強いです。とくに好きなのは「エントランス」「ロードムービー」「堂々巡りの夜」「永遠に」

 忘れてはいけないのが後半のライブ音源たち。当時の熱狂を感じることができる最高の5曲です。

 前者と違い収録している曲の範囲が8年とだいぶ広い後者ですが、こちらもめちゃくちゃ質高いですね。「十二進法の夕景」はファン人気のかなり高い曲です。「夜を越えて」「今を生きて」なんかは現在でもライブでの重要なレパートリーです。 

 こちらの方では「夏蝉」「夜のコール」「ひかり」あたりがお気に入り。

 二作とも未収録曲集という性質ゆえ流れで聴くようなものではありませんが、アジカンを掘るならば避けて通れない、名曲揃いの聴き応えある作品です。

 ということで番外編でした。


6位 ソルファ(2004)

 出ました。大人気2ndアルバム。「邦楽名盤ランキング」みたいな企画があるとアジカンから選ばれるのは大体これですね。知名度セールス評価ともに代表作と呼んで差し支えない作品です。

 まず始まりがカッコ良すぎますよねこのアルバム。初めて「振動覚」のイントロを聴いた瞬間覚えてますもん。ゲオでCD借りて父親の車の中で流したんですけど、衝撃でしたね。

 そして続くのが「リライト」「君の街まで」なんで名盤扱いされるのも納得です。

 なんですけどこのアルバム中学のときに聴きすぎてちょっと飽きちゃったんですよね。今になってよく聴く曲は「マイワールド」「24時」あたり。

 聴き飽きたって言いましたけど、改めて聴くとやっぱり凄い。アジカン・センセーションの原因になるのも納得。なんですけど、それでもこの順位においたのは本作が最高傑作として扱われている現状への僕なりのアンチテーゼです。これについては後ほど。


5位 マジックディスク(2010)

 アルバムごとに大きく色を変えてきたアジカンですが、最も大きな転換点と言えるのが本作でしょう。キャリアで初めてラップ的歌唱を組み込んだ開幕「新世紀のラブソング」にもそれは顕著です。「架空生物のブルース」では珍しくストリングスを取り入れ、歌詞ではセックスについて歌うというアジカンのキャリアでもかなり異色の曲。またHip-Hopぽい節回しは「さよならロストジェネレイション」「イエス」にも見られます。

 前作が4人の音、1発録りのパワーポップアルバム「サーフ〜」だったことを考えると、リアルタイムで体験したファンにとってはかなり新鮮だったのではないかと思います。それまでのアジカンに無かった要素が入った曲たちはかなり中毒性が高く本作に出会った当時はヘビロテしてました。

 ただ、今までずっと聴いてる曲は「イエス」「マジックディスク」「ラストダンスは悲しみを乗せて」などの、一見アジカンらしい疾走感ソングなんですよね。ただこれらの楽曲群、よくよく聴いてみるとやはり本作を転換点たらしめるピースになっています。

「イエス」はちょこっと触れましたが歌うと気持ちいい曲ですね。歌詞を見ながら聴くと種明かしみたいで楽しいです。

「マジックディスク」はリズムが独特で、ギターのストロークの刻み方もあんまり無い感じです。エフェクティブで空間的な間奏も新しい。だからこそ、シンプルなサビが映える。

「ラストダンス〜」はアフリカンなビートが下で鳴っています。ポコポコ聴こえるアレですね。最後の "I love you" 連呼も他の曲にはない素直さを感じます。"反吐が出る でも溢れ出して" という捻くれた言葉と並ぶと余計に初心さが。

 ということで「マジックディスク」でした。10年代の幕開けということでこの後に広がる音楽性の萌芽とも言える重要作は必聴です。


4位 未だ見ぬ明日に(2008)

