「映像プロパガンダ戦 嘘と嘘の激突」 (映像の世紀バタフライエフェクト NHK)
初回放送日: 2022年9月5日
「映像は嘘をつく」。AIを駆使したフェイク映像が大統領選挙や戦争の行方すら左右している。映像プロパガンダ戦の始まりは、百年前、ソ連のある若者が日本の漢字の不思議さを知ったことに遡る。部首の組み合わせが別の意味を生む不思議さ。彼の名はエイゼンシュテイン。映画監督となり、映像を組み合わせる革命的な表現手法を編み出した。しかしそれはナチス、アメリカ、日本も含めた、国家的プロパガンダ戦へと広がっていく。
(以上 公式のHPより)
のっけから映画「カサブランカ 」が流れ、この作品までもが「ナチス=悪役」を刷り込ませるプロパガンダだった事にびっくり。
それに続くナチの宣伝大臣ゲッベルスの言葉。「優れたプロパガンダは人々に気づかれず、相手の知らぬ間にたっぷり思考をしみ込ませること」、これぞまさに洗脳ではないか!
映画という世界共通の娯楽にそんな邪悪な手法が埋め込まれていたとしても、それを認識し判断できるセンサーは自分で磨くしかない。そう思わせられる回であった。
日独合作プロパガンダ映画「サムライの娘」なんてのが存在していたとか、これも初耳。主演の原節子、ドイツ人女性に負けない美しさには幾分ホッとしたが。
そしてこの映画で特撮を担当し、独スタッフを驚嘆させたのがが円谷英二大先生!
日本のプロパガンダ映画「ハワイ・マレー沖海戦」で真珠湾攻撃をリアルに再現し、終戦後は「ゴジラ」でアメリカをアッと言わせるその人生に、改めて敬服である。
終戦から3ヶ月後、日本のニュース映像は明治神宮球場で進駐軍主催ロデオ大会を取り上げた。
あれだけ憎み続けた敵国を持ち上げるその姿勢、これが現代にもつながるマスコミの真実かと呆れた。
終盤に紹介される、ウクライナ・ズミイヌイ島を巡るロシアとウクライナの報道姿勢。プロパガンダは不変だと再認識した。
ラストに流れるエイゼンシュテインの言葉は、まさにそれを言い当てている。「映像のモンタージュは巨大な魔術。強力な感動を与える唯一の手段であるがゆえ、ささいなカットの違いが全体の意味を逆転させる力もある。そんな可能性を忘れずに、過去の経験から学び、思考を鋭く研ぎ澄ますなければならない。それが我々の未来の利益のために必要な事なのだ」全くもって同感である。
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