Aspen Ideas Fes2020でのKai-Fu Lee氏のトークの感想
先日、サンフランシスコでお世話になった尊敬するFaye氏のLinkedIn PostでAspen Ideas Festivalの記事を見つけたので、さっそく登録した。当日はハッカソンでリアルタイム参加はできなかったが、幸いビデオオンデマンドが充実していて、あとでも見れたので、注目していたKai-Fu Lee氏のトークを観て、うなずくところがかなりあったのでこちらでシェアしておこうと思う。
Aspen Ideas Festivalより(ビデオリンクにつながります)
Kai-Fu Lee (Aiベンチャー) and Nicholas Thompson (Wired編集長)
今回のパンデミックでAiはどれくらい役立った?ていうNocholasの奇抜な質問に「うん、B-だね」それはなんで?て聞くと、「Aiはデータがあって動くもんだし、今回はデータが十分なかったから、ちゃんと動いてないところも多かった、とのこと。「接触確認Appはよく動いてたね」「でも北京に帰った時、2週間ずっと自己隔離してたんだけど、その時は難しかったね。食事を頼んでロボットが運んでくるんだけど玄関までで、そのあとはマンションのスタッフが運んでたから。その点アメリカは一軒家が多いだろ、だからもっと大変だと思うけど」「ワクチンはどう?」「僕は楽天的な方だけどワクチンは本当に予測がつかないな」「医療はとてもたくさんできることがあるよね。遠隔診療とかCrisperによる遺伝子治療とか」「人々の仕事はどうなる?」「生活スタイルが変わってきているからどんどん変わっていくだろうね」
「データとプライバシーについては?」「基本的には守られるべきだけど、公衆衛生に関したことでいうと、公衆に関することは優先されるべきだからやはりある程度データは公表すべきだよ」
<感想>
中国と日本が同じようなAiに対する印象を持っているけども、ロボット技術に関しては中国が結構先を進んでるみたいです。
データがあって初めてAiがちゃんと動くので、日本ではもっとデータを正確に集める努力をすべきだし、オープンソースデータを作って、一般技術者のレベルアップを図らないとなと思います。データは集めた人が所有者なのか? それともデータの元になった人や物に帰属するのか? その辺りももっと議論が必要です。私はデータがアクセスできる人が使えば良い、という考えには反対です。それならば、限られた一部の人だけがデータにアクセスできるので(例えば、医療データを扱う会社)データの解析の仕方も集め方も客観的に評価する方法がなくなってしまうからです。データにアクセスできる人=データをきちんと解析できる人、では必ずしもありません。それは後に記載する日本の厚労省、自治体、そしてデータ分析の専門家が必ずしもきちんと動いていたとは言えない現状から明らかです。
最後の質問に対する回答は中国らしいのかもしれないけど、日本ではダイアモンドプリンセス号の乗客がPCR検査をプライバシーの問題として拒否し、他の乗客も閉じ込められているとして混乱を起こしていたため、厚労省の役人が一人自殺した。改めて公衆衛生の問題と、プライバシーの問題意識がたかまるべきだし、集まったデータをどう処理すべきか、その意識ももっと議論された方がいいと思う。
厚労省のデータの扱い方は、ホームページを見れば一目瞭然で、途中から集めるのをやめてしまい、各自治体に委ねる形になり、日本の死者数が、WHOに報告されている死者数と異なるという事態になりました。
日本のデータのまとめサイトはほとんどボランティアで運営されていて、それらは、厚労省の記録ページのリンクから各都道府県に飛んで資料を集めたり、はたまたTwitterから症状や発生場所を記録したりしていました。大学は皆無といっていい。唯一は感染爆発シミュレーションで、それ以外の細かいデータに手をつけてる研究者はいなかったように感じています。今後、抗体の保有率のデータとかは出てくると思う。多分、まだ日本には公衆衛生や感染症の専門家の数が少ないのだろうだろうと思います。
#COVID19 #ビッグデータ #医療データ #プライバシー
*この後の動画で、ネット中傷の話なども出てくるので興味のある方はぜひ(女性は男性の10倍攻撃されやすいそうです)