NHKスペシャル“最後の1人を殺すまで”~サイパン戦 発掘・米軍録音記録~
8/18(日) 午後9:00-午後9:49
公式サイト
日本からの移民が多くいた“南洋の楽園”サイパン。アメリカ軍が太平洋戦争で初めて日本の民間人と対峙した戦場となった。発掘した音源から浮かび上がるのは、命を投げ捨てて突撃する日本兵と憎悪をかきたてるアメリカ兵の姿。軍民混在の中で住民を保護する方針が崩れていく様子だ。この戦いでアメリカ兵の日本人に対する見方は一変することになる。録音記録に元兵士の新たな証言を加え、80年前の戦場を立体的に浮かび上がらせる。
(以上公式サイトより)
音声の記録が映像とは違う生々しさを伝える、恐ろしい番組だった。いや、音声から推測される場面を映像で補足していたから怖かったのか?
79年前にサイパンで実際に起きた事をリポートするこの音声記録が、これまで封印されてきた事が最も恐ろしいことである。
日本軍が死守しようとしてできなかったサイパン島。安易と奪還されたのかと思いきや、米軍もかなりの被害を受けていた。
当初、戦う意思を持たない民間人は保護していた米軍。そんな余裕もかなぐり捨てるほど劣悪な戦況となり、とうとう面白半分に機関銃で民間人を撃ちまくる者も出てきた。非難はできない、それが戦争なのだから。
間違って日本人の女の子を撃ち殺してしまった米兵は、良心の呵責に耐えられず、帰還船に乗る前に自殺したという。
殺すか殺されるかの戦場では、人でなしにならなければ生き残れないのだ。
全てにおいて苦しくなる番組だったが、民間人の生命を盾にし、降伏ではなく自決を強いた軍部のやり方と傲慢さに最も憤りを覚えた。軍人とは民間人を守るものではない。自分は全能であると盲信し、他社の生命を屁とも思わないのが軍人だ。
この番組にも、当時の戦場から生還した日米の方々が出てくる。既に鬼籍に入った方もいたが、大抵は100歳前後。つまり二十歳前後の若者が生命をかけて戦っていたのだ。
家に帰りたい、ジューシーなステーキが食べたい、赤ちゃんに会いたい…。おそらく最期の思いは、母親や家族に会いたいだったのではないか。
好き好んで過酷な戦場に行きたい者など、いないだろう。「家族のもとで平和に暮らす」そんな日々を守るために、戦争はしてはいけないのだ絶対に。