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【虎に翼 感想】第17話 男子学生のスン劇
轟の評価、右肩上がり
腰を痛めたと言いながら、廊下に出て扉が閉まった途端、まっすぐ歩いている穂高教授はさておき、梅子の夫、大庭弁護士の臨時授業が始まった。
あぁ梅子……あの物腰のやわらかさが、最初はよかったんだろうな……
寅子の妄想劇場は、定期公演のもようw
題材は、大型犬に襲われて顔に傷を負った未婚の女性(乙)の両親が、大型犬の飼い主(甲)を訴えた裁判。
判決は勝訴で賠償金額は1500円。学生達の予想を大幅に上回る画期的な判決だったようだ。
ここで大庭弁護士は、「うちの家内なら取れて300円」と軽口を言い、男子学生たちがどっと笑う。
いや、笑っていない学生がいる。そう、轟である。
最後のシーンでも、「女はやさしくするとつけあがる」と女性を軽んじる花岡に、「今の言葉を撤回しろ」と怒りをぶつけていた(なぜ背伸びをしていた笑)。
思い出そう。昨日の第16回で轟は、「男と女は分かりあえない」と言っていた。
だからこそ、分かりあえないからこそ、分かろうと努力する人間なのだろう。
今日は、轟とよねの張り合いが唯一の癒しだった(直道兄、ごめん)。
評価が右肩上がりになったところであらためて見ると、人と人として向き合っている様相で、なんとも味わい深い。昨日も言ったが、この二人はやはりウマが合うようだ。
ちなみにこのとき、花岡も笑ってはいなかった。こちらは、寅子たちにどう思われるかなのか、大庭弁護士の目に留まるようにだったのか、いずれにしても思惑があってのことだろう。続いて「彼女たちは特別です」と褒めそやすところも信用できない。
結婚前の女性にとって容姿が何より大事だと話す大庭弁護士に、寅子が「はて?」を発動しても、「君たちのように利発でかつ容姿端麗なご婦人方には該当しない」と返される。
おぉ、ルッキズム主義。たしかに、「美人なのに〇〇だ」と評価されたがる人物もいることはいるが。
「弁護士は、ただ金を取ればいいわけではない」には賛同しておく。
それにしても、大庭夫妻の関係性がよく分からない。
モラハラ夫なのは確かだが、その反面、梅子が女子部進学を希望しても反対はしていないようだ。進学までにひと悶着あったとしても、結果的には学費を出していて、竹もとで男子学生全員にごちそうできるくらい、自由に使えるお金をもらっている。
どうも「これだけしてやってるんだから、俺も好きにさせてもらうぞ」的なエピソードが明日あるようだが。
穿った見方をすれば、「革新的な妻をもつ革新的で理解ある夫」であることで、弁護士としての評価を上げようとする向きもある。
気持ちがすれ違っているのか、梅子に関心がないから好きにさせてやっているだけなのか。できれば前者であればよいのだが…
一つ言えることは、猪爪家との対比で描かれているということだ。猪爪家の男性陣とは真逆の男性を登場させることで、「恵まれていることに気づいていない」寅子にいろいろ気づかせている。
昨日の記事では書かなかったが、第16回の冒頭、寅子もはるさんも普通にお酒を飲んでいた。
筆者が子供の頃の昭和後期、法事や親せきの集まりなどでは、女性陣はお酒を一切飲んでいなかった。北関東の田舎の話ではあるが、女が飲むもんじゃないというのが、まだ存在していた。
だからあのシーンを見て、寅子の家はかなり進んでいると思っていた。
寅子(だけではないが)に気づきを与えて、成長させるための重要な展開となっている。穂高教授、これが狙いですか?
男子学生のスン劇
ハイキングの計画を話し合うために、梅子の発案で男子学生たちも誘って竹もとに集合した。
梅子におごると言われて歓喜する男子学生たちの前に、梅子の長男(帝大生)が登場。
静まり返る男子たち。
優三さんの解釈によると、明律大学の学生は、将来が約束されている帝都大学に強い憧れを抱いている、目の前にいたら、嫉妬や羨望で普通ではいられないからではないかとのこと。相手が変われば態度も変わる。
女だけでなく男も“スン”となるときがある。このドラマの裏テーマとして、「男or女のフィルターで見過ぎないでね」というものも感じつつある。
これだけの人数の男子学生たちの中で、10年後に何人生き残っているのだろうかと考えると、このスン劇も可愛らしく見えてくるものだ…
「虎に翼」4/23より
(ちょっと補足 ↓↓)
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