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【映画:羊の木】信じるか疑うか
映画の「羊の木」を観てきました。「信じるか疑うか」というコピーがついていますが、ドロドロした話ではなく、結構さっぱりとしていた感じがします。後味は悪く無かったです。ちょっとそわそわしちゃうけど、ところどころ、ほっこりもあります。
いろんな人の人生が交錯して進むストーリーは、暗い話なのかと勝手に思っていました。どうしてかと言うと、一昨年に「怒り」という映画を観たからです。「怒り」は指名手配犯の顔に似ている3人の男が各地に現れます。指名手配犯と似ている男と距離を縮めていく人々には心の葛藤があります。信じたいけど疑ってしまう、人間の弱さを描いているように見えました。
一方「羊の木」は、最初に主人公の月末(錦戸亮)が「いいところですよ。人もいいし。」というのは本当だと思えるように描かれていました。
元殺人犯の6人が魚深という町に移り住んできます。これは国家プロジェクトで市役所の部長と月末と月末の後輩だけが知っています。魚深の人たちは新住人には寛容です。元殺人犯ということは伏せられていますが、新住人にあれこれ詮索したり色眼鏡で見たりしません。そういうところが刑務所から出てきた人の心を落ち着かせるんだと思いました。
過去に起こした罪は無くなりません。ですが、これから前向きに歩む権利は元殺人犯にもあるということも描かれているような気がします。
「私はもう一生、人を好きになってはいけないのですか?」
ある女性が言うのですが、彼女の「好き」は誰にも止められません。
もう一度、新たに人生を進めたいと真面目に生活する人と、その部分をまっすぐ見てくれる人がいること。双方が揃うことは現実的には難しいですが、映画ではそんな部分も表現されています。
映画の途中で、こういうセリフもありました。
「人が肌で感じたことは、大抵あってます。」
噂や勝手に抱いてしまう先入観。そうではないところで感じたことが、真実になるのかもしれません。