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100歳まで動く体は腎臓次第

40年間医療の現場に立ち、35年間腎臓病治療の研究を続け、患者さんたちの腎臓を治してきた牧田善二医師が腎臓について述べた内容をまとめます。

私たちが健康に長く生きられる体を手に入れられるかどうかは、腎臓がカギを握っています。
腎臓は有害物質を体外に排出するという重大な機能を担っています。
腎臓が体に悪い物質を濾過して尿として体の外に出してくれているからこそ、全ての人が命を維持することができています。
今、働き盛りの世代を中心に、この重要な腎臓が壊れかけている人が激増しています。
現在日本には慢性腎臓病という、気付かぬうちに腎臓を悪くしてしまった人が2100万人います。

腎臓には老廃物や毒素を濾過するための大切な膜があります。その膜はエアコンのフィルターのような働きをしています。
そのフィルターが手入れされることなく目詰まりしていたりボロボロになっていたりすれば、部屋中にカビや悪臭、汚い空気が循環してしまいます。
腎臓を悪くするということはそれと同じことが体内で起きます。体中に毒素や老廃物が蔓延します。

人生100年時代の健康管理には、体に"何を入れるか"に加え、老廃物や毒素を"どう出すか"が不可欠です。
慢性腎臓病になると、それだけで死亡率が4倍にも跳ね上がります。
死亡原因1位の癌や2位の心疾患ばかり心配してしまいますが、その裏では慢性腎臓病が大きな影響を及ぼしています。
慢性腎臓病が癌や心疾患の原因になっている可能性もあり、慢性腎臓病は万病の元と言えます。
慢性腎臓病は、年齢を重ねることそれ自体がリスクであり、特に50代から急激に発症率が増加します。

慢性腎臓病になるとAGE(終末糖化産物)というタチの悪い老化促進物質が大量に生成され、あちこちに炎症が起きてしまいます。
AGEは腎臓の膜にくっついて炎症を起こし、小さな穴を開けます。その穴から、本来は出てこないはずのたんぱく質などの物質が尿に漏れ出してきてしまいます。
その結果、慢性腎臓病があらゆる病気を招いてしまうことになります。

腎臓が悪くなってしまうと人工透析をしなくてはいけなくなります。
人工透析は、腎臓が全く機能しなくなった患者さんに必須の治療です。腎臓の濾過機能が働かなくなれば、体内に発生する有害物質や老廃物が体外に出せなくなり、毒素が体に回ってしまいます。
透析は1回の治療に約5時間かかり、それを週に3回ほど行わなくてはいけません。当然、患者さんのQOLは大きく落ちてしまいます。弊害はそれだけではありません。
透析を始めると血管が痛み、動脈硬化が著しく進みます。透析に入った患者さんの5年生存率は60%です。4割の患者さんは5年以内に亡くなります。

だからこそ、透析に入らないで済む段階での治療が望まれます。

「腎臓を守るためにできること」に続きます。

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