【虎に翼 感想】第65話 女性たちそれぞれの昇華
大庭家の相続問題が木曜日で終わってしまい、今日は一体何が起こるのかとドキドキしていたけど、前半戦を締めくくるのに相応しい終わり方になったように思います。
梅子の変化
「話なら、聞くけど」
梅子が大庭家にずっと閉じ込められていたのが本当にもったいない。この “聞く力” は、きっと生かされるときがくる。
「人生を振り返ったときに、女子部で学んでいた時が一番幸せだったって言って死んでいくのはイヤ」
梅子は大庭家から解放されて変わった。寅子、よね、轟と再会したばかりの場面で「一番輝いていた」と話していたときとは意味合いが違う。今は、息子たちとは物理的な距離はできたけれど、自分の中に一つ芯ができて、先へ進もうとしている。
花江の追想
花江は一番大事なことを忘れていた。家族の笑顔を見る時間が大切だということを。はるさんが亡くなってからは、その余裕もなかった。だから直人にも誤解と心配を与えてしまった。あまり笑わなくなっていたお母さんが、道男が来たときだけ嬉しそうにしていたから。だから意を決した直人に、「道男と一緒になってもいい」と言わせてしまった。
直人の心配は杞憂に終わった。花江がごきげんだった理由は、道男が訪ねてきた日には直道が夢に出てきてくれるからだった。道男、「花江ちゃん」って呼んでくれるしね。
直道も、花江の夢の中で「思っていることは口に出さなきゃ」と伝えてくれていたらよかったな。
遠回りしたけど、花江は直明と子どもたちに、家事を手抜きしたいと伝えることができた。みんなそれを待ってた。やっと言えたね。
「お母さんが笑って暮らせるなら」
直人の心配は杞憂で終わったけど、こういう気持ちで、母親と母親の再婚相手との暮らしの中で苦しんでいる子どもがたくさんいるんじゃないかと、なんだか気を揉んでしまったよ……。
オープニングで直道のところに「(回想)」と付いていなかったから、生きて帰ってくるのかとドキドキした。実際に、戦死公報が間違っていた例はあったようだから。
死んだと思って再婚した後に夫が戻ってきて、それこそ愛の裁判所のお世話になったご家庭もあったはずだ。
香子の追憶
香子が梅子のおにぎりを食べている。一目見て気づき、食べながら涙している。
「佐田さんから」と言って渡した汐見は、香子がなぜ泣いているのか分からなかっただろう。
裁判官の守秘義務を考えると、寅子が知り合いの案件を担当しているくらいの情報しか持ち合わせていないだろうし、その話すら、自宅で香子に話していないだろうから。
寅子は、梅子と再会した事実を香子に伝えたかった。
女子部5人の中で、涼子以外の4人が思いのほか近くにいることを知っているのは、寅子と香子だけ。
よねと轟もおにぎりを食べている。轟法律事務所のシーンも、まだまだ描かれるといいな……。
寅子と茨田りつ子の共鳴
スター歌手とはいえ、この時代に “スン” を発動させずに生きていた茨田りつ子は、やはり歴史に残る人物だ。
戦時中に服装のことで婦人会から文句を言われても、怯まなかったことを思い出す。子どもはたしか、田舎の母に育ててもらっているはずだ。彼女なりの苦悩を押し込めて生きてきた様を、今回、再登場してくれたことで、より深みを持って感じ取ることができた。
仕事が好きで、裁縫が苦手。いいじゃないか。女が家に居て縫物を完璧にこなせなければいけないわけじゃない。価値観にとらわれて大事なものを手放す必要はない。
この曲を、家庭裁判所のイベントで歌うアイロニーさよ……。
女性たちそれぞれの昇華
モンパパの歌、寅子が歌うのが3回目で、今までどんな気持ちで歌っていたかは、家庭局の面々は知らない。
「亡き夫(優三)のことを思い出しました。きっと、私の働きっぷりを、褒めてくれると思います」
「私には分かる。直道さんがずっとそばに居てくれるって」
「(花江が)分かってくれているって、俺には分かっていたよ」
姿はなくとも、愛されていたという事実は、生きていくうえで妙な自信につながっていくものだ。親でも、パートナーでも。だから、寅子も花江も過去を昇華させることができている。
そういう相手がいなくとも、与える側になることができる。家族と縁を切った香子は、女子部の縁を感じながら、夫と子に与えていくことがきっとできる。梅子も、息子たちに与えていくことは変わらなく、その上で過去を昇華できている。
・・・・・・・・・・・・
愛のコンサートは、当初、私たちが思うよりももっと、寅子の人生を大きく変えるものになったようだ。ラジオで茨田の口から「さだともこさん」の名前が出る。ラジオの影響力は、当時はかなりのものだったはずだ。寅子は、自分が有名人になっているなんて、露ほども知らないでいた。
家庭局の面々ともお別れなのだろうか……。
次週予告
いよいよ岡田将生さん登場!待ってました!!
有名人になった寅子の元に、女性たちが殺到しているもよう。
あれは、穂高教授との最後の対峙なのだろうか?
後半戦に入り、話が大きく転換していきそうな予感です!
どうなる、寅子!
『虎に翼』 前半戦終了!
今日で前半の3か月が終わりました。内容が濃すぎて、まだ半分とは思えません……毎日の更新はやっぱり疲れますね……。
いつも読んでくださっている皆さま、ありがとうございます。あらためて感謝いたします。
いつも長くて気難しい文章ですみません。でも、宇宙レベルで存在するnoterさんたちの中で、ちょっと特色出そうと頑張ってるなくらいの感じでしかないでしょう。
後半3か月も、頑張って続けていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
「虎に翼」 6/28 より
(昨日の記事はこちら)
(マガジンはこちら ↓↓)