 このランキングにEPを含めた理由が本作です。同年のフルアルバム「ワールドワールドワールド」のコンセプトに合わなかった同時期の曲たちが収録された全6曲、全部最高

 「脈打つ生命」アジカンは1曲目で一気に引き込むのが上手なバンドですね。この時期には珍しいほど、デビュー時のような青く真っ直ぐなラウドロックナンバー。

 続く「サイエンスフィクション」。珍しくゴッチがアコギを弾いています。サビの突き抜けるようなメロディと合わせて爽快、しかしシニカルな2008年の彼ららしい佳曲。

 「ムスタング」は恐らく僕の人生で一番再生回数の多い曲です。形容する言葉が思い浮かびませんがアジカンが辿り着いた一つの到達点であるとだけ。

 4曲目「深呼吸」。「マジックディスク」に通ずるような空間的なギターサウンドが酩酊感を覚えさせる儚くも美しいミドルテンポのナンバー。

 続くお得意のパワーポップ「融雪」ですが、冬の終わりの季節感が郷愁を生みます。ギターのキタケンが作成者にクレジットされていますが、彼の秀でたメロディセンスが垣間見えます。

 ラストはタイトルナンバー「未だ見ぬ明日に」。今のフェイバリットはこの曲。メロディも、歌詞も、バンドアンサンブルも全てが一級品。タイアップがついてたら代表曲の一つに数えられてたのではと思ってしまいます。

 6曲のみなので全て触れましたが、EPだと侮ることなかれ、凄まじい完成度です。2007,2008年の彼らがいかに冴えていたかを思い知らされます。


3位 ホームタウン(2018)

 10年台以降最高位は「ホームタウン」。「Can't Sleep EP」項でも語りましたがこの時期の録音めちゃくちゃカッコいいですね。この点、改めて触れておきます。

 個人的な話をすると、こちらも前述しましたが初めてのアジカンライブが本作のツアーでして。実は音源が出た当時はあまりピンと来てなかったんですけど、生で聴いて一気に魅力が理解できましたね。一つ一つの出音に快感を覚えるようになって、あとはジャケットが象徴する "真夜中の街" 的な空気感と。今の今までそうやって楽しんでます。

 そういう楽しみ方をしているので、曲単体で聴くことは少ないです。飽くまで10曲で一つの完成品というか。そのなかでも強力な曲を挙げるとすれば、まず1曲目「クロックワーク」。こういう始まり方は本作だけですよね。ライブでも1曲目でしたがハッキリ思い出せます。凄かった。

 あとキラーチューンとして「荒野を歩け」は外せません。近年のアジカンでは一二を争う有名曲。

 個人的には「モータープール」の本作を象徴するような "真夜中感" が堪らないですね。

月夜の雲に 目を合わせて追えば
遠く旅客機が 空をすり抜けて
流れる星を躱すんだ
どこまで行くんだろう

モータープール/ASIAN KUNG-FU GENERATION

 トップクラスに好きな一節です。

 00年代を最後にアジカンから離れた人とかいたらこのアルバム聴いたらきっと戻ってきたくなりますよ。もっと評価されるべきアルバムだと思います。


2位 ワールドワールドワールド(2008)

 絶好調2008年リリースで最後に取り上げるのがこの4thアルバム。こちらも夜に聴くべき作品です。というのも、全編で日が沈んでから昇るまでを表すコンセプトアルバムなんですね。開幕のインストの表題曲が日の入りのメタファーといった感じでしょうか。なので、流れがよいというのが本作の魅力の一つなんですけど、恐ろしいのはそれを構成するほとんどの曲がシングル級に強力なんですよ。

 まず本当のシングル曲3つは言わずもがな素晴らしいですね。「アフターダーク」はこれまた疾走感溢れるアジカンの王道。「転がる岩、君に朝が降る」「或る街の群青」はキャリアを通しても最高クラスのシングル曲でしょう。歪んだギターの轟音を鳴らしつつも、ここまで耽美的に響かせられるというところがアジカンが唯一無二のバンドたる所以ですね。

