【最新作云々61】ルール無用の悪党に悪のパンチをぶちかませ... 権力を抱き込んだ巨悪とマフィアを一網打尽にすべく結成された愚連隊が暴れ回る骨太アクション映画『BAD CITY』
結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。(*゚ー゚*)
『タイガーマスク』といえば初代でも『〃二世』でも佐山聡さんでもなく、『ダウンタウンのごっつええ感じ』のとあるパロディーコントを思い出す、O次郎です。
今回は最新の邦画『BAD CITY』です。
小沢仁志さんの還暦記念作品、ということでご自身が主演に加えて脚本・製作総指揮も務められた超絶アクション大作です。
普段は主にヤクザ映画でその佇まいとドスの利いた声だけで強烈な存在感と安定感を示す小沢さんが、CGもスタントも無しの一切誤魔化しの利かない状況下で年齢を感じさせないガチンコの骨太アクションを全編に渡って披露されており、それに加えてTAK∴さんの体現する超速格闘もふんだんに盛り込まれていてそのバリエーションも豊富で飽きさせません。
加えてストーリーである警察・財閥・暴力団・マフィアが入り乱れての抗争はきっちり展開が練られており、アクションシーン以外もきちんと作り込まれていて細部まで美味しいです。
また、この手の作品にしては苛烈なバイオレンス描写は抑えられており、それでいて迫力はきちんと担保されているので、グロテスク・スプラッター関係が苦手な方にも楽しめるのではないかと思います。
邦画のアクションに物足りなさを感じていた方々、ハードボイルドは好きだけども暴力描写がどうにも苦手な方々、参考までに読んでいっていただければ之幸いでございます。
それでは・・・・・・・・・・・"タイガーランページ"!!
Ⅰ. 作品概要と見どころいろいろ
(あらすじ引用)
開港市に縄張りを持つ桜田組組長が韓国マフィア・金数義(山口祥行)によって殺された。金数義とひそかにつながっていたのが、漢城市を影で操る巨大財閥・五条財閥会長・五条亘(リリー・フランキー)だった。検察庁検事長の平山健司(加藤雅也)は五条亘を告発すべく、公安0課の小泉香(壇蜜)を中心に、熊本(勝矢)、西崎(三元雅芸)、野原(坂ノ上茜)をメンバーに特捜班を結成し、また、特捜班のもうひとりのメンバーとして、刑務所に服役中の元強行犯警部の刑事・虎田誠(小沢仁志)を期限付きで復活させるのである。
というわけで三つ巴四つ巴の一大抗争劇です。"毒を以て毒を制すために問題刑事を時限で復帰させる"という設定としてはかなり使い古された類のものですが、人気・実力・そしてアクの強さの伴ったキャスト陣の力演によって掛け値無しに面白い作品に仕上がっています。
また、既に上で述べましたが流血表現や性描写、人体断裂といったショッキングな描写は極力避けられているため、そのあたりの表現が苦手な人でもこの重厚なハードボイルドテイストに浸れるため、実はかなり間口の広い作品だとも思います。
そしてケンカ殺法的なヤクザ連中と一線を画する、韓国マフィア側のヒットマンを演じるTAK∴さんの桁外れのスピードの格闘術。
彼の存在によって作品内のアクションが体系化されているだけでなく、
・TAK∴さんの超絶格闘術に翻弄されて特捜班が敗北
・後半に満を持して対峙した小沢さんが持ち前の重い動きでコントラスト鮮やかに戦って痛み分け ※構図的には『ダイ・ハード4.0』でのブルース・ウィリスとマギー・Qに近いか?
・小沢さんを先に生かせるために三元さんと坂ノ上さんが二人がかりで死に物狂いでTAK∴さんの超速体術に張り合って辛勝
というようにアクションにもストーリーが流れているのが実に見事でした。
ストーリーとしては目の前の凶暴な敵に加えて内通者の存在もスリルを与えており、検察庁検事長の平山(演:加藤雅也さん)が暗殺されたあたりから俄然盛り上がってきます。
それと同時並行的に過剰防衛での殺人のかどで服役していた主人公の真偽も徐々に明らかになってきますが、自らの口で声高に無実を主張するようなことはせず、黙々と敵に食らいついていく姿はまさに70年代の孤高のヒーローそのものです。
そのキャラクター性を反映してか、特にセリフ回しは時として実に大仰で"クサい"のですが、それが作品トーンに極めてマッチしていてこの上なくカッコよく、自然に出たものと見えるのはやはり長年の小沢さんのフィルモグラフィーの蓄積の賜物でしょうか。
また、物語最大の仇敵である五条財閥会長五条(演:リリー・フランキーさん)は市内で強引にIR誘致を実現するべく住民運動を押さえつけたりあるいは自ら政界に打って出たりと、現実社会の問題をそのまま衝いたような攻めたモチーフを用いており、キャラクターのみならず作品全体にも反骨精神が漲っています。
ラストは不穏な幕切れとはなりつつも、悪党どもはものの見事に因果応報の結末を迎えて一件落着。
韓国マフィアのマダム(演:かたせ梨乃さん)とその側近(演:本宮泰風さん)による権力争いの犠牲になった息子を巡るドラマも良い塩梅のアクセントとなっており、続篇も期待できるような終幕を迎えていたので、是非とも第二作を期待したいところです。
Ⅱ. 終わりに
というわけで今回は今回は最新の邦画『BAD CITY』について語りました。
いつもよりだいぶ文章が短くなってしまいましたが、それも"本当に良いアクション映画は印象が残らない"という格言を思い出すところです。
邦画でアクション大作というとどうしても漫画原作の印象が強く、その方が興行収入の大きさが見込めるので致し方無い面はあるかとは思いますが、こうしたCGやスタントの伴わない地に足の付いた骨太の、そして残酷でショッキングな描写無しに迫力を担保した濃縮アクションがきちんと評価され、商業的にもペイすることで作られ続ければ良いなととみに思った次第です。
今回はこのへんにて。
それでは・・・・・・どうぞよしなに。
※上述の『ハードボイルド/新・男たちの挽歌』より。
國村準さん、スゴイシュッとしてる。そして無言の圧力…。