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映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』監督日記:121 早稲田大学での上映

2023/5/22 快晴。 早稲田大学の平和学Ⅰの授業に樋口英明元裁判長と自分をお招きいただき学生さんたちとのトークセッションが行われた。

昨年9月。ポレポレ東中野に野々村さんという男子早大生が本作を観に来られた。舞台挨拶後に声を掛けてもらった時に「大学で上映したい」と言ってくれた。大学生が観に来てくれたのがうれしい上に授業で上映したいと言ってもらえるとは驚きの出来事だった。さらに今年1月の下北沢K2の上映には野々村さんと同じゼミの高垣さんが観に来てくれて授業での上映を意欲的に話してくれた。
そして、彼らに女子学生の鮎川さんと普久原さんが仲間入りして、5月15日に授業での上映が実現したのだ。履修生は163名!
企画した4人は提出された感想文を読んで、多くの履修生に原子力発電の危うさを共有できた手応えを感じたそうだ。

一気に163名の学生さんにご覧いただいた。夢のような風景!

そして翌週の5月22日、授業でトークセッションが行われたのだが、自分はこの意義ある機会を世間に伝えられないかと思い、東京新聞の野呂法夫記者とジャーナリストの青木美希さんに取材をお願いした。本作を度々報じてくださった信頼できるお二人だ。

先ずは、樋口さんと自分とが短いスピーチを行った。自分は映画では描かなかった浪江町・請戸地区の惨劇の話しをした。樋口さんは思い込みが可能性を阻むというお話しから、原発の不合理性のお話に繋げた。普段の樋口さんの講演会の参加者は、ほとんどが60歳オーバーなので樋口さんの目には広い教室が全く新しい風景に見えたことだろう。

トークセッションは樋口さんへの質問が多かった。興味深かったのは劇場の舞台挨拶での質問ととても似ていたことだった。劇場は50代以上のお客様が多かったのだが、原発を推進する政府の得体の知れなさは若者たちにとって、ダイレクトに将来への不安に結びついているのだと思った。
「原発をとめるために私たちに出来ることはなにか?」という質問に自分はこう答えた。
「一番手軽に出来ることは、この映画を友達やご家族に勧めること。次に手軽に出来ることは選挙で健全なエネルギーの推進を標榜する候補に投票すること」。また、「反原発団体に入るようなことも考えられるけれど、集団に入ると人間関係に悩まされることもあるので、先ずはハードルの低いことから始めてみてはいかがだろう」とも答えた。
本作を観たことで健全な社会を作るために何かしてみたいと思ってもらえて光栄だった。本作の目的のひとつが叶えられたのだ。

壇上から見ていて印象的だったのは、最前列で取材していた青木美希さんの笑顔だった。学生さん達の意見や質問に終始ニコニコと頷きながら聴いていらした。こんなにも多くの若者がこの問題を討議していることに青木さんは感動されていたのだろう。

この平和学Iの堀芳枝先生とは前作の『日本人の忘れもの フィリピンと中国の残留邦人』からのご縁があった。映画を授業で上映して翌週には自分を講師として呼んでいただいた。
『原発をとめた裁判長』が完成してすぐ、堀先生に連絡を差し上げたのだが、予告篇を見てびっくりされた。実は堀先生は二本松有機農業研究会のサポーターでソーラーシェアリング農場づくりを支援されていたのだ。当然、有機農研代表の大内督さんのことも近藤恵さんのこともご存知という、なんとも不思議なご縁で繋がっていたのだった。

素晴らしい授業を企画していただいた学生さん達、堀先生、ジャーナリストのお二人と。

授業が終わって堀先生お勧めのウズベキスタン料理店で皆でお昼をご馳走になった。学生さん4人と樋口さん、野呂さん、青木さんがひとつのテーブルで映画のこと、社会のことを話し合った。美味しいご飯を食べながらリラックスして話すこの場こそ履修生全員と共有したいと思うほど豊かな時間だった。

光栄だったのは、鮎川さんが映画を観たあとにお父さんに樋口理論のことを話してくれたことだ。反論するお父さんに鮎川さんは「それ、ガル的にダメだから!」と説明したそうだ。「ガル的にダメ」という言葉の威力には恐れ入った。自分の中で一気に想像が膨らんで各種メディアは毎月の地震のガル(加速度)数を発表するべきだという考えに至ったし、ガルをもっとポピュラーにするためにも本作をもっともっと広めなくてはと心に刻んだ。

そう、「ガル的にダメ」なものはダメなのだ!!

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https://saibancho-movie.com


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