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「洋楽離れ」という言葉について思うところを語る

8月23日に「洋楽離れ」というワードがXでトレンド入りしてました。

おそらくきっかけになったのはこのツイートと、

このニュース記事だと思うんですが、

それに対して僕が頭に浮かんだことを、何気なくポストしてみたら

大勢に共感してもらえたからなのか何なのか、約10万インプレッション、500いいね以上、100リポスト以上、という僕のような弱小アカウントでは普段滅多に見ないリアクションをいただきました。

というくらい、皆さん思うところのあるワードだったんでしょう。

洋楽っぽい邦楽を目指して音楽を作ってる僕にとっても関係ないとは言えない話題なので、この「洋楽離れ」話をちょっとまとめておこうと思いました。


エビデンス的には

とは言っても、明確にデータを出してるこの記事によれば

世界各地で「USヒットソング≒洋楽」離れは進行していて、各国のローカルの嗜好に基づいた曲が多く聴かれるグローカリゼーションという状態が起きてるのは明白なんですが、

これだけ色んな人の心を揺さぶった「洋楽」というワードについてもう少し考えてみます。

「洋楽」ってなんぞ

「洋楽」という言葉は単なる「USヒットソング」という以外の意味で認識している人も大勢いて、それゆえに色んな人がそれぞれの視点で一家言あるぞ、ということでXが盛り上がったのかなあと感じてます。

洋楽離れでX内検索して出てくるポストを見ていても、

  • ベストヒットUSAの放送されていた時代を懐かしむ人

  • 「時代なんてどうでもいい、今でもアイアンメイデンを聴いてるぞ」という人

  • 「マイケミカルロマンス聴けば洋楽好きになれるよ」と自分の趣味を話す人

  • EDMの話をする人

本当に様々で、各人にとって昔聴いていた(または今も聴いてる)海外アーティストの楽曲=洋楽、という解釈をされてるんだろうな、と思いました。

「洋楽離れ」の原因諸説

そんな多くの人の夢や思い出の詰まった洋楽、なぜ日本では離れてしまったのだろう。

理由は1つではなく複数あると思うんですが、やっぱり僕が思う一番は、「日本国内のメディアがアメリカ、ヨーロッパのアーティストを取り上げなくなった」が大きいと思います。

実際のところ、僕が10代を過ごした90年代後半はMステにボンジョヴィが出演したり、レッチリが邦画の主題歌にタイアップされたりとアメリカのヒットソングがまだ日本のマスメディアで取り上げられていたし、JamiroquaiやHoobastankなどを始め、洋楽曲がCMのタイアップを取ることも日常茶飯事でした。

それが、この令和の時代ではTVに出てくる海外アーティストなんてせいぜいテイラースウィフトとビリーアイリッシュくらいじゃないですか?(その二人も、音楽興味ない一般人からしたら誰?女優さん?って感じだろうし)

これが2000年代半ばあたりからパタリとなくなり、僕が覚えてる範囲で海外バンドが日本のTVの情報番組に出てたのはDirty Loopsが10年ちょっと前くらい、が最後かな〜と思います。(そういえばアブリル・ラヴィーンも来日した時TVで山本彩と共演してたりしたっけ。音楽続けてるんだ、良かったと思いました)

洋楽が流行ってたのはマスメディアがゴリ押ししたから

もうこれじゃないかと思うんですよね。洋楽が特別優れた音楽だったからみんなが聴いていたわけじゃなく、マスメディアに乗って多くの人に届いてそれが時代の空気やみんなの気分に合ってたから支持された。

今の時代はそれがK-POPに変わってるというだけで、これもK-POPがUSヒット曲より優れているとかそういうわけじゃなく、今の若い人が感じる可愛さとか憧れを表現していて気分に合ってるから、じゃないのかなあと思います。(なんていうか、アメリカが今の日本人にとって憧れの国じゃなくなったんだろうなあというのもあると思います)

だから今回のXでも「80年代、90年代の洋楽は素晴らしかった。今の時代の曲はろくでもない、クオリティが低い」みたいなことを言う人もいましたが、それはただその人に思い出補正がかかってるだけで、実態は今も昔もそんなに変わらないと思います。

洋楽のトレンドがヒップホップ色が強くなったから

洋楽離れを起こしたもう1つの大きな原因がこれな気がします。

00年代初頭にディアンジェロやエリカ・バドゥなどが登場してネオソウルブームが起こり、そのあたりからだんだんビルボードチャートは黒人音楽、特にヒップホップが強くなっていった気がします。Ne-Yoとかね。

途中でアヴィーチーとかのEDMブームもありましたが、2010年代のアメリカではヒップホップが「ポップス」と呼ばれるようになってたと思います。でも多くの日本人が思うポップスって、多分サザンとかミスチルとか、RADWIMPSとか、最近だとマカロニえんぴつみたいなのですよね。

日本でヒップホップが主流にならなかったのは、音楽の話だけで言うと「歌じゃないから」だと思います。

日本人はメロディの分かりやすい歌、緩急つけてサビで声張り上げるみたいな分かりやすいキャッチーさが大好き、あと、歌詞に文学性というかストーリーを求めたがるところあるよな〜と思います。(個人的には「歌詞が良かったです」って言われると「それ音楽に対する感想じゃないじゃん」って思ってしまうのです)

一方でヒップホップは、リズムとグルーヴに乗せて自分の意見や主張を放つ音楽なので、全く真逆な世界なんです。分かりやすく盛り上がったりせず淡々としてる曲も多いし。

なので、90年代くらいまでは日本人も好むような、清涼飲料水みたいなキャッチーで爽やかなメロディを歌い上げる曲が洋楽でも多かったんですが、それがヒップホップに代わって「あ、ちょっと趣味合わんわ」で徐々に身を引いていった結果、日本人に最適化されたJ-POPに移り変わって洋楽と疎遠になっていった(ついでに空いた洋楽枠にK-POPが入ってきた)そんな経緯な気がします。

言い方を変えれば、日本のポップミュージックはもう洋楽を雛形にしなくていいくらい、作り手も演者もリスナーも進化したとも言えるんですが。

市場が細分化されてむしろ良かった

僕の垂れ流したつぶやきをリポストしてくれた人の中に、そういう意見もありました。

僕も結構これには賛成で、「は〜い!みんな、今の流行りはこいつですよ、同じ音楽を横並びで聴きましょうね☆」みたいな、マーケティング主導のトレンドの作り方がアメリカも日本も効かなくなってきた、というのがリアルなところじゃないかなという気がします。

僕がここ数年好きなアーティストはみんなYouTubeかInstagramで見つけた人ばかりで、どれもリスナー規模は全然多いわけではないけど、それでも世界ツアーできていたり、熱烈なファンがついていて、トレンド関係なく自分達の表現を追求しているような人が多くて、

それってアーティストとしてもやりたくないことしないで済むし、ファンも安心して見てられるんじゃないかな〜と思います。マーケ主導のバブル時代に比べたら相当健全です。

最後に、「最近の洋楽はヒップホップやラテンばかりでどうも肌に合わん」という人は、ぜひメロディックダブステップやフューチャーベースを聴いて欲しいです。

それ系のアーティストは00年代のポップパンクやポストグランジ通ってる世代が多いので、その頃の洋楽聴いてた人なら懐かしさを感じる部分があるし、キャッチーで美しいメロディ、エモさを感じる分かりやすい盛り上げ方、絶対日本人好みだと思います。

そしてあわよくば僕の曲も聴いていってくれると嬉しいです。


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