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【お茶師日記3】 初揉み
2019年 4月18日
初取引の前日
翌日に茶市場の初取引を控え、工場の掃除はお休みして初取引出荷用のお茶を初揉みしました。
この会社(茶工場)は、拠点の山間地だけでなく市街地近くの丘陵地にも茶園を借地して規模を拡大しているので、早場所であるそちらの茶葉を朝からお茶摘みしました。我が家からだと10分もかからないので楽です。
お茶摘み
会社のメンバーその家族、お手伝いをお願いした人などと2時間ほどで72㎏を摘みました。手摘みといっても品評会のような自然仕立てでなく、普通のうね仕立ての茶園だし、「一心2葉」とかに統一するわけでもないので速く摘めます。
製茶機械を扱う
摘み取ったお茶は、小型の35㎏機で製茶します。36㎏の生葉2ホイロになります。「ホイロ」というのは一度に加工するロットのことで、手揉みで使う「焙炉」から来ています。
35㎏機のような小さな機械は、FA的に使用する想定でないので主に手作業で操作します。というより、そもそも昭和40年代までに作られたものだからというのが理由ですが、蒸した葉を粗揉機に入れる、粗揉機が上がったらそれを揉捻機に入れる、揉捻機から精揉機へ、精揉機から乾燥機へ、これらはすべて人力で箕にとって移動させます。
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また、自動的な制御装置などもないから、粗揉機での熱風の温度、熱風量、回転数、中揉機の熱風量、火加減、回転数、精揉機の火加減、錘の加重など、初期設定も途中調整もすべて、手触りで茶葉の状態を確認しながらやらなければなりません。
一般に機械で製造する工業製品なら、人間はトラブルがないかどうかを見てればいい、というのが当たり前かもしれませんが、何しろ栽培条件、摘採時期によって異なる生きた葉っぱが原料ですから、毎日の天候(温度や湿度)も製造条件に影響します、さらに蒸しを効かせるのか、色はどうするのか、など製品の姿も加味するお茶の加工は終始目が離せません。そこが難しいといえば難しい、面白いと言えば面白い点であるし、「匠の技術」たるゆえんです。
新茶が完成
というわけで、初取引に出す重要なお茶、小さな機械でいろいろと調整しながら製茶し、きれいなお茶ができました。翌日の市場では15,000円/kgとのことでした。