【北欧視察】移動支援とMaaS
2日目は、フィンランドのHSLアプリを使ってMaaS(Mobility as a Service)を体験します。
MaaSは一般的には、「あらゆる公共交通機関やライドシェア、シェアサイクルといった移動サービスをICTを活用してシームレスに結びつけ、1つの交通手段として捉える概念」で、移動サービスとしての利便性向上を目指すものです。
リハビリテーション専門職の視点で見ると「高齢者や障碍者の移動支援」としての意味合いが強くなりますし、交通政策の視点で見れば「あらゆる交通機関、移動サービスのデータ収集と活用」、観光の視点で見れば「観光地への誘導とマーケティング」と、あらゆる分野でその活用方法が模索されています。
日本ではまだ、電車やバス等をまたいだ移動ルートが検索結果に表示されるくらいの状態で、乗り換え案内アプリなどは存在しますが、それではまだレベル1の状態です。当然国内でそれ以上のレベルを体験することはできないので、今回フィンランドでレベル2の状態を体験します。
レベル0:統合されていない
レベル1:情報の統合…電車やバス等、複数の交通サービスをまたいでルート検索できる
レベル2:予約・決済の統合…パソコンやスマートフォンを使って一括で決済できる状態
レベル3:サービス提供の統合…複数の移動手段をまとめてサブスクリプション型(定額料金)にして利用者に提供するケースなど
レベル4:政策の統合…国家レベルで推進していく状態
今回の目的地はスオメンリンナ要塞。
HSLアプリのルート検索機能で、現在地と目的地を入力すると、全行程のルートが表示され、その画面から行程すべてのチケットが購入できます。
今回は徒歩+鉄道+フェリーだったけれど、ここにタクシーやバスなんかが入ってくるパターンもあるんでしょう。
こうやって複数の交通機関のサービスを統合して提供できる理由は、各交通サービスを運営する会社とは別に、これらの交通関連企業をとりまとめて一体サービスとして提供するための会社があるからなんだそうです。
なるほど。でもそれをやるためには国家が音頭を取らないと難しいですよね。さすが北欧主義という感じがします。
日本でも「観光型MaaS」や「医療MaaS」などに取り組んでいる企業がありますが、あくまでも企業レベルの取り組み。フィンランドではアプリさえ入れればビックリするほど気軽に体験する事ができました。
今回は公共交通機関を中心としたMaaS体験でしたが、医療現場での患者の誘導やリスク管理には、建物内で使用する自動運転モビリティも有効です。
画像のWHILLは、日本国内の空港や病院でも導入されているそうなので、機会を見つけて見に行ってみたいと思います。