涼飇(りょうひょう)
湖畔のレストランで食べたピザの味は覚えてないけれど、そこに漂っていた空気は覚えている。
箱根に旅行した時のピザの写真が出てきた。この写真だけ見ていると最近食べたピザと変わらないけれど、前後の写真で食べた時の感覚を思い出す。
湖畔のレストランは賑わっているけれど、圧迫感はなかった。
天井が高いことや、湖畔の風の気持ち良さとか環境的な理由はあるけれど、本当の理由は違うところにある気がしてきた。
目を凝らしてみると、食事をしている人々がとてもくつろいでいるのがわかった。
緩やかな空気が、レストラン内に流れている。
いつもの場所から距離を置いて、急ぐことから離れているからなのだろうなと思う。
時間の流れが違うところに来た時、人格すらも変更可能だ。
張り詰めていても、くつろいでいても、その空気は人に伝染する。
ならば、できるだけ爽やかな風を吹かせたい。
湖畔のレストランの写真を見返しながら、そんなことを考えた。
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