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おすすめの本「ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある」
10代の頃は夢が沢山ありました。
20代になって、自分の才能について知り、夢から片手を放しました。
30代になって、全く違う場所に居る自分を納得させて、夢から両手を放しました。
もし、10代の頃の僕が、30代の僕を見てどう思うでしょう?
西野亮廣さんの著作「ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある」は、そんな僕の選択肢が本当に正しかったのか、と揺さぶりをかけてくる真っすぐな本でした。
西野亮廣さんが、絵本作家となり、様々な試行錯誤をしながら夢を形に近づいていくまでが書かれています。
文章にすると一文なんですが、もうとにかく、そこに辿り着くまでのバッシングや、地道な努力、数々の発見が分かりやすい言葉で共有されています。
「作る」ことと「完成」することは、実は違っていて、お客さんの手に届いてこそというのは、これまで意識できていなかったことで、特に芸術に関することは、出来たら後は客が見つけるのを待つのが「常識」だと思っていたんですね。
でも、これは西野さんの言葉を借りるならば「育児放棄」なんですよね。自分で産み出した大切な子供のような作品をきちんと育てるまでが作者である「親」の仕事なんだよなあ、と感じました。
クラウドファウンディングや絵本の分業制、お土産としての売り方、絵本の無料アップ等、これまでのシステムとは違う作り方や売り方について、徐々に結果が出ていくところを読むのも勉強になります。しかし、僕は西野さんのことを見つけてくれる人、理解してくれる人が出てくるエピソードで、涙が何度も出そうになります。
中でも、30万円の権利を買ってくれた大吉先生、ニューヨークの個展で来てくれたお爺さん、この二人のところは読みながら頬が緩んでしまいました。
そして、「ノンちゃん」の死の章での海で一人佇む西野さんの姿。
作品が残ることで、第2の死を免れるという発想は「トーマの心臓」を思い出しました。
自分の作った物に対して、夢に対して全力になれるか、それに加えて、協力してくれている人達も救えるか、と後半はコロナが西野さんに迫ってきますが、ここでもみんなを助ける為に手を尽くします。
自分の夢を笑った人や疎遠になった人にさえ、相手の立場にたって考える彼の優しさを感じます。だからこそ、応援してくれる人が集まるのかな、とも感じました。
最後の章の「ゴミ人間」は、もう、頭をガツンと殴られたような衝撃を受けます。いくつも壁の壊し方をしてきた彼だからこその説得力があります。
彼のメッセージを読みながら、初期衝動が甦ってくるような、熱くなれるものがこの章にはあります。
僕自身、10代の頃の初期衝動が爆発しました。
もう一度、何かを創ってそれを「顧客」に届けたい、その為の「ファン」の人達と沢山知り合いたい、語り合いたい。
「これ面白いから聞いて」と話していた10代の頃のように。
30代になって、今、僕は職についてなく、人生がリセットされた状態です。来月はホームレスになっているかも知れません。
でも、今だからこそ、考えて手を動かして産み出して、「作品」を「完成」させられるんじゃないか、と僕は思います。
10代の僕にきちんと納得してもらう為にも。
今、何かを創っている人には、是非、読んで欲しい1冊です。
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