これ くらいの おべんと箱に
最近、朝一に現場なので辯當を作ってから仕事に出ております。
そうしなければ外食やらコンビニやらで軆を壊してしまうのです。
職人さんがいらっしゃる前に事務所で手短に朝食を摂ってすぐ仕事に出向くのです。
辯當と雖も風情を愉しむのが私のポリシィなのです。
どんな多忙な時も絶對諦めない。そうよ、それが可憐な男のポリシィなのです。
惣菜屋で賈ったおにぎりに附いてきたプラ容器は實に便利です。
歪な私のおにぎりも、これに詰めれば綺麗な三角形に。
海苔は所謂、おにぎり全軆を眞っ黒にする「爆弾巻」です。ご飯で手が汚れなくて濟みます。
蓋がパチっと閉まるのも、洗って何度も使えるのも便利です。
勿論、辯當箱が汚れる事もありません。
それを すてるなんて とんでもない!
刻み生姜にごま塩を振る余裕も無ければ、人參さん、山椒さん、椎茸さん、牛蒡さんも不在でございまして、穴の開いた蓮根さん、筋の通ったフキさんも都合が惡い様でしたので、冷蔵庫で眠っていた茹でたナッパさんに來て戴きました。
この容器も辯當屋で賈った物に附いてきた物です。
元々カレーが入っていただけに蓋が密着するので汁氣が漏れる心配もありません。水にも強く、ちっとやそっとの衝撃では壊れません。
最近は便利になったものです。これはお辯當にはうってつけの容器です。
ハリマオとは マレー語で 虎の事である!!
…と云うくだりから始まる有名な番組がありましたが、三橋美智也さんの唄うその主題歌が私のカラオケに於ける十八番です。…ついでに『古城』も………。
……などと、どうでも良い事ですが、ナッパにかける醤油もこうして調味料の入っていたプラ容器が役に立ちます。
こう云うのは洗って取っておくと思わぬところで役に立つものです。
男は度胸!何でも取っておくのさ!!
…さて、あとはお辯當箱に詰めて風呂敷で包みます。
辯當箱に詰めてみると結構いっぱいいっぱいですが、あまり悠長に食事を摂っていられないのでこの位が丁度良いのです。
飲み物のお茶とデザートの蜜柑も一緒に入れます。
不名誉なあだ名で呼ばれているこの愛用の風呂敷は日常色々なところで役に立ちます。
何かと無機質的な今日こそ、こう云う物を見直してみると意外な有用性や魅力に氣附くかもしれません。
所謂「バッグ」とは違い、中身の形に合わせて自由に使える上に結び方や包み方を覺えればその可能性は無限大であります。
勿論、和装にもよく合います。
ほんのひと時でも心の休まる時間と云うのは大事なものです。
網代細工の辯當箱に愛用のポリ茶瓶。
これがどこか旅の空であれば、どれ程素晴らしい事か…。
…とか思いつゝ、忙しい日々のほんの隙間の部分を愉しんでおりました。
ちなみに、氣になるその中身は…
嗚呼、おにぎりが旨い。
手作りだからこそ、コンビニの決められた味附けには無い旨さがあるのです。
そして工場で作られた冷たい製品とは違い、温かいのです。
嗚呼、日本人でよかった。日常的にこの美味しさに触れられるのは實に幸せな事です。
冷凍ミカンにすると水氣で面倒になるので生の蜜柑ですが、食後のデザートにほんの一服。
淹れたてのお茶が外でも愉しめるのはこの容器の特権です。
普段が忙しいから、その樂しみも膨らんでいくのです。
嗚呼、列車に乗ってどこか遠くに行きたい……。