【最新作云々㊸】5000歳のガチムチ男、復讐に現る!! 正義の四天王と超絶肉体言語で解り合っちゃう人情ダークヒーロー映画『ブラックアダム』
結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。=^._.^= ∫
こんな陽光輝く冬の昼下がりにはとある駅前のラーメン屋に入った時のことを思い出す、O次郎です。
今回はDCエクステンデッド・ユニバースの最新スーパーヒーロー映画『ブラックアダム』です。
筋骨隆々のタイラントのごときヴィランがDC版のアベンジャーズよろしくの正義のカルテット"ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ"を相手に大暴れする超大作で、単独作品にも関わらず実質ヒーローが挙って登場する大盤振る舞いな作品です。
彼らの地球狭しと天地を揺るがしぶつかり合うアクションと各人の際立った個性の巧みな演出、大敵を前にした離合集散のやきもきさせるドラマは大いに楽しめつつも、一方でブラックアダム当人の行動原理や目的地平の描き方についてはやや不十分だった感も有り、そのあたり個人的に感じた良し悪しを認めてみようと思います。
大作好きもそうでない方も、ヒーロー映画好きもそうでない方も、美しい方もそれなりの方も読んでいっていただければ之幸いでございます。
それでは・・・・・・・・・・・・"写ルンです"!!
※吉田戦車先生じゃないほうね・・・。
Ⅰ. 作品概要
DCEU作品の通算11作目。以前『ピースメイカー』について書いた時にも思いましたが、膨大な数の本筋シリーズと派生作品のあるマーベル作品と違ってこちらはまだ比較的穏やかなペースなのでガチガチでなく追っかける側としては有り難い次第です。
※ちなみにその以前書いたヤツはこちら。よろしければ併せてどぞ。
DCヒーローの中でも、あくまで素の人間でありながら人並ならぬ鍛錬とハイテク装備によってヒーローとなったタイプと、人ならざる者あるいは元は人ながら僥倖によってそれを超越した存在となった者が人類ないし特定の人々の庇護者たるヒーローとなったタイプがありますが本作の主役ブラックアダムは後者。
本作のみならずその主演作品の多くで製作も兼ねる"ロック様"ことス-パースターのドウェイン・ジョンソンが実に十年以上も掛けて作り上げたという並々ならぬ熱情の籠った作品であり、それが本作のエンドクレジット中のヘンリー・カヴィル演じるスーパーマンの再登場に現れています。
なんでも、DCエンターテインメントの重鎮の一部が彼のスーパーマンの再登板を良しとしていなかったものの、ユーザーファーストであくまで再登場を前提に脚本・撮影を進めたとか。
実際の試写での観客の熱狂を背景に遂に上層部を説得し切ったとのことですが、ヘンリー・カヴィル側含め根回しは相当なものだったろうと察します。
ドウェイン自身も少年期からのDCコミックファンだったとのことですが、まさしく真のエンターテイナーというところではないでしょうか。
Ⅱ. 個人的ヒャッハー‼な点
・JSAヒーローの面々の多彩さと個性の煌めき
復活した破壊神ブラックアダムを抑え込むために米国政府組織A.R.G.U.S.があまりにも鮮やかに速やかに招集したジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカの面々。
"事前に単体ヒーロー作品の生まれていないその他大勢のヒーロー"ということで、それこそ同じDCヒーローのスーサイド・スクワッドの登場してすぐに落命しちゃうなんちゃってヴィランや、マーベルの別次元のイルミナティみたいに咬ませ犬的に使われるかと思いきや、作中で使い捨てられることなくきちんと個性とチームとしての一体感、それぞれのアクション的な見せ場も充実しており、『ジャスティス・リーグ』で培われたDCなりの集合ヒーローのドラマツルギーの巧さを感じさせます。
マーベルのアベンジャーズたちはその殆どが国や人種や組織といった重い十字架を背負っており、それがゆえにその重責に圧し潰される重厚ながらも重苦しいドラマが展開される傾向にありますが、こちらのカルテットヒーロー達には一貫して陽性の気概があり、等身大の人間であろうとする各人の前向きさにはまた違った魅力が現れています。
怒りと失意の中で封印されたブラックアダムを相手に拳を交え、その根底にある慈しみに感応し、共通の敵を前に共闘へと流れる展開は非常に自然ながら興奮のニヤニヤが抑えられないところであります。
Ⅲ. 個人的ムムムッ‼な点
・ブラックアダムの戦う理由と守る対象の曖昧さ
いわば上記の良い点の煽りのような部分なのですが、現代に復活したブラックアダムの行動原理が些か描写不足に思えます。
五千年前に奴隷として酷使されたうえに愛する妻と息子を失っただけでなく、本来勇者となるべきは自分の息子でその彼は自分を守るために落命…。
神聖なる力を仇敵の暴君への復讐のために用いたまでは解りますが、魔術師たちに封印されたことで復讐が頓挫。5000年経って目覚めたことでかつて自身を追い詰めた者たちに復讐するにしても、そもそもその復讐の対象がその子孫たちとなると全世界のあらゆる人種・民族が対象となってしまうのが道理というわけで。
自分を目覚めさせた大学教授と彼女の息子を庇護することを己に課すくだりにしても、現政府の圧政に虐げられている家族でビジュアルが自分のかつての家族を彷彿とさせる…というぐらい。
そもそもがヴィランヒーローだからには、夥しい時が経過したことで復讐の対象が潰えてしまったことに憤り不惑となりつつ、かつての暴君の子孫のサバックという格好の宿敵を得て、彼の齎す破壊の中でも狂喜乱舞するぐらいの振り切りっぷりが有っても良かったかと思います。
ともあれ、本作ラストでブラックアダムがスーパーマンと対峙したことによって、いつかの続篇で頂上決戦が行われることは既定路線でしょう。
『ジャスティス・リーグ』に加え、それ以前の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』などでは特に、他のヒーローに比べてスーパーマンの強さがあまりにも群を抜いている感がありありと見て取れましたが、ここにきてそれに比肩する傑物がようやく登場、というところでしょうか。
"地球出自のブラックアダムが人類の脅威に、異星出身のスーパーマンが地球の庇護者に"という捩れ構造も面白いドラマを生みそうですので、是非ともマーベルに負けず劣らず、DCヒーローなりの頂上決戦をドンと出してきて欲しいところであります。
Ⅳ. おしまいに
というわけで今回は最新のDCエクステンデッド・ユニバースの最新スーパーヒーロー映画『ブラックアダム』について語りました。
DCEUの次作としては『シャザム!〜神々の怒り〜』ということで来年3月公開。今回は彼の姿は登場しませんでしたが、ブラックアダムの誕生に魔術師シャザムが深く関わっている以上、そのへんの絡みも描きつつ一作目以上のスットボケぶりもかましてほしいところで…。
今回はこのへんにて。
それでは・・・・・・どうぞよしなに。