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通常学級か特別支援学級か
通常学級か特別支援学級かで悩んでいる方をnoteを見ているとよく見かけます。
そこで、現役の教員(特別支援学級担任)の立場から書いてみます。誰かの参考になったら嬉しいです。
(ならなかったらごめんなさい、、、)
まず、特別支援学級は地域の小学校の中に設置されている学級で、特別支援学校とは異なります。
「特別支援学校」は、「知的障害」「聴覚障害」「視覚障害」「肢体不自由」「病弱・身体虚弱」の五つの領域があって、それぞれの学校ごとに扱っている領域が異なります
※複数の領域を扱っている学校もあります
「特別支援学級」は、地域の学校の中に学級として設置されており、種類としては多く、「知的障害」「肢体不自由」「病弱・身体虚弱」「難聴」「弱視」「言語障害」「自閉症・情緒障害」があります
わたしの学校でもそうですが、基本的には特別支援学級で学習を行いますが、教科や内容によっては通常学級へ「交流」という形で参加し、一緒に学習することもあります
※学校や自治体によって設置状況は様々です
そして、もうひとつ 通常学級に在籍しながら、「通級による指導」を受けるというのがあります。こちらは先ほどの特別支援学級には含まれない「学習障害(LD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」も併せて対象になります(知的障害を除く)
※こちらは全ての学校にあるわけではない
下のリンクは文科省のものです
で、通常学級か特別支援学級かで迷う人というのは、多くが「自閉症・情緒障害学級」のことかなと感じております。
特別支援学級は、最大人数が8人までと決められています。また、クラスの人数が概ね5人を超えると、指導員や支援員がついたり、7人を超えると複数配置の先生がついたりする自治体もあります。通常学級は小学校だと35人までが1クラスで担任1人ですから、明らかに子どもに対して大人が多く配置されることになります。
ここが、「手厚く見てもらえそう」と感じる1番のポイントですね!担任の先生が子ども一人ひとりに対して個に応じた指導を、丁寧にやってくれそう!となるわけです。
逆に、35人を見ている通常学級の先生に、うちの子を丁寧に見てほしい、こんな配慮をしてほしいと言ったところで、聞いてもらえるかはわかりませんよね。「あ、その配慮は難しいですね」と頭ごなしに言われてしまいそうです。迷惑そうな顔をされるかもしれません。
そして迷います。どっちがうちの子に合っているのだろうかと。通常学級に他の子と同じように行かせたいけど、勉強についていけないのでは?とか、多動性衝動性などで迷惑をかけて、他の子たちに嫌われてしまうのでは?とか、注意されたり叱られたりが多すぎて、自信を喪失してしまうのでは?とか。
要は通常学級ではハードルが高すぎるのではないかというところで迷うんだと思うんです。
じゃあどっちがいいのか。
これは、本人がどっちの環境の方がより自分らしく成長できるか、ということになります。答えになってないですね(汗)
人当たりが良く、周りの友達の様子を見ながら一生懸命頑張って、少し助けてもらいながら力をつけられるタイプのお子さんなら、通常学級でもいいかもしれません。のんびりゆっくり、周りは関係ない、自分のペースで学習を進めることで力をつけられるタイプのお子さんなら、特別支援学級でもいいかもしれません。
大事なのは、本人もお家の人も、通常学級と特別支援学級を知ることです。知らないとどっちがいいかなんて判断できません。まず見に行きましょう。教育委員会や学校に問い合わせれば、見学できます。
そして、情報を集めましょう。知りたい情報を親切にお届けしてくれる人はそうそういません。自分から動かなければ必要な情報は入ってきにくいです。小学校の段階で、中学校進学や高校進学のことも視野に入れて調べた方が賢明だと思います。詳しくは過去の記事を。
そして最後に。大袈裟に言いますが、通常学級でも特別支援学級でもどちらを選んだとしても、担任によって「天国にも地獄にもなり得る」ということを知っておいてください。
大袈裟すぎると感じる方もいるかもしれませんが、その理由として、特別支援学校とは違い、「法令上、特別支援学級の担任に特別支援学校教諭の免許は必要ない」ということがあります。
つまり、特別支援学級の担任は、特別支援学校の先生と比べると特別支援教育の知識が浅い、もしくは少ない、又はない可能性が大いにあり得るということです。とても残念なことですが。
「光とともに」という漫画があります。この漫画の中でもそのことでお母さんも本人も苦しい思いをするシーンが描かれています。
免許は一つの指標にすぎませんが、その先生が特別支援教育について必要性を感じ、意欲的に学ばれている方であれば、それこそ通常学級でも個別の配慮が丁寧に為されることもあるんです。
ですから、しつこいようですが、知ることが大切です。見に行って、どんな子たちが在籍していて、どんな配慮がされているか。先生はどんな態度で子どもたちと向き合っているか。知り合いにその学校に既に通っているお子さんがいたら、どんな先生か聞いてみてもいいかもしれません。子どもは先生のことをよく見ています。
そして、仮にとても良い先生に巡り会えたとしても、我々公立の教員には異動があるということも頭の隅に置いておいていただけたらと思うのです。
長々と書きすぎました。
私は特別支援教育の視点は全ての教員が持っていなければならないと思っています。そして、全ての教員が特別支援学級の担任ができるぐらい特別支援教育について学ぶべきだと思っています。自分もまだまだ足りないところがたくさんありますが、、、
そうでなければ、「環境」で本人やお家の人が決められない。決めたのに「こんなはずじゃなかった」が増えてしまう。
どうか全ての子どもたちが自分らしく学べる環境で学べますように。