獄蝋燭

恋する眼鏡、曇る右目に構うことなく

矢面に立つ儚くも気高い因果を胸に、総意の隙間を掻い潜る

よほどの事がなければ蝶は羽ばたかない事実など、百も承知で酸いをもすする

尖った唇、枯れる声、山肌の仙人は春日を唄い、陰湿で俗物な聖者は骸を奏でる

ふりだしの誘惑、伝言の罠

日々に転がるお手本を軸に、褐色に焦げた未来をつついて崩す

箱庭で踊る、あなたの手を取って、おぼえたてのステップが危険な視線を釘付けにする


窓が開いたら音楽は止まってしまうでしょう

音楽が止まったら、あなたは消えてしまうでしょう

あなたが消えてしまったら


打ち上げ花火、高らかに、静かに揺らぐ、恋の陽炎

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