ハンバーグは洋食界の○○○
洋食屋さんの4番バッターは満場一致でハンバーグ。老若男女を問わず、洋食界の一番星は、エビフライもカニクリームコロッケもマカロニグラタンさえも押しのけ、ハンバーグで異存はございませんか?
突然すみません、OASIのオーナーシェフ、吉田香織です。今回はみんなが大好きなハンバーグについて書こうと思っています。なぜなら、先日とても美味しいハンバーグを作ったから。(単純)
なんせハンバーグの良さって、家庭でもできるってところだと思うのです。エビフライもクリームコロッケもグラタンも、家で作れないほど難しい料理じゃあないんですよ。だけど、料理人がカッコつけて言う"ベシャメル"、ハインツが言うところの"ホワイトソース"を自ら作るとなるとハイレベルな気がするし(いや全然そんなことないけど)、エビの背ワタ抜いて剥いて延して、って、バレリーナみたいにピンと足が伸びたいわゆる洋食屋のご立派なあれを作ろうと思ったらちょっと一手間いるわけで。それに比べたらハンバーグは相当フレンドリーです。洋風なのにご飯と味噌汁にも合うし、デミグラスでもトマトでもウスターでも中濃でも赤ワインでもクリームでも、ソースというソースにピタッと寄り添う。硬派なようで意外にソフト、彫りが深くて西洋人風なのにバリバリの日本人、おしゃべりで気さくで優しいイケメン。だれ、それ、そんな人いるね、ほら、歌ってる人、あー、平井堅! そんな感じ。(どんな感じ)
さあ今夜は平井堅を聴きながらハンバーグを作りましょう。だいぶ濃ゆいのができそうですね。私がコツを伝授します。
コツ① ハンバーグの材料は全て冷やします。混ぜてる手でミンチが温まらないように気をつけます。できれば、ボールも冷やします。これは、肉がだれないようにするためです。すべてはジューシーなハンバーグを焼くため。
コツ② 玉ねぎは必ずしも炒めなくてもいいんです。炒めて冷ます時間がないくらいなら、細かくみじん切りにした玉ねぎを生で加えてもよいのです。この前初めてそうして作りましたが、玉ねぎの食感がアクセントになって逆によかったです。
コツ③ 肉肉しさとふんわりの加減は好みです。これを左右するのがパンの割合です。私が店でハンバーグやミートローフを作るときは余った自家製のフォカッチャを細かくちぎって牛乳にひたしますが、家庭では食パンやパン粉でいいでしょう。ふんわりやわらかいのを作りたいならやわらかい食パンの方がいいのではないでしょうか? 肉の重量に対して10%から20%の幅で調節してみてください。
コツ④ タネが白っぽくなるまで捏ねますが、塩を入れてから捏ねます。塩にはタンパク質を結着させる役割があります。
コツ⑤ 味付けはしっかりします。ハンバーグのタネは生のまま味見ができません。だから、こんな私でも計りを使います。肉の重量の1%の塩が基本です。そうやってタネを作ったら、小さなフライパンでちょっとだけ焼いてみたり、電子レンジでチンして味見して、ここ、というところまで塩味を決めてください。
コツ⑥ 以前、OASIの「大人のお子さまランチ」というイベントでハンバーグを作ったときは、和牛のスネ肉と豚肩ロースを7:3で粗めに自家挽きしました。もしスーパーやお肉屋さんで粗挽きが手に入るなら、分量の一部を粗挽きにしてみてください。肉肉しさがアップします。
コツ⑦ 両面をしっかりがっちり焼き固めたら、フライパンにお湯を入れて蓋をします。弱火でじっくり蒸し焼きにしたら、夢のように大きなハンバーグもふんわりジューシーに焼き上がるでしょう。
以上のことを踏まえて作ってみてください。
基本のハンバーグの材料と手順を書いておきます。
夢のハンバーグ
材料(4人分)
合い挽きミンチ 500g
食パン 50〜100g (細かくちぎって牛乳に浸しておく)
玉ねぎ 1個 (みじん切り。炒めて冷やしておく、または生のまま)
卵 1個
塩 5g
ナツメグ 少々
(ソース)
赤ワイン100ccほど
ケチャップ 大さじ2くらい
ウスターソース 大さじ2くらい
粒マスタード 小さじ2くらい
手順
① 材料を全部ボールに入れてよーく混ぜる。白っぽく粘りが出るまでよーくよーく混ぜますよ。
② 親指の先くらいの量を焼くか電子レンジで加熱して味見をする。美味しいと思うところまで塩で味付けしてくださいね。味見は大事です。
③ 4等分して丸める。手にオイルをつけて整形すると綺麗な形にできますよ。表面の滑らかさも実大事。
④ 十分熱したフライパンで両面をガッチリ焼き固める。お湯を入れて蓋をしたら弱火でじっくり蒸し焼き。串を差して出てきた肉汁が透明だったらOKとか、金串を差して下唇に当てて熱ければOKとか。焼きすぎてパサパサになることだけは避けたい。
⑤ ハンバーグを皿に盛ったら、フライパンに残った肉汁でソースを作ります。(いちばん簡単でいちばん洋食屋っぽいのを紹介します)
⑥ フライパンに赤ワインを100ccほど注ぎ入れ、じゅわーーっとアルコール飛ばしたら弱火にして煮詰めます。2/3くらいに煮詰まったら、ケチャップ、ウスターソース、粒マスタードを混ぜる。ハンバーグの上にええ感じにかけましょう。洋食界のイケメン平井堅一番星4番バッターの出来上がりです。う〜う〜Ah~Ah~
それではみなさん、召し上がれ。