 あとは先述の表題曲と、ブリッジ的な役割の「ワールドワールド」を除けば全てがシングル曲でも違和感がありません。
 個人的なハイライトをなんとかまとめると、まずシームレスに繋がる「旅立つ君へ」「ネオテニー」。それぞれ単体でも大好きなんですけど、全く毛色の違う2曲をこうもオシャレに繋がられると脱帽です。
 あとは「トラべログ」の間奏。開放感がサイコーです。さきほどの「モータープール」じゃないですけど、個人的には広々とした夜空と縞々の雲の風景を思い浮かべます。
「ナイトダイビング」も秀逸な曲です。ヴァース・コーラス・ブリッジの構成なんですけど、最後にブリッジが重なりつつヴァースに戻るんですよね。そこが超気持ちいいです。聴いたことない人は何言ってるか分かんないでしょうけど聴いてみりゃ分かります。
「惑星」もよく言われますがシングルでいいですよね。メッセージ性は少々強いですが、どこをとっても非の打ちどころのない名曲です。

 13曲もあるので流石に全曲に触れると長くなりすぎますけど、個人的には1st,2ndとの評価は逆転して然るべきだと思っています。その点は次の1位でも。


1位 ファンクラブ(2006)

 ということで1位は「ファンクラブ」です。おそらく不動ですね。こちらも別記事にて取り上げているので是非。

 この自己紹介のときも少し語りましたが、アジカンの本当の魅力はどこなのかという話。僕がこの記事を通して伝えたいことはまさにそこで、ファンだからこそ現状の評論と実態の乖離を感じるんですよね。

 アジカンの魅力として注目されがちなのはどうしても、彼らの最も脂が乗っていた時期(1st,2nd)が象徴する "疾走感" です。
 もちろん彼らのそういった一面は、僕が彼らの音楽を愛する理由の一つであり否定するものではありません。しかし、それに同居する耽美的な音像やフレージングへの注目はやはり今の彼らに対する評論において不足しています。なので本記事でも、"耽美" という言葉を度々用いました。結局のところこの2つを高いレベルで同時に演出している点がアジカンの素晴らしさなんですけど、1st,2ndの名前ばかりが挙がってそれ以降の名前を見ない理由は前者への偏重が理由でしょう。「ソルファ」項で話した "アンチテーゼ" とはまさにこのことで、後者の要素が最も強い本作を一位にしたのは現状の評論へのカウンターを意味しています。もちろんふつーに1番好きなアルバムなんですが。

 そのうえで一曲取り上げたいのが「バタフライ」。まさに耽美的といえる、単純なギターリフによって疾走感が映えます。曲構成として静と動の塩梅も素晴らしい。初期のアジカンにはあり得ないほど暗い曲だからこそ、より注目されるべき彼らの魅力を感じることができます。

 ここでちょっとテーマが大きくなっちゃうんですけど、アジカンでいう "ソルファばっかりよく見る現象" みたいな、アーティストのセンセーショナルだった時代の作品ばかりが取り上げられることってよくあるよなーと思います。ミスチルだったら「深海」GRAPEVINEだったら「Lifetime」ミッシェルだと「ギヤ・ブルーズ」ブランキーだと「C.B. Jim」…みたいな。
 内容をよく知るファンだからこそ、アッチの方が良くね?みたいに言えますが、そういう声はファンコミュニティの外までは中々届きませんよね。
 そういう、"不当" は言い過ぎですけど『本当に合ってるのかコレ?』みたいな作品への一極集中はちょっとずつ是正されていったらいいなーと思います。この記事もそういった試みの小さな小さな一つです。

 個人的には新たなアーティストに触れるときは代表作とされているもの一つ聴いて判断するのは控えようと改めて思っているところです。














 えー、いかがでしたでしょうか。

 最後ちょっと思想出ちゃいましたが書きたいこと書けました。

 そういえばランキングがメインの記事だったので気楽に読んでもらえたなら幸いです。アジカン入門の参考にするって方には一言。全部聴け。





それではまた明日😉



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