商標マーク®︎のあるロゴ制作で気をつけたいこと
サイズ/位置/フォントに規定がなく、自由すぎて困ってしまう商標マーク。
今回は、商標マークの分析結果とその考察ポイントを共有します。
考察結果
「商標マークは権利侵害のリスクを減らすための表示なので 、極端に大きく表現する必要はない」
商標マークもロゴの一部として表示することを意識する
アプリケーション展開など、使用用途によっては必ず表示する必要はない
商標マークの有/無を使い分ける場合、ガイドラインでも予め規定しておく
シンボルとワードマークにそれぞれ商標マークを使用する場合、近接した明確な位置にする
Webでの本文中の表記は、文字化けリスクのある場合はフォントを指定する(右付/上付文字など表記統一も確認する)
ここからは考察結果の詳細を話していきます。
まずは、それぞれのマークの役割について解説します。
|商標マーク(®︎/©︎/TM)とは
▼Rマーク
Rマークは、Registered Trademark(商標登録済)の頭文字をとった略称です。ロゴが「商標登録済」であることを示しています。
▼TMマーク
Trademark(商標)の意味です。
Rマークは商標登録済のロゴに使用可ですが、TMマークは商標出願中、もしくは出願の有無を問わず自由につけることができます。
▼Cマーク
Cマークは、その制作物にCopyright(著作権)があることを示しています。このマークは出願手続きは特になく、著作物と認められるものが制作されたと同時に発生するものです。
|ロゴ制作時に気を付けたいポイント
1、サイズ比率について
比率の規定はありません。
各ブランドの事例から、ロゴ/マークのサイズ比率を見てみましょう。
▼シンボルマークがあるロゴの場合
シンボルの高さ(a)に対し、マークが0.05〜0.1aほどの比率が多いようです。
続いて、ワードマークロゴはどうでしょう。
▼ワードマークロゴの場合
こちらは、ワードマークの高さ(a)に対して0.1〜0.15aほどの比率が多いです。
明確なルールはありませんが、おおよそのサイズ感は似ているようです。
サイズ比率の検証結果まとめ
最小/最大サイズで印象が結構変わりますね。
そのほかに、大手企業のロゴでも商標マークをかなり小さく表示している例がありましたので、紹介しておきます。
もう、ほぼ見えません。笑
マークはあくまでも権利侵害を防ぐための表示なので、「ついていればOK」と割り切った表示にしていますね。
このあたりは、下記内容によっても変わってきそうです。
・ロゴの世界観を損わずにロゴを表現したい
・サイズの影響を受ける場所に使用しない(印刷表現など)
2、表示有無の使い分け
「Mountain Equipment Company®︎」の場合、印刷サイズが小さいものや看板表示など、用途やツールによって表示しない規定を定めています。
このような場合、制作者によって表示基準がブレないように
スタイルガイドラインで規定しておくのが良いでしょう。
3、フォントについて
商標マークのフォントも明確な規定はなく、自由に選択することが可能です。
しかし、マークの存在は認知できても視認性/再現性が低いフォントでは意味が伝わりにくいです。
可読性/視認性に優れたゴシック体を選ぶと良いでしょう。
4、配置する場所について
商標マークの位置は基本的に自由です。
上に示した例では、ロゴの世界観を損なわないような配置の工夫がされています。
たとえば、「Kroger」は"og"が顔のモチーフになっており、"g"の横にマークを置くことで視覚誘導の役割にもなっています。
「PAPA JOHNS」もロゴの流線形のデザインを損なわないように、ラインを意識した配置にしています。
デザインの個性に合わせて、配置も工夫してみましょう。
5、商標が複数存在する場合について
上記のように、シンボル/ワードマークそれぞれに商標が存在する場合、
どちらに対する商標なのか明確に配置しておく必要があります。
また、複数使用でマーク同士が干渉しないような設計もしておくと良いでしょう。
|リブランディングで商標マークも見直した例
2021年にVIを刷新した「プリングルス」は、ロゴの要素(輪郭線や色数)を減らし、よりフラットな表現に変更しました。
その際、視覚的な強さを和らげるために、Rマークのサイズもひと回り小さく設計しました。
2019年に楕円形の横幅を縮めたIKEAのリブランディングでは、Rマークをシンボルの中に入れて表示にしています。
これは、ロゴを運用する際の「アイソレーション(不可侵領域)」を意識した改善です。
アイソレーション規定とは、「ロゴの上下左右から一定スペースに他の要素を配置することを禁止した規定」のこと。
不可侵領域(ピンク部分)をみてみると、beforeはAfterのロゴに比べて右に大きく膨らんで、スペースをとってしまっていることがわかります。
IKEAは扱う商品数や情報量が膨大なため、カタログやサイトヘッダーなど、ロゴの省スペース化は運用上、必要な観点になってきます。
このような設計は、他の企業ブランドも意識的にやっているようです。
デザイナーが商標マークをつける際に間違えやすいポイントがあります。
それは、アイソレーション規定を守るためにロゴから離れた場所に商標マークを置いてしまうことです。
(アイソレーション規定は、商標マークの配置に対しては適用されません)
商標マークはあくまでもロゴの一部なので、できる限りロゴの内側にマークを組み込み省スペース化し、狭いスペースでも運用しやすいロゴ制作を目指してみましょう。
まとめ | 押さえたいポイント
最後に、改めて制作時のポイントを振り返ってみましょう。
商標マークは、あくまでも権利侵害のリスクを減らすための表示なので、極端に大きく表現しなくても良い
商標マークもロゴの一部として表示する
アプリケーション展開など、使用用途によっては表示しなくてもよい
商標マークの有/無を使い分ける場合、ガイドラインでも規定しておく
シンボルとワードマークにそれぞれ商標マークを使用する場合、明確な位置にする
以上、ロゴ制作で商標登録マークをつける時、
気をつけたいポイントでした!
b.labo