【みちしるべ#5】種市雅也さん~商社で働きながら~(前編)
学校に、就活、アルバイトに、お仕事、
みなさんおつかれさまです。
さて、あなたにとってオリエンテーリングとは何ですか?(哲学)
きっと、人それぞれちがいますよね。
そして、それでいいんだと思います。いいんです。
この「みちしるべ」では、
学生オリエンティアと社会人の先輩オリエンティアとの対談を通じ、オリエンテーリングとの向き合い方を考えるきっかけを提供します。
第5回のゲストは、現在なんとブラジル🇧🇷にいらっしゃる、種市雅也さんです。
現在は、総合商社で働かれており、今年度よりブラジルに配属された、種市さん。社会人になって、お仕事もバリバリされながら、オリエンテーリングを続けてらっしゃると風のうわさでお聞きし、 お話を伺ってきました。
社会人になり忙しく、オリエンテーリングを離れていた時期もありながら、またオリエンテーリングに復帰された理由、きっかけや、就活中のご経験についてもお聞きしてきましたヨ👀
ゲストプロフィール
インタビュアープロフィール
種市さんってどんな人なんですか?
ー簡単にご経歴を教えてください。
私は愛知県名古屋市出身で、オリエンテーリング部のある東海中高にまず入りました。当初はサッカーや野球等、人気スポーツをやりたいなと思っていたのですが、学校の垂れ幕に、当時、ジュニア世界選手権(JWOC)に行かれていた深田先輩、宮西先輩の活躍が書かれていて。それを見て、やってみたいなと思い、入部に至りました。
中高では5年間オリエンテーリングをして、浪人の1年間を経て、東京大学に2016年に入学しました。
大学入学当初は、オリエンテーリングへの熱もそこまで強くはなかったのですが、東大OLK(東京大学オリエンテーリングクラブ)に入って、皆さんの活気や、森に対して愛溢れる姿に影響されて、自分もいつの間にかオリエンテーリングに熱中し、ずっとオリエンテーリングに向き合っている選手になっていました。
そして2020年に大学を卒業し、総合商社に入社しました。
オリエンテーリングの強さの秘訣は?
ーJWOC代表経験、そしてインカレ(日本学生選手権)においてはミドル、ロングでは入賞、スプリント、リレーでは優勝という成績を残した種市さん。どうして種市さんは強いんですか。
ざっくりした僕の強み、スタイルとしては、うーん。技巧派ではなくて、やっぱどちらかといえば走力派でしたね。なので、ミス率が低いレースをするよりは巡行が高く、そこでなんとか最終的に順位を上げて勝つことが多かったです。
インカレや選考会といった勝負レースでは、結果はいつも良くて。そういったところが自分の強みだったのかな、と思います。
ー勝負レースで結果を残すことは、簡単ではないと思うのですが、秘訣みたいなものはありますか?
普段から本番に対する気持ちというか、レースに向けて、勝ちたい気持ちを持って毎日走ってて。それで、どんどんどんどんその気持ちを積み重ねていき、最後、レースでもその気持ちで走っていました。なので、普段の120パーセントの走りができるのかなと。それはもう自分の気持ち次第かなと思います。
ーぴえー、なるほどです。でも…重要な大会が近くなったら、やる気が出るのはわかるのですが、インカレとか、大きい大会が近くないときにも、モチベーションを保つコツはありますか?
そうですね、コツというわけではないですが…。例えば、秋インカレが終わったら春インカレと、次に次に、大きい大会をずっと目指してきたので、あまりそこで自分でモチベーションあげようということはなかったですね。自然とそこに向かっていました。
ただ、そこは自分の気持ちというよりは、僕が入ったとき、東大OLKの4年生が本当に強い世代で。猪俣さん、 木島さん、前中さん、その1個下の代に松尾さんとか。その後のインカレで活躍していく選手がたくさんいて。それぞれの選手が、みんなに応援されて、勝っていく、その姿がすごくかっこよくて。そこに憧れを持っていたのが一番の原動力ですね。
ー長期的な目標、高い目標が常にあって、そこに向けて突っ走ると同時に、周りの環境、雰囲気もすごくよくて、ということですかね。
そうですね。本当にインカレの雰囲気が好きで。その中でやはりもっと結果を残したい気持ちはあって、普段の練習も頑張れたかなと思います。
「もっとやってくださいよ」ーオリエンテーリングに再復帰ー
ー社会人になって、バリバリ働かれている中で、オリエンテーリングを辞めようと思ったことはありますか?
