映像の世紀バタフライエフェクト〜太平洋戦争 日米プロパガンダ戦〜 (ドキュメンタリー NHK)
10/3(木) 午後11:50-午前0:35
公式サイト
太平洋戦争は日米のプロパガンダ戦でもあった。アメリカはハリウッドが協力して戦場のリアルな映像で国民を戦争に駆り立てていく。日本はニュース映画を使い銃後の人々を総力戦に巻き込んでいく。またラジオ放送では「東京ローズ」と呼ばれたアナウンサーたちが敵兵の戦意喪失をねらった。戦局が進むと日本は偽りの戦果を伝えアメリカは大量殺りくを正当化していく。国民をあおり不都合な真実を伏せた日米の知られざる戦いの記録。
(以上公式サイトより)
とにかく怖すぎる内容だった。
三省堂編集所によると、
「プロパガンダとは漢字で表現すると、「宣伝」「宣伝活動」、あるいは「政治的宣伝」「世論喚起活動」などに言い換えられます。文脈によっては、「情報操作」「世論誘導」「情報政策」などに置き換えられることもあるでしょう」との事。
戦時中の日米に限らず、このような事は古今東西行われてきたと思う。つい先日の政党における総裁選挙に関しても、特にテレビにおけるプロパガンダには呆れるものがあった。
さはさておき、今回の番組。
戦時中の映像が良くぞ残っていたものだと、関心しつつも、人々が簡単に意識誘導される事の恐ろしさに震えた。
更に戦意高揚だけでなく、敵国の戦意を弱めさせるために家族愛やホームシックを起こさせるようなビラ配布やラジオ放送を同時に行っていた事にゾッとした。つまりプロパガンダは硬軟双刃の剣なのだ。
人の意識をいかようにでも操れる、操ろうとする悍ましさに対抗するには、自分の考えをしっかり持つしかない。
特に日本人は同調圧力に弱いうえ、目立つ事を嫌い、反対意見を言えない傾向が強い。プロパガンダに乗る率200%だろう。だから、負け戦にも疑問を持たず反対もせず突っ込んでいったのだ。
当時のアメリカにおいても、とにかく日本人を殺せのスローガンで戦争に興味のない国民の戦意を高揚させた。その結果が、米国民の原爆投下支持85%(1945年8月10-15日 ギャラップ調べ)に如実に現れている。
そんな両国、戦後の手のひら返しも似ていた。
戦場を描かずに戦場の恐怖を伝えようとしたジョン・ヒューストン監督は、「光あれ(1946年)」という記録映画で、戦場で心を病んだ帰還兵たちの姿を綴った。
が、完成上映会直前に軍にフィルムを押収され、35年間お蔵入り。戦争で心に傷を負う事実は、軍にとって不都合極まりないものだからだ。
日本は終戦翌年に、戦時中のニュース映像のウソ、大本営発表のデマ戦果についての真実を、正直に釈明する映画「日本の悲劇」を制作。
一旦公開されたものの、天皇の戦争責任に触れていたという吉田茂のイチャモンにより没収からの上映禁止。
日米双方、あれだけの戦争被害を出して感じておきながら、不都合な真実は隠匿する。卑怯なやり方まで同じなのは、実に皮肉である。
本気で戦争を反省し、戦争を憎む世論と乖離し過ぎではないか。こんなんじゃ戦争を防げない。
今こそ非戦、不戦のプロパガンダが必要である。