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オランダで家探し:シーズン②

今住んでいる家/地域がどうしても好きになれなくて、もう一度家探しをしている。それだけ、生活と時間に余裕ができて、この都市と周辺の町/村のことが分かってきたんだと思う。

オランダの今の家を買って1〜2年目:好きになるよう努力
3年目:引っ越したいと夫を説得
<<今、ここ。夫も渋々納得しつつある。>>

オランダでは、家を売るよりも買う方が大変。なので、買い替える場合はまず次の家を買ってから住んでいる家を売りに出すことが多いとのこと。

気になる地域を見に行く

今は都市に住んでいるが、都市へのアクセスの良い村〜町に住みたいという気持ちがむくむくと湧いていて、今日は小さめ規模の町の物件を見に行った。
買い物もして周りを歩き回ってみた。

いい町(村?)だった。

町の中心地には、冬限定の仮設スケートリンクが設営されていて、近くの小学校と特別支援学校の子どもたちがスケートに来ていた。何が良いって、「ボランティア」というジャケットを着た大人がわんさかと手伝っていて、ボランティアではない通りすがりの地元の人たちも、積極的に子どもたちに手を差し伸べていた。

チョコレートショップで詰め合わせギフトを買ったら、「一つ味見したら?ミルクかピュアか、どっちの味がいい?」と気さくにお姉さんがボンボンをくれた。すごく美味しかった。お店の雰囲気がお洒落。

オランダによくあるスーパー、アルバートハインにも入ってみた。もちろん品揃えはどこでも同じなんだけど、籠がキレイ。外の自転車置き場では、チェーンロックをかけている自転車は一台もなかった。小さな鍵だけかけてみんなお買い物している。街の安全性への信頼が透けて見える。なんなら、ロードバイク乗りのシニアのおじ様たちがロードバイクに鍵をかけずにコーヒーを飲んでいた。

スーパーの駐車スペースにあるゴミ捨て場の周りが綺麗。割れたガラスが落ちていない。

ギフトショップに入ってクリスマスのキャンドルを買った。障害を持っている人たちが奥でキャンドルを作っていた。ボランティアや職員さんがコーヒー飲みながら大笑いしていて、いい雰囲気だった。

町の中心地には、必要なお店が揃っている。それ以外にも、ちょっといいレストランやお洒落なお店もある。中心部から一本通りを外れると、鳥の鳴き声と緑に包まれる。

町には一つしか小学校がない。もちろん行ってみた。森の中のこじんまりとした二階建ての校舎で、鴨が泳ぐ池がすぐ近くにある。あまりにかわいい光景。

全てが徒歩圏内で、人が少なく、お店の人もお客さんも余裕があるように見える良い町。騒音が少ない(これよ、欲しいのは)。実際に悪い評判を聞かない地域。

気になる物件

お目当ての家の提示額は、今住んでいる家とほぼ同額。大きさも同じくらい。立地は、今の家の方が(まぁまぁ)大都市なので良いのかもしれないが、他の条件はこの物件の方が全ていい。間取りと機能と動線と収納が素晴らしい。今の家より30年ほど新しい。完全レノべされていて、そのレノべ調整が自分の理想以上に良い。すぐにでも交換したい。

何より、家の中からの景色の抜けと静けさが得難いメリット。

村以上町未満に住めるか

住めないと思っていた。快速列車(intercity)が停まる都市の方が便利だと思っていたし、お店もたくさんあった方が良いと思っていた。
ただね、結局駅はほとんど使わないから、都市機能を満喫できておらず、弊害を受けているだけのように感じてしまう。賑やかなだけ。お店もたくさんあるけど正直魅力的なお店は少ない。

一番考えなきゃいけないのは、子どもたちの中等教育機関かな。小学校はどこにでもあるけど、村だと中等教育(日本でいう中学〜高校一貫の学校)がないことも多い。その面では、今日行った町は自転車で10分漕いだら、近辺にある大都市の端っこにある評判の良い中等教育学校に通える(中等教育の三分類を全て含む総合的な学校)。子どもでも15分で行けるし、通学路は開けた自転車専用道路で明るく安全。

夫の職場への通勤時間:変わらず(どちらでも15分かからない)
私の職場への通勤時間:現在の家は40分、今日見た家だと30分

あとは、大袈裟ではなく町で一人のアジア人になっても居心地悪くないか?
都市に住むことを選んだのは、多様性に紛れた方が楽かと感じたから。村〜小規模の町ではよそ者(特に外見が違う外国人)は住みにくいのではないかと思っていた。でもね、三年住んで思ったのは、紛れても浮いてもいいんじゃないかってこと。地域に温かく受け入れられなくてもいい、さらりと疎外されていても、悪意を持たれなければいいかな、と。そのくらいハードルが下がった。
大人になって移住して本当の意味で馴染むっていうのはかなり幻想だと三年で分かったし、その期待はもう持っていない。

この小さな町の図書館でも、オランダ語会話を無料で練習できるtaalcafeが定期的に開催されているから、非オランダ語話者は少しはいるのだろう。

住んでいる家に帰ってきて、なんだかがっかりしてしまった。あの美しい町がすぐ近くにあるのに、なんで私はあえてここに住んでいるんだろうか?


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