水玉望遠鏡
不確定に横たわる叶い終えた願いの残骸
方向音痴の風見鶏が指し示すきな臭い老舗の廃旅館
目標をたてるという目標のためだけの目標であって、目指して歩んでいくには、役割をみたしてはいない
薄曇りなのに、うっすら太陽が差しているから、ほどよく物事の輪郭がはっきり見えるような、複雑な心境で泳いでいる車たち
偶然を装うには規格外で、必然を演じるには的外れの小さな箱庭の中
君のなにが溶け出して、その綺麗な涙になっているのかを知りたいのに、もう少しだけ、見惚れていたいからと、ぼくは想いに蓋をした
煙突が吐き出す黒い煙に隠した虹色の梯子は、烏がくわえていったようだ
お粗末な廻廊、稚拙な庭園、ぬくもりを宿した彼岸花
神楽の音が聞こえる方に目とつま先が向く、心とかかとが浮く