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日本のリハビリDXの残念な課題

前回訪れた「日本リハビリテーション医療デジタルトランスフォーメーション学会」。この中には「業務効率化」というセクションがあり、リハビリテーションの提供に関わる業務のDXに取り組むいくつかの病院・施設の発表がありました。

発表の内容を聞くと、その内容は大きく分けて2つに分類されます。一つはカルテ記載を音声入力を用いて効率化しようというもの。もう一つは、セラピストのマネジメントに活用しようというものです。

カルテ記載の音声入力は、セラピストがPCの前に座らなくても、隙間時間に手元の個人デバイスから手軽にカルテ記載が行える、というメリットがあります。

とはいえこの技術はまだまだ発展途上のようで、本当に正しく文字変換されて入力されているか、PC上で最終チェックする工程は必要とのことでした。そのため導入したものの、セラピスト達が活用していないケースも多々あり、現場に活用してもらうためには、それなりの普及活動と支援が必要なようです。

もう一つの、セラピストのマネジメントに活用する例ですが、これに関しては、少し残念な気持ちになってしまいました。

ひとりひとりのセラピストが目標とする仕事量をこなしているか、残業などの時間外労働はどの程度発生しているか、仕事の質、仕事に対するモチベーションは高い状態を保てているか、そんな人材管理を、マネジメント職の方は日々気にかけ、最善を尽くそうとしていると思います。
大変お疲れさまです!

これをITのチカラで見える化し、マネジメントに活かそうとする取り組みの紹介をしてくださった施設の発表がありました。

数字やグラフとして見えるようにすることで、セラピスト自身も自分の業務効率化に活かせるのは大変良い事です。しかし、ここで実際に効率化でき、時間に余裕ができた時、われわれ日本人の悪い癖が出ます。

そう。空いた時間に、別の仕事を入れるのです。

私としては、「定時までに目標とする仕事量をこなせるようになった」「定時に帰れるようになった」「家族や恋人、自分自身と過ごす時間が増え、仕事への意欲も向上した」というオチを期待したのですが、そうではなかったのですよね。

このことは、私にとって大きな学びになりました。

リハビリに関わらず、業務効率化・人材マネジメントにDXを活用する際は、まず最初にその目的を明確にしなければいけませんし、その目的を誤ってはいけません。

「より多くの仕事がこなせるようにしよう」ではなく「より効率よく生産性高く仕事をし、とっとと帰ろう!!」です。

大事なことなので、もう一回書きますね。
「みんな、とっとと帰ろう!!!」


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