2024年夏、私の遠野物語
1.物語を飛び出して
今年の夏は、ルーシー・モード・モンゴメリ 著『赤毛のアン』と柳田國男 著『遠野物語』の世界にどっぷりと浸かっていた。偶然にもほぼ同じ時代に書かれたこの2冊に、なぜ私は今心を奪われているのか考えていたのだけれど、心の疲れがこれらの物語を求めていたように思った。特別何かがあったわけでもないのだけれど、ずしんと重い気持ちになって、なかなかしんどい日が多かったのだ。これらの本を読んでいると、アンの空想の世界や遠野の民話の世界の中の、現実を少し違った角度から見て