辞めようと思ったことはありませんが、実質辞めていた時期はありました。最初の1年間は特に本当に忙しすぎて、もうオリエンテーリングは全くやっていなかったですし、ほとんど仕事のことばかり考えて生活していました。それこそ本当にラップセンターも見てなかったですし。Japan-O-entrY、orienteering.comも全然見ていなくて。見ちゃうとやりたくなるけど、多分やってもうまくいかないだろうなという思考になっていました。またやりたい気持ちはあったのかもしれません。
ーそこからなぜまたオリエンテーリングに復帰されたのでしょうか。
3年目になったあたりで、徐々に仕事の余裕も出てきて、オリエンテーリングへの思いが蘇ってきました。またオリエンテーリングを始めようとして、でも時間がないからやめよう、となるのを繰り返したなかで、本格的にまた最近始めたきっかけは、昨年2022年の年末です。
練馬OLCのイケタク(池田匠さん)や同期の東大OLKのみんなで、フットサルをやろうという話があって、
そこに行った時に
「もっとやってくださいよ。」
みたいなことをイケタクに言われたのが割とこう。自分の中では、そう言われるのだったら、もっとやろうかなっていうのもあって。
色々忙しいなかで、どこまで競技に向き合えるかをずっと悩んでいましたが、新年、やろうと決めて。
2023年、今年の1月1日から、走り始めました。
そして走り始めて1ヶ月ぐらいで、会社の方からブラジル駐在の内示が出ました。ブラジルに行ってもオリエンテーリングはやりたいなと思っていて、5月の大会に出ようかなと考えています。
ーおおお。ブラジルでもオリエンテーリングは盛んですか?
そうですね。思ったよりも大会があって。毎月1回ぐらいはどこかで大会があるそうです。
ーどのくらいの期間、ブラジルにいらっしゃるんですか。
4月からまず3ヶ月は語学研修で、その後8月にサンパウロに本赴任してから3年くらいかなと思います。
就職活動ーオリエンテーリングとの両立は?ー
―総合商社にお勤めの種市さん。総合商社の就職難易度は高く、準備も必要であると思うのですが、就職活動を始められた時期やスケジュール感を教えてください。
不安にならない?大丈夫?笑
―(就活中の木口)あ、大丈夫です笑(や、やさしい…笑)
僕は経済学部に所属していたのですが、3年生の春ごろに「就活っていうのがあるらしいぞ」っていうのを聞いて、「なんか登録した方がいいみたいだよ」って言われてとりあえず登録しました。
夏まではインターンを受けたのですがあまり受からず、モチベーションもなくて。1dayや3daysのインターンに行っていた気がします。その後秋になってなかなか内定取れないなと。
ー秋ごろには本選考にエントリーされていたということですか。
外資系の金融、コンサル、メーカー、例えばP&Gとか受けていましたが、意外と内定取れないんだなと焦り始めてきたのが、秋や冬とかで。
冬になってもなかなか内定取れなくて、もう外資系は全部諦めて日系企業を受け始めてから徐々にフィーリングが合う企業が増えてきました。
結果的に春になって、ようやく内定が1社目取れて、その後、総合商社、5大商社全部受けて、2つ内定取ってという感じですね。
ーす、すぎょい…。オリエンテーリングも精力的に活動されつつ、夏や秋ごろから、外資系含めES(エントリーシート)を出されていたということですよね。
夏はあまり大会がなかったので、そういう時期にしていましたね。でも大会と被ってしまうとどちらかを決断して就活の選考に行くのですが、そこで落ちるとかなりショックというか、大会行けばよかったなと思ったことは結構ありましたね。
ーそうですよね…。就活が本格的に進んでいく1~3月頃は、春インカレへの準備と被るところがあるのかなと思うのですが。その両立はどのような感じでしたか。
なかなか難しかったような気はしますね。ただ、両方頑張るのはあまり得意ではなかったので、この1週間は就活して、それが終わったらインカレに集中しようみたいな感じでしたね。経済学部自体は余裕があったので、就活はしつつトレーニングはできていました。
―お話を聞くなかで、オリエンテーリングに関しても何に関しても高い目標を持ってらっしゃる印象を抱いたのですが、就職活動においての目標や理想はありましたか?
大学卒業してから、その先ずっと長い間仕事は続くので、仕事のなかでも高い目標を持ってできるような仕事がいいな、とまず思っていました。そのうえで様々なところにチャレンジできそうな会社を探していましたね。
ーそのなかで、今のご就職先に決めた決め手はありますか?
