Dearにっぽん「在来種に魅せられて ~沖縄・今帰仁村~」 (ドキュメンタリー NHK)
8/25(日) 午前8:25-午前8:50
40年前に東京から沖縄へ移住した髙田勝さん(64歳)。改良品種と交配されていない“在来種”の豚や鶏を育てている。地域の儀礼行事に捧げられ、病気を防ぐ貴重な栄養源とされてきたが、改良品種に取って代わられ、絶滅寸前に追い込まれていた。在来種を保護して増やし、地元へ返す髙田さん。今では、全国の高級レストランから注文が相次ぐ。さらに、髙田さんの姿に刺激を受け、在来種を育てたいという畜産農家も現れた。
(以上 公式サイトより)
沖縄の食といえば、ゴーヤチャンプルとか島ぶどうとか黒砂糖など。そんな一般的なものしか知らない私にとって、今回のテーマはとても勉強になった。
「美味しい食べ物」としての在来種というより、先祖供養といった儀式への供物といった、むしろ「文化としての食」について意識を教わった感がある。
貴重な在来種を育てて繁殖させる。
文字にすると単純だが、そこに掛ける手間暇や資金は相当なものだろう。
「黒字になってないっていうか、借金もしちゃってるしとんとんなんだよ。だけど生き方の問題だからさ。自分がどうやって生きたいかっていうだけだよね」
儲けを度外視して情熱を傾ける高田さんの信念は、これぞ理想の生き方ではないかと思う。
そこに寄り添う奥様も素敵。
在来種の鶏を自作の特製ケースに入れて、伊是名島の畜産農家・伊禮(いれい)さんのもとへ向かう高田さん。受け取る伊禮さんの表情がまた良いの。
その後、しめてる所や儀式に備えられた鶏・シマウワー(豚)を見ると、ちょっと可哀想でドキッとしたが…いのちというものは、こうやって受け継がれていくものだと納得。
昨年な台風被害で崩壊した牛舎を見ながら、「飼料が届かず、牛たちにつらい思いをさせたなと思う」と語る伊禮さん。
高田さんの飼育場を目の当たりにしてひとこと。
「(鶏が)本当に餌と言う餌を食べている風景を見たことがなくて。
土をあさって、虫を食べて、野菜を食べて生活をしているのがいい。輸入穀物に依存しない、在来種の方がいいですよね」
こんな風に高田さんの意思や技術を継承してくれる方が現れること、外野なのにとても嬉しいと思った。
奄美大島へ島鶏を里帰りさせるエピソードも素晴らしい。自分が生きているうちに絶えるかと思っていた島鶏が、高田さんの手で繁殖して帰ってくるとは…そう感慨深く話す95歳のおじいちゃん。
高田さんは凄い!
沖縄といえば立派なお墓も目を引く。
高田さんがお墓前で、一族を集めて先祖供養しているシーンも印象的だった。
移住して40年、たくさんの孫に囲まれて総勢13人の賑やかな様子と穏やかな表情。沖縄にしっかり根を張った高田さんをますます応援したくなった。
「自分自身もいつまでできるかわからないというのは漠然としてあるよね。飼育したいと言う人間がいなくなった時点でもうアウトだよ」
股関節治療しながら呟く高田さんのもとを、伊禮さんが訪れる。
自分が試行錯誤して学んで培った技術や家畜を、継承してくれる人が現れてくれた安心感。
生命はもちろん、あらゆる事が繋がってゆく尊さにまたもや涙の今回だった。