『逆光記』〜ある種の答えのような〜
『逆光』と須藤蓮から、多くのものを受け取った。それはこの文章において端的に言い表せるようなものではなく、僕が書く『逆光』にまつわるいろいろな文章や喋る言葉から滲み出ていたりする。『逆光』と須藤蓮から受け取ったものに対する「答え」も同じように、この文章において端的に言い表せるようなものではなく、これからも長い時間をかけて自分で答えを探し、誰かに見つけてもらうものだと思っている。
しかし、現時点での「答え」のようなものが僕にはある。もとい。僕とユキカゲとカナタ、須藤蓮と京都を駆け回った3人には現時点での「答え」のようなものがある。その「答え」のようなものが形になったのが『逆光記』という読み物だ。僕がnoteで連載している『逆光記』の抜粋からなる手記、カナタによる短歌と、ユキカゲによる『順光』という名の小説、そして須藤蓮の右腕こと永長優樹さんの序文と渡辺あやさんのあとがきがついて、何とも読み応えのあるものである。帯は須藤蓮、みーこ役の女優・木越明さん、六曜社・奥野薫平さん、誠光社・堀部篤史さん、かもがわカフェ・高山大輔さんと並び、僕ら3人の文章以上に序文・あとがき・帯が豪華な『逆光記』はなんと税込500円で販売している。6月17日より開催される尾道映画祭で発売し、京都の誠光社、出町座、かもがわカフェ…(これからも増えるかも)などでお手にとっていただけるので、ぜひとも見かけたら僕らの思いをさらっと読んでいただきたい。
この『逆光記』を作るにあたり、様々な葛藤や苦労があったといえば嘘になりはしない。製作はものすごく楽しいものだった。費用をできるだけ抑え、少しでも多く製作し、安い値段で販売することで1人でも多くの人に手にとってもらうというのが僕らの企みだったので、製本をするということを諦めた。製本は高い。自分でしようと思うと手間がかかりすぎる。ということで、序文・手記・短歌・小説・あとがき・奥付という6枚の紙をまとめて封筒などに入れる方法を思いついた。元々『逆光記』は須藤蓮に対する極めて個人的な贈り物であったため、封筒に入れることで『逆光記』本来が持つお手紙らしさも備え、本屋に並ぶ際も背表紙に僕ら3人の誰も知らないような名前が書いてあるより、封筒としてそこにいた方が目を引いて気にかけてくれる物好きもいるだろうとの期待を込め、そのような方法をとった。
定期的にzoomでMTGをして、途中から須藤蓮のインタビューを見る会になったり、ユキカゲ と夜な夜な200枚の封筒全てに「逆光記」というタイトルを書いたり、カナタと一緒に某ネットプリントにて何度も確認をしながら入稿を行ったり、届いたらそれを折って封筒に入れてゆく。そんな作業も何だか楽しくて、面倒くさいといえば否定はしないのだけれど、しかしそれだけ手がかかっている『逆光記』なのでどの『逆光記』たちも愛おしくて、僕の手から離れていく時に寂しいし、作るだけで楽しかったから完売しなくても構わないやと思う反面、200部全てが誰かの手元に届き、それが誰かに面白いと思ってもらったり、ましてやなにかしらの元気や力を与えたりできたら幸せだなんて思いながら、この文章を書いている。
なので、もしどこかで『逆光記』に出会ったりしたら、その時はお手にとってみてください。きっと僕たち3人は同時にくしゃみをしたりしてるかもしれません。
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