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「恋愛中毒」山本文緒

「世の中の恋愛至上主義な感じ、ありゃ一体なんなんすかね!?恋愛してなかったら負けって感じイラつきますよ!!」

この言葉は、10年以上前に一緒に焼肉を食べた時、後輩が放った言葉だ。
当時彼女もいなく仕事もつらかったこともあり、ベロベロになった後輩がいきなり言い出した。
ていうか酒が好きすぎなコイツがベロベロになる前に酒を止めれたところを見たことがない。。

今や結婚してきっちり落ち着いた後輩だが、あの頃は鬱屈していたんだな、と思う。

彼と話してみたい。
当時よりも今はもっとひどいのでは?と。
当時は恋をしていれば大丈夫だった?が、今は恋が成就していないと世間に認知されない、そう!!”リア充”ってやつだ。
片思いしてるなんてなんの評価にもならない。
人間関係が苦手な人達には酷な時代だなぁと思う。

ただ、生物としては正しい評価基準なのかもしれない。
だって恋愛の先には子孫繁栄があるのだから。
生物としては、生物としてはね。
人間も他の生物のように単純だったら良いのに、実際はそうはいかない。
恋愛はごちゃごちゃややこしい、ややこしかったらストーリーになる。
よって小説でも恋愛小説ってジャンルがあるんだな。
というか”ほれたはれた”は神話の時代からストーリーの主なのだ。

本作はなんの予備知識もなく読んだ。
Amazon、Kindleアンリミテッドでただで読めるからっていういのと、恋愛小説を読んで甘ったるい・切ない感じになりたいと思ってダウンロードした。

ちがった。。甘く切なくなかった、つらく醜い恋愛のいや~な面を見ちゃったって感じの本だった。
そこが新鮮な裏切りで面白かったは面白かったです。。

最初は男性社員の視点で語られる。
粘着質で自分に執着する彼女から逃げるため、会社も変えた青年。
彼が新たに入った会社では、社長との不倫疑惑の噂もある不思議な年配女性社員がいる。
その女性社員が語る形で、彼女の過去が語られるのだ。

タイトル見て気がつけよって感じだった。
だって”中毒”だよ。
麻薬中毒、アルコール中毒、本来中毒というのはいい意味ではないのだ。
度を越してはまってしまい抜けられないもの、上記の2例なんて意志ではどうしようもない病気、そんな病気のように恋が描かれる。
やってる本人も、やられてる相手も不幸になりかねない恋愛、でもそう単純じゃないのも恋愛の不思議。
カオスな感情が沸き起こる作品だった。


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