見出し画像

『すごい酪酸菌』

「すごい酪酸菌」
病気になる人、ならない人の分かれ道
発売日:2022年03月
著者/編集:江田 証
出版社:幻冬舎

今回も町の中の話なんですが、最近が生成する酪酸菌に注目した本です。
著者は江田クリニック院長でホームページを拝見するとものすごく表彰状や認定証がアップされていてメディアへの露出もすごい人みたいです。
気になったら下記のリンクを見てください。

う~ん。
どうなんでしょうか。
先日読んだ「腸と脳」は学術的な研究内容の報告という論文形式の書籍だったので知らなかった知識を取り入れることに喜びを感じたんですが、この本はメディアが発信する「虚実混交」といいますか、半分は本当に思えるのですが、信じていいのかどうか不安な状態。
特に最近のお医者さんはメディアに「~の専門家」として出演しあまり根拠のない解説をしたりする、あの感じなんです。

酪酸菌が身体に良いことは真実なんでしょうが、言葉の使い方なんでしょうか、なんだか上っ面を滑っていくような感じ。
例えばいくつか例をあげます。

海外のデータでは、ファーミキューティス(F)と”やせ菌”などと呼ばれたバクテロイデス(B)の比率(FB比)が高いと肥満になりやすいと言われていましたが、複数の論文で日本人には当てはまらないことがわかりました。~中略~ 『”でぶ菌””やせ菌”理論』はウソでした。

P87 長寿の人の腸に多いのは「酪酸菌」より

「ウソ」はちょっとね。まだまだわからないことが多いから言葉には気をつけたほうがいいかも。

腸内細菌と宿主である人は、長い間共存しながら進化してきました。腸内細菌は、私達が食べた残りかすを食べて生きていますが、細菌によって好みの食べ物が異なります。

P140  日進月歩の腸内細菌研究より

先日読んだ「腸と脳」では人間と細菌はどっちが宿主なのかわからない存在なので、人間に必要な栄養素を食べさせているという風に考えているので「残りかす」ではないですよね。

細かいことを突っつくのはあまり良くないですが、メディアでよく放送されている「これが~に効きます」的な感じで気になりました。

それでも、それぞれの国に適応した細菌の働きがあって動物性タンパク質が摂取できない国でも筋肉質の体格が出来るというのは説得力があり、トンガ王国の肥満の問題にも通じています。
もともとタロイモなどを主食としてきたのに近年は高カロリーの輸入食品の影響で肥満になったとも言われており、腸内細菌叢は必須の栄養素を自分で作れるように進化しているようです。
それを近代化された(と思われている)西洋諸国の食生活を真似ているため不必要にカロリーが多くなりバランスが崩れてしまっているようです。

とにかく、日本人はそれほどタンパク質を摂取しないで長い間生きてきて健康に暮らしてきて、近代になり西洋的な食生活になってしまったため、まだ腸内細菌叢が対応できないでいるのでしょう。

お腹の調子が悪い過敏性腸症候群患者の腸の粘膜を調べると、下痢型でも便秘型でも混合型の患者さんでも、「腸がもれやすい状態」になっていることがわかっています。
正確には「腸の粘膜の透過性亢進」と呼びます。

P158  酪酸は『腸もれ」を予防するより

本格的にコーヒーを飲むようになる前からインスタントやドリップパックのコーヒーが好きで飲んでいました。
その時はミルクコーヒーにして飲むことが多かったのですが、ミルクポーションを常用していました。
このミルクポーションはどんな原材料でできているのかご存じですか?
実は油と水と乳化剤で出来ています。
人体の中で油と水が混ざり合うことがあったら一大事です。
腸の粘膜のバリアが壊れてしまうこともあります。
現代の食生活にはこのように腸内細菌叢を破壊するようなものがまだまだたくさん存在します。

腸内細菌叢の研究が進むことで今まで普通に摂取していた添加物なども禁止されたり制限されたりすることもあると思います。
抗生物質も農業、畜産業では制限が加えられていますが、禁止されてはいません。
これらは日本の場合ですが、C国やK国などはもっと制限がゆるやかなので輸入食品は心配です。

早く安全な食物を安心して食べられる世の中になって欲しいです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?