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DTM曲の作り方 全工程解説【EDM編】
自分のソロプロジェクトEpic Vanguardで、初のシングル「Alpha Ignition(アルファイグニション)」を配信リリースしました。
この曲を例に取って、自分の楽曲制作の手順・工程を、2万文字近い情報量で紹介したいと思います。
EDMやエレクトロニックミュージックって日本だとなかなかマイノリティなんですが、これを見て、同じような音楽作りたいという仲間が増えるといいなと思い、
また、自分なりのメロディの作り方、音楽理論との付き合い方、ミックスの考え方、作詞の方法なども書いてるので、EDMに限らずどのジャンルでもDTMの制作プロセスに悩んでいる人に、「こういうやり方があるんだ」という感じで、何かのヒントや参考になったら幸いです。
初めに、曲のイメージを固める
まずは、DAWを立ち上げ…たりせずに、「何を作るか」のイメージを自分の中で固めることから始めます。
固める上で重要なのはリファレンス曲を探すことです。
今回は「ボーカル曲のメロディックダブステップを作ろう」と思ったので、Spotifyで探して気に入ったもの、自分のイメージに合うなどテーマに類するような曲を集めてプレイリストにし、それを繰り返し聴いて楽曲の雰囲気や空気感、使っている音、曲の構成、出ている周波数の帯域なんかを参考にしたり頭に入れて、どういう方向性にするかを考えました。
色々聴く中で、今回は
・IntroなしでVerse→Chorus→Buildup→Dropという構成にしよう
・Dropでパーっと広がりが出る展開、希望感のあるリードメロディにしよう
・歌はVerse、Chorusで女性ボーカル、チルステップ系の浮遊感、透明感ある雰囲気にしよう
・BPMはダブステップ系の定番150にしよう
というところまでイメージが決まりました。
リファレンスがあることのメリット①
リファレンスがあると良いことは色々ありますが、ジャンルの特徴を掴みやすくなるのは特に大きいメリットだと思います。
自分も音楽制作初心者の頃によくあったんですが、思いつくままに楽器を乗せて、音を選んで、とやった結果、◯◯(ジャンル名)とは言い難い何か、が出来上がったことがよくありました。
そして、そういう曲は得てしてクオリティ低いし、聴いてもらえないことが多いです。
(noteでたまに見かける、「何度やってもAudiostockの審査通らないよ〜」って言ってる人の曲を聴くとこのケースが多い気がします)
リズムもコードもメロディも音色も、各ジャンルごとにリスナーが聴き慣れている要素というものがあって、それを無視するとルーツが見えない音楽が出来がちです。
ルーツが見えない、ということはその音楽を理解しづらいということで、多くの人に聴かせるにはなかなかしんどいものになります。
例えば服も、一見、無から作り出されたような斬新なモードファッションみたいなものありますが、ちゃんとしたデザイナーが作った服なら、何らかの定番アイテムを元ネタにしてるものが多いです。
「ルーツなんてない、自由にやるから自分らしい」なんていう人もいますが、自由というのは制限や枠を認識出来ている前提があって初めて自由かどうかが言えるので、ジャンルの枠や制限を知らずに好き勝手やったものを自由や個性とは呼ばないのです。
要するに、「インド料理作ろうとしてるのに、インド料理食ったこともなければインドがどんな国かもあんまり知らない」状態だったら、まともなインド料理なんてできないですよね、
インド料理の常識を覆すメニュー作ろうっても、その常識のボーダーがどこか知らなかったら越えたかどうかもわからないですよね、ってことです。
リファレンスがあることのメリット②
リファレンスがあると良いことのもう1つは、クオリティの基準が分かりやすくなる、ということです。
曲を聴いた時のサウンド的な聴感を、自分の作った曲と比べた時になんか違う、または「ここに何かパートを追加したいけどいいアイディア浮かばない」みたいな状況の時、リファレンス曲があるとヒントになることがあります。
また、1曲だけをリファレンスとしておくと、そのまま丸ごとパクってしまったり、他のアイディアを考えづらい、ということもあり、僕はよくそうなりがちなので、リファレンス曲は最低でも3曲用意して、色んな要素をつまむのがいいと思います。
(例えば、A〜Eの5曲のリファがあったとして、低音の音量感はAという曲から、構成はBという曲、シンセのサウンドはC、歌メロはDとEを参考に特徴をピンポイントでつまみながら自分オリジナルで、のような)
まあ、知らなかった曲をいきなり聴いて自分の音楽に置き換えられるよりは、普段から、またはこれまでに聴いてきた音楽の蓄積が自然と出てきてしまう、というのが実際だったりするのですが。
Alpha Ignitionの時は7曲見つけてきて、作る前にずっとリピート再生して何度も聴いていました。
イメージが固まったところで初めてDAWを立ち上げます。(ちなみに自分はLogic使いです)
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