それは内定が取れたからにはなりますが。自分の等身大の姿で面接を受けて選ばれたということは、おそらく入ってからもそれなりにいけるのかなと思って。なので、受かったところが自分と合っているとこなのかなと思っています。
―会社側に好まれそうな形に自分自身を寄せたり、自分をちょっと大きく見せたりするとかではなくて、ありのままの自分を出して、それを採用していただいたということは、マッチングOK★みたいなことですよね。
そうそうそう、そうですね。
ー就職活動では、社会人でもオリエンテーリングを両立することを前提に就職活動されていましたか? オリエンテーリングにおいても高い目標を持ち続けたい一方で、仕事も頑張りたい、といったところで葛藤があったのかと思いますがどうでしょうか。
そうですね。そこはもう正直全然わからなかったので悩みつつ、ただ、学生4年間でオリエンテーリングやりきろうとは思っていました。
ーなるほどです。やり切って、また次のステージ、社会人でも頑張ろうっていう。
そうそうそう。
オリエンテーリングの経験を、どのように伝えていたの?
ーちなみに、いわゆるガクチカ、「学生時代に力を入れたことはなんですか。」とよく聞かれたと思うのですが、どのような内容を話されていましたか?
まさに本当にオリエンテーリング一択で、ガクチカも挫折経験も全部オリエンテーリングだけで話していました。
ーオリエンテーリングを通して、どのような強みをアピールされていましたか。
粘り強さや、目標に向かって努力していく過程は、仕事の中でも絶対使うと思うので、そこを伝えていたかなと思います。
ー就活中の私自身も就職活動をするなかで、PDCAをまわすみたいなところはすごく評価いただきますね。オリエンテーリングをひたすら熱中してやっていると、就職活動大丈夫かな、と不安に思うときもありましたが。実際、就活やってみて、すごく興味を持って聞いてくださる方や評価していただく機会もありますし、熱中して好きなことをとことんやるのって大事だなと。
そうですね。あとは、就活の面接は短い時間で伝えなくてはいけないので、うまく話せるように友達と練習していました。
自分から直接強みをアピールするよりは、聞かれたことに対して間接的に自分の強みを伝える、連想させるように返答していました。例えば、「自分は粘り強い人です。」と言うのではなく、体験談を伝えて、そこでそういう人なんだなと思わせるように話していました。
ーさらにお聞きしたいのですが、オリエンテーリングのなかでも具体的なエピソードは何を話していましたか?
挫折経験は、1年生の選手権リレーです。4連覇がかかったレースで、1走を走ったときに、うまく自分の走りができなくて。もちろん僕が選ばれた一方、走れなかった4年生、3年生、2年生がたくさんいたので。そこに対する悔しさ、申し訳なさは、すごく今でも残っているのですが、それはその通り伝えました。
頑張ったことは、インカレでの結果やユニバ―(WUOC、世界大学選手権)への出場に関して、そこに向かっていった過程や、大会運営も話しましたね。
でも、自分の好きなところを語るのが一番相手に伝わるとやはり思うので。あまりエピソードにこだわらずに自分の持っているなかで一番印象に残っていることを伝えるのが一番大事かなと思います。
ーよく言われる自己分析、やはり大事ですかね。
そうですね。ゼミの同期が同じ業界を受けていたので、その人と一緒に昼休みとかに対策していました。他人に一回見てもらいながらやると、より洗練されるのかなと思います
ーいや、なるほどです。もう自分は手遅れみたいなとこあるのですが。笑 オリエンテーリングと一緒で、就活に関しても、対話を通して、言語化されていくことありますよね。
そうですね。特にオリエンティア同士で話すのだと、お互い話すことがわかってしまうので、オリエンティア以外だとなお有効だと思います。
僕のゼミの同期はテニスで全国大会に出ている人で、お互い同じスポーツでも全然違うところがあるじゃないですか。そういった人に面接練習をしてもらって、もっとこういうところを聞きたかったとか指摘してもらいながら、話し方や内容を改善していました。
ーなるほど。ですので、就職活動をされる方はオリエンテーリング界の方に限らず、色々な方とお話しながら就職活動されるのをおすすめします…
後編は、6月16日(金)に公開予定です。
後編では、種市さんの学生時代のお話、中学生から社会人にむけての目標の変化や、社会人でもオリエンテーリングを続ける理由について、深堀していきます!
ぜひご覧ください。
お話の続きはポッドキャストにて先行配信中!
本記事では割愛した、種市さんの学生時代のトレーニングについてや、私たち学生インタビュアーのお悩み相談についてもお話を伺っています。
感想お待ちしています!
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