Single 「Anxiety」セルフ解説
9月16日に、デジタルシングル「Anxiety」をリリースしました。Sound Sphereのリリースから約半年経ってのソロ作品第2弾です。
Anxietyの原曲を作ったのは2013年
Anxietyは実は古い曲で、2013年くらいに原曲がありました。
その頃僕は、The RootsやDJ KRUSH、Massive Attackを遡って聴いて好きになったり、僕がベースを弾き始めた頃から好きなベーシストの日野賢二さんもアルバムでヒップホップアーティストとコラボレーションしていたりして、その流れでヒップホップにハマっていました。そして、自分でもそういう雰囲気の曲を作りたい、と思ったのがきっかけで、当時知り合ったラッパーの方と作ったのがこのAnxietyです。
今回はオオシマトモヒロさんが参加
それから6年が経った2019年、自分が作ってきたオリジナル曲をリアレンジしてまとめたソロアルバム「Sound Sphere」を作ったわけなんですが、実はその時の選曲にこのAnxietyも入っていました。
でも、Sound Sphereの楽曲はピアノ主体が多くてAnxietyはギターが重要なパートで楽曲的なカラーが違うことと、インストヒップホップにアレンジしたかったけど作業をしながら言葉が重要な曲だと気づいて、アルバムからは漏れることになりました。
だけど個人的に気に入ってる楽曲だったので何とか形にしたい、末長く聴ける作品として残したい、というのと、今色んなことが目まぐるしい速さで変わっている時代に不安を覚えている人が多いなと感じていて、そういう世相を切り取った作品という形で出しておきたいと思ったことからAnxietyをリアレンジしたい、と考えました。
ただ、自分はラップできるわけでもなく、誰かやってもらえないかな…と探していたタイミングでw-mのライブに出た時、オオシマトモヒロさんと知り合いました。
オオシマさんはSister Leyというバンドのギタリストで、その時はお客さんとしてw-mのライブを観に来てくれていたところで挨拶させてもらい、お互いに好きな音楽がかなり似通ってたところから色々話をさせてもらいました。
そして、オオシマさんがラップもやれる人だということと、Sister Leyのライブを観させてもらった時に、とても自分の好みなギターのスタイルだったこともあって、「あ、もしかしてオオシマさんやってくれたらカッコいいものになるんじゃないか…」と思い、思い切ってラップとギターやってくれませんかと頼んでみたら快諾してもらえた、というのが参加してもらえた経緯でした。
ヒップホップは言葉のアート
ヒップホップというかラップって、テクニックも重要なんですがそれ以上に言葉が重要だと思っていたところ、彼のTwitterをずっと見ていて、相手にさりげない配慮をしつつ、文学や演劇、ファッションなど色んなカルチャーに造形が深く、それでいて発信力のある人だなと感じたことも今回お願いしたかった理由です。
オオシマさんには、原曲の時と同じく「不安」をテーマに、でも客観視点で普段のオオシマさんの目線でリリックにしてほしい、というオーダーをしました。実際、リリックにはストレートな言葉も入りつつ、さりげなくクラシックな映画の作品名なんかがさらっと出てくるあたりは、僕がTwitterでよく見るオオシマさんの普段の言葉に近いイメージに仕上がっています。
新生Anxietyはハードロック+ヒップホップ
今回は元のアレンジからギターのテーマフレーズを生かしつつもスラップの弾きやすさを考慮してキーを変更している(Em→Amと4度上げ)こと、楽曲のセクションが複数増えていることなど、原曲の拡張版とも言えるアレンジになりました。
音楽的なテーマは、Sound Sphereの時と同じく、「ジャンルをシームレスに超える」というところを踏襲していて、ラップボーカルとリズムはヒップホップで、ギターは70年代のハードロック、ベースはマーカスミラー的なフュージョンスタイルのスラップ、と1曲の中で複数のジャンルと時代が併存するイメージでパートを作ってみました。
「Sister Leyと全然違うギターだからやってくれるかなあ…。歪みとか苦手なんですよね、とか言われたらどうしよう」と思いつつオオシマさんに話してみたら、昔はマーシャルを使ってこういうスタイルのギターも過去にやっていた、ということだったので、とても良い音でギター録りをしてもらえました。
ベースは昔とてもハマってたドンシャリスラップを久しぶりにガッツリと弾きました。最近はこういうプレイ自体なかなかやらなくなったし、Sound Sphereの時はあまりベーシストらしからぬ作風だったので、いかにもベースらしいプレイがここまで前面に出るのも個人的には珍しいです。僕の理想のベースサウンドとして、指弾きとスラップを音色の切替なしで出来る音作り、というものがあって、今回はベースのバッキングを全てワントラックで録り、その音作りが実現できたなというのがベースプレイヤーとしての収穫でした。また、今回はミックスとマスタリングも自分で手掛けました。
DTMは一人で全ての役割を担えるのですが、楽曲制作を一人で完結させることに僕はあまり興味がなく、それよりも自分にないものを持ってる人や自分が気に入っているプレイヤーに参加してもらってみんなで制作する、自分では出せなかったクオリティのものにレベルアップする、という感覚が好きなので、前作と同じく「知り合った素敵なミュージシャンと」「自分の過去の曲をリアレンジする」という流れを踏めてとても嬉しいです。
というわけで、オオシマさんというスーパーパートナーを迎えて生まれ変わったAnxiety。Sister Leyが好きな人にもぜひ聴いてもらいたいです。
=Anxiety [feat.オオシマトモヒロ] クレジット=
Compose, Arrangement, Bass, Programing, Mixing, Mastering & Sound Produce / ochi
Lyrics, Guitar & Rap / オオシマトモヒロ
Art Work / Aya Mizuochi