大先輩の話を聞こう~90歳、ひとり暮らしの知恵袋を読む~
先日、ひと箱本屋さんに立ち寄った際に購入した本、大崎博子さんの書かれた「90歳、ひとり暮らしの知恵袋」を読みました。
90歳でお一人暮らしとは、なかなかの強者です。人生の最後まで自分で暮らしたい私にとっては、目標とする大先輩にあたりますから、彼女のお話を聞いて大いに参考にしましょう。
この本の著者、大崎博子さんは都営住宅団地にお一人で暮らし、月10万円で生活しています。とはいえ写真のようにお美しく凛とした佇まいの方で、決して老後にお金がなくて貧しい高齢者という風ではありません。
日々を楽しみ、その日常をツイッターに投稿しだしたら20万人ものフォロワーがついて、とうとう書籍も出版。この本は2冊目になるそうです。
さて、この本を読んで私が感じたことを結論から言うと、この方が90歳で生き生きと一人暮らしを楽しむことができているその秘訣は「精神的自立」です。
高齢者の一人暮らしとはいえ、月10万円の生活費で暮らすためには、さまざまな生活場面での工夫が必要です。もちろん健康体だからこそ一人暮らしを継続できるわけですが、その「健康維持」ですら、自分自身で学び、試行錯誤し、根気強く実践するという「自立心」が必要で、しかもお金をかけずに効果がある方法をちゃんと選んで実践しています。
そして最も驚くのが、彼女、90歳にしてゴリゴリに生活にITを導入しています。
節約のために無料アプリを使いこなし、キャッシュレス生活でザクザクポイントを貯め、サブスクの動画配信サービスで推し活を楽しみ、海外で暮らす娘とはLINE通話でこまめに連絡を取り合います。
この本は彼女の暮らしにあこがれる高齢者をターゲットにしているようなのですが、本文中ではアプリのダウンロードの仕方から、アカウント設定の仕方、おすすめの動画配信サービスまで、こと細かく解説しています。
もちろん彼女のライフスタイルやこだわりにも存分に触れることができますし、あえてアナログな部分を楽しんだりもしているのですが、それも、他の方法もよく知ったうえであえてその方法を選んでいるようなのです。
つまり、さまざまな方法を多方面から探し、自ら情報を集め、良く学び、自分に最適な方法を自らの意思で選んでいる。
「そういうの、よく分からないし、無理」とはならないんですね。
そういった点で、彼女は非常に柔軟な考えを持ち、目新しいものに挑戦しようという好奇心と行動力を持ち、それを楽しむことができるポジティブな思考の持ち主である事がわかります。
はてさて私が高齢者になった時、彼女のような振る舞いができるでしょうか。
こればかりは実際そうなってみないと分かりませんが、ひとつ言えることは、どうやら90歳になっても、自分次第でいくらでも一人で楽しく暮らすことはできるようです。
そしてこの「自分次第」の正体が、まさに「精神的に自立している事」であると感じました。