映像の世紀バタフライエフェクト〜安保闘争 燃え盛った政治の季節〜 (ドキュメンタリー NHK)
2度にわたり繰り広げられた安保闘争・激動の記録。60年安保闘争は、戦争の記憶がまだ生々しかった時代、若者に大人も加わり国会を取り囲む国民運動となった。映像は、闘争を牽引する若きカリスマを捉えている。全学連委員長・唐牛健太郎、人々は彼を現代の英雄と呼んだ。70年安保闘争では、戦後生まれの学生がゲバ棒と火炎ビンで武装し大学に立てこもる。だが闘争の末路は凄惨な事件を引き起こし、国民の支持を失っていった。
(以上 公式HPより)
安保闘争について、良くは知らない。
しかし学生運動とか、若者が群衆となって政治への不満を表明するシーンは「昔の映像」として度々目にすることはあった。
今では考えられない、当時の日本の姿である。
なぜ徒党を組んで反対を訴えたのか。何に対する反対だったのだろうか。
不平等な安保条約に対する反対意見。
そんな国民の反対意見を無視して条約締結を進める、政治家たちへの反対意見。
そんな反対意見を表明しても、結局民意は無視されるのだ。一握りの権力者たちだけが得をする、国民の意見や生活は完全無視。
この番組を見て思ったのは、結局今も昔も国家権力の独裁は変わらないという事だ。
番組中に幾度も映る岸の顔。国民を戦争に向かわせ、敗戦後はアメリカの犬となり権力にしがみつき続けた妖怪には嫌悪の念しか浮かばない。
対照的に、考えさせられる顔が終盤に映し出された。60年安保闘争のリーダー=全学連委員長・唐牛健太郎氏、34歳の姿である。
カリスマ的伝説の男は、北海道の船乗りとしてジャガイモの皮を剥いていた。
「これから何をやりたい?」と問われて「これからねえ。…ま、別に、ないね」と答える彼の表情。それは過去を背負い、未来に希望も持たず、"とにかく今を生きるのみ"という覚悟がにじみでていた。
生きた長さも対照的な二人だが、私は唐牛氏の方が人として真っ当だと思う。この番組で初めて知った方だが、追って本も読んでみたい。
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