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本能寺の変と私

シリーズ「明智光秀の謎」①~⑥のまとめです。

本能寺の変について私が強い関心を持つようになったのは、A氏に貶められた事がきっかけだった。

Aによって嘘を広められ、自分が危うい立場になっているのを知った時には、私が何を言っても周囲に言い訳としか受け取ってもらえない状況になっていた。そして私には真実を伝える機会すら与えられず、追われる立場となった。

当初、私はなぜこんなことが起きたのか理解できなかった。そしてあまりにも見事に起きた謀反に大きなショックを受けた。それでもAの言ってる事が嘘であると理解してくれた同僚が一人いたので、彼とは「これは『Aの乱』だね」と言って納得しあったものだった。私は『本能寺の変』のようなものだとも思った。

それからというもの、理不尽に名誉を傷つけられた事で、心の苦しみが続いた。なぜ、Aはあんなにも見事に嘘を真実のように広める事ができたのか。私はなぜ嘘が広められている事に全く気づかなかったのか。さらに私を苦しい思いにさせたのは、そんなとんでもない嘘つきAが、その後も結構評価を受けている事だった。

サイコパスを知り解けた明智光秀の謎

そんな時、何となく気になって『良心をもたない人たち』(草思社文庫)という本を手にした。サイコパスに関する本だ。サイコパスは平気で嘘をつく、と何かで見かけたので、「まさか、あいつはサイコパスって事はないよな」と思ったからだ。

少し読み始めて驚いた。サイコパスというとそれまで猟奇的殺人鬼だと思っていたが、サイコパスは非暴力的で謀略に長けたタイプもいるというのだ。魅力的でカリスマ的だったりするという。

そして以下の文章を読んだ時、これってまさにAそのものじゃないかと感じた。

なにより気分がいいのは、自分より頭が良く、教育程度が高く、階級が上で、魅力があり、人気が高く、人格的にすぐれた相手を打ち負かすことだ。これは愉快なだけではない。存在にかかわる復讐もはたせる。

良心が欠けているので、実行は驚くほどたやすい。あなたは上司または上司の上役にそっと嘘を耳打ちし、空涙を流し、同僚の企画をぶち壊し、・・・甘い約束で人を釣り、自分が情報源であることを絶対にさとられないように誤報を流す。

さらに読み進み、実例をモチーフにした精神科医ドリーンの話の章では、目から鱗が落ちた。Aと自分の間で起きたこととそっくりだったからだ。

「Aはサイコパスだったのか!?」。衝撃もあったが心は随分楽になった。自分に起きた事の原因が分かったからだ。原因が分かるだけで、こんなにも心が楽になるんだ、と知った。「Aがサイコパス」と簡単に決めつけるのは良くないが、極めてサイコパスに近い要素を持っているのは確かだ。

「明智光秀はサイコパスかも」と思った瞬間

そして、今年になり、明智光秀を主人公にした大河ドラマ『麒麟がくる』が始まった。何となく光秀が平和をもたらす人として描かれるんだろうなという印象を受けた。「実際の明智はワルだったかもしれないのになぁ」との想いを巡らしていた時、ふと思った。「あれっ? もしかしたら、明智はサイコパスだったかもしれないぞ」。

自分に降りかかった「本能寺の変」のような謀反。それを起こしたAがサイコパスだとすると、明智もって事はありそうだ。

それで気になりネットで明智光秀に関する情報を調べてみた。すると、比叡山焼き討ちの首謀者は光秀だったという情報が目に入った。

また、よく知られる信長による光秀いじりは後世の創作だったという見方も知った。

これは一度明智光秀の生涯を見直すと面白いかも、と思い、明智光秀に関する史実に基づく読みやすそうな本を探した。それで見つけて読んだのが、歴史学者の桑田忠親著の『明智光秀』(講談社文庫)だ。

読み進めて、これは本当に明智はサイコパスかもしれないという思いを強くした。

荒木村重の謀反、波多野一族の滅亡。いずれも光秀の謀略に思える。佐久間父子に対する信長の折檻状。これは光秀が嘘の悪評を流布したからではないか。

これらは、私がAによって貶められた事件の様子と重なり、胸が締め付けられる感じがした。軽いPTSD(心的外傷後ストレス障害)だったのかもしれない。

ちなみに『明智光秀』の著者の桑田氏は、光秀を「教養がある知識人で合理主義者だ」と見ていて、光秀謀略説をいくつか紹介してはいるが、いずれも「あり得ないことと」と否定している。しかしサイコパスについて知ると、謀略説が一番辻褄があっていることが分かる。

本を読み終え、他の情報なども参考にしながら、「明智光秀とサイコパス」について書き始めた。書き進めると情報が整理される。そして知れば知るほど光秀がサイコパスである、という確信か強くなった。

サイコパスがしかけた新たな事件

そしてこの記事をまとめている間に、Aに関わる新たな懲戒的人事事件が起きた。もちろん懲戒的人事を受けたのはAではない。Aと関わる事になってしまった中堅幹部達だ。関係者という事で一人だけではなかった。

はじめ私がその事件を知った情報では、「これは問題視されても仕方ないよな」という印象だった。ただAが関わっているだけに、本当なんだろうかという疑心もあった。

そして事実をさらに詳細に知ってみると、「これは本来、問題になるような事じゃない」事が分かってきた。問題にならない事をAが問題化したのである。しかし多くの関係者は少し怪訝に思いながらも「仕方ないよな」と受け止めた。これがまさにサイコパスによって貶められた人たちの周辺で起きる事だ。

Aがサイコパスである疑いが極めて高いと分かってくると、彼が言う立派な過去の経歴も怪しいと思い、調べてみた。少なくとも前職は彼の言う経歴と違っていた事が分かった。

そうなると彼が持っているという資格も怪しい。もしかすると、以前にもAの周囲の人で貶められ、降格になった人がいたかも知れない。それについてもいずれ調べてみたい。

謎が謎でなくなった本能寺の変

本能寺の変の動機。それは400年以上にわたって謎とされてきた。なぜ光秀が謀反を起こしたのか、理解に苦しむ人たちが多かった。信長自身も、当初は息子の信忠の謀反か、と思ったほどで、光秀が謀反を起こすとは信長には全く想像できないことだったようだ。

ただ、見てきたように、光秀がサイコパスなら謎は謎でなくなる。

「明智光秀がサイコパスだった」。これは、光秀贔屓の人には受け入れ難い事だろう。ただ信長を討つ恨みもなく、天下統一・天下泰平の夢や野望を持っていたとも思えない光秀がなぜ信長を討ったのか。それも状況からしたら虎視眈々と準備を進めていた。それなのに討った後、どうするかを考えていたとは思えない情けない振る舞い。普通に考えれば矛盾だらけだ。だから謎となる。

書き終えて感じたのは、繰り返しになるが、光秀がサイコパスだとしたら謎とされる謎は全て一貫性をもって解ける、という事だ。

そう考えると、光秀の史実に基づく生涯は、サイコパスを知る上での貴重な資料、情報になりうるのではないか。そんな視点から明智光秀、織田信長、そして本能寺の変を見つめなおす研究が今後進められてもいいのではと思っている。

お読みいただきありがとうございました。

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