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映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』監督日記:136 福島二日間

2024/4/5晴れ 二本松の農場に新たにブドウの樹を植えると塚田晴農場長から教えてもらい撮りに行った。
1月と2月は暖冬で雪景色を撮ることができず残念だったが、やはり春の訪れは農場全体から活力を感じる。朝陽を受けた小麦の芽は本当に綺麗だった。

桜とパネルを初撮影

今回植える30本のブドウの幼木は冬の間、藁を敷いた土の中に寝かせて春を待っていたそうだ。2021年に植えた98本と合わせると128本。立派なブドウ園になる。
以前この日記で書いた「ブドウの樹サポーター制度」は大好評で98本全てにサポーターさんが付いて完売。映画を観て応募してくださった方が多く、作品の影響がこういう形で表れるのは実にうれしい。新たに植える30本もサポーターを募っているのできっと完売になると思う。

ブドウの幼木を植える菅野さん

小型のユンボで掘られた穴に堆肥と土を混ぜ幼木を植える作業は何かの儀式のようで大袈裟かもしれないが神聖な気分になる。
最後の水やりを少しだけ手伝わせてもらったが、ジョウロで水を汲んで何往復かすると腰に来て運動不足を痛感。

茨城できのこ栽培をするソーラーシェアリング事業者さんが視察に来ていた。
塚田農場長が案内する視察を初めて撮れた。(塚田さんは花粉症と格闘中)
昼飯はいつものように塚田さん、菅野さんと一緒に麺屋しん蔵。毎度旨い。

この日は福島駅の近くで一泊。近藤恵さんと久しぶりに晩飯。
近藤さんの事業の話しをいろいろと聞くとソーラーシェアリングを広める苦労を感じるが、間違いなく理解者は増えているだろうし事業展開の先行きには大いに期待を持てる。ご本人はあっぷあっぷだと言っているが、自分は近藤さんの経営者としての才能を強く感じる。

画家・斎藤真美さんが描いた小冊子の表紙。DVDに封入されている。

本作DVDに付録として封入している小冊子「Sunshineの地図」の表紙の原画を近藤さんが持ってきてくれた。
写真を撮り忘れたが、肉筆はやはりいい。塚田農場長が幼い時に絵を習っていた画家の斎藤真美さんの作品だ。自分の友人との思いもよらぬご縁が巡り巡って表紙を描いてくださった。結局この世はご縁の連鎖で出来ているのだ。

4/6(土)は川俣町へ。映画と同じアングルで齋藤農場を撮った。

2024/4/6 晴れのち小雨 川俣町の齋藤広幸さんご一家に会いに行った。齋藤さんは映画にご登場くださってソーラーシェアリングの可能性を力強く説いていただいた。2021年10月の撮影の以来なので2年半ぶりだ。本作DVDを発売前にお送りしことを随分喜んでもらえた。映画と同じ笑顔で出迎えてくださった。
2年半で齋藤さんの環境は大きく変わった。ご自宅を新築して新たなソーラーシェアリング農場の建設し、トマトやブドウ、ダリヤの栽培を始められた。一番の変化は家族経営の農場になったことだ。奥様と次男さん、そして次男の婚約者さんも加わって実に楽しそうに農業をされている。まだ映画に出来るのか分からないのだが、撮影をさせていただいた。齋藤さんの言葉はさらに説得力を増していて、2年半の間に川俣町でソーラーシェアリングが受け入れられていることがよく分かった。

ハウス栽培のトマト。奥様になぜトマトを選んだのか訊くと「私が好きだから」。
好きなものほど愛情を注げる。

専業農家になるまでは機械設備の設計などに従事してきた齋藤さんは、太陽光発電機を全てご自身で設計されている。日本中のソーラーシェアリング事業者の中でも珍しい存在だと思うが、ご本人は「一歩踏み出す勇気があっただけ」とおっしゃっている。一歩踏み出し、電力を自前で作り、地元の理解を得る。これこそ今、日本中で必要とされていることだと思う。
緑が豊かになる頃にまた齋藤さんに会いに来よう。

斎藤さんの農場も常に進化している。

やはり自分は晴れ男なのか?撮影を終えると雨が降り始めた。
齋藤農場をあとにして、午後は東へ進んだ。目的地は福島第一原発の北約20kmにある南相馬市の[おれたちの伝承館]だ。
続きは次の日記に書こう。

<映画公式サイト DVD、サントラCD、パンフレット販売中>
https://saibancho-movie.com

<上映会サイト(上映スケジュールもご確認いただけます)>
https://saibancho-movie.com/wp/

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