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【虎に翼 感想】第82話 お玉の苦悩は深まるばかり
多岐川は、さすがに寅子にマージャンは教えていなかったようだ。多岐川の飲み会は、仕事を円滑に進めるための要素が強かったはずだが、そこにマージャンは必要なかったのかもしれない。
杉田兄弟が深田を誘ったのは、懐柔目的もありつつ、娯楽の少ない田舎の親睦要素が強そう。でも深入りしたらいけない。三条支部の皆は寅子に守られたことを契機として、杉田兄弟との境界を保っている。
高瀬が寅子にざっくばらんに話をするようになっている。寅子との境界はもうなくなっていそうだ。
女子は3人が一番難しい。かならず2対1になるからだ。誰もが経験があることではないだろうか。
優未に声をかけてくれた子は、皆に等しく声をかける優しい子なのだろう。そして、もう一人の子は、特定の友達に執着してしまう子だと思われる。優未が真ん中に割って入って、ものすごく嫌そうな顔をしていた。明日あたり、「入ってこないで」と言われそうな展開だ。こうやって人間関係の煩わしさを学んでいく。
水曜日。
本庁で寅子が担当する刑事裁判が始まった。
加害者である水上20才、被害者である元木19才。この差ってなんなんだと、水上に問われる寅子……あと数か月で20才になるところだった某スポーツ選手が、オリンピック代表を辞退した件が記憶に新しい我々には、タイムリーな話題だ。
どこかで線引きをするのは致し方ないことだ。だけど、家庭裁判所で少年たちの未来に思いを馳せていた寅子には、刑罰を与える刑事裁判の難しさを感じたところだろう。
戦後7年経って、道男のような、戦後の混乱の中で成長した少年たちだけでなく、生活が安定しているからこその悩みがもたげた結果、罪を犯す少年たちも増えているようだ。その気持ちは、身分が高いゆえの悩みを持っていた涼子がよく分かっている。
日曜日。
先週、杉田(弟)は航一におしゃれ判定をしていたが、今日の私服はおしゃれ判定したほうがよいのか、しばし悩んでしまった。岡田将生が着ていると思うとアレだが、法曹者が着ていると思うと既視感がある。(服装気にせんでもモテちまうからな……ブツブツ)
航一の「なるほど」は利便性がある。
「謝ることないわ。(航一と)楽しくおしゃべりしてたから」
こういうさりげないセリフは、けっこうズルいぞ。寅子。だから航一も話題作りに頑張っちゃうじゃないか。
・・・・・・・・・・・・
涼子は、玉の身の回りの世話もしている。足が痛くなれば、休ませて足をさすってあげて、すっかり昔と立場が逆転している。玉にとってはいたたまれないことこの上ない。
日曜日のとっておきのもの……あの毒饅頭の思ひ出……梅子のおにぎりと共に、こうやって思い出の味が女子部の皆を繋いでいくのだ。
涼子も玉も、寅子と再会したことにより、過去の輝かしい思い出が鮮明に蘇ってしまった。そのことにより現状も強くクローズアップされ、玉の苦悩が深まっている。
夕方、涼子は会合に出かけてしまって、寅子は玉と二人きりになる。二人きりになるために、片づけ要員として残った寅子だ。
昨日、再会したときに、寅子が玉の目線に下りずに、立ったまま話していたことが少々気になってはいた。だが今日は本気の話があるだけに、膝をついて玉の目線まで下りていった。
玉のお願い……お嬢様を自由にしてあげたい……障がい者福祉にも関わる問題かもしれない。涼子を自由にするには、玉が自立できるような支援を受ける必要が出てくる。戦争で何らかの障害を負った人は多いはずだ。轟法律事務所でも、障害の残った人からの相談を受けていた(あのときは、”添え手”で署名していたことが気になって仕方がなかったが……)。
法律によって、一筋の光を見いだせるだろうか……。
寅子は、重い荷物を自ら抱えようとしていた。
「虎に翼」 7/23 より
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