『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語』
"生産者を死に追いやるグローバル経済"
ジャン=ピエール・ボリス(Jean-Pierre Boris) 著
林昌宏 訳
2005年 作品社
2005年の話なので今とは少し状況が違う様だが農産物が一つの国を大きく変化させてしまう事が起こる事を初めて知った。
ある冬の寒い夜、パリに住む70歳代の元気で仲の良いフランシンとニコルは、茶飲み話をしていた。話題は、珈琲の味が、近年、急激に不味くなったことに及んだ。
こんな風に始まり、珈琲を生産する国々の駆け引きの話に移っていく。
国内の政情不安のためにコーヒー農家が貧困に陥ること。
私たちがカフェで飲むコーヒーの代金のどれ程がコーヒー農家に支払われるのか。最大消費国のアメリカのコーヒーに対する姿勢、巨大焙煎企業の立ち回り方。
ブラジル、ベトナムの生産競争による価格の暴落。コーヒー豆の価格は以前より多少高くなってきている様に思え、書かれているのは2005年以前の話なので、現在は多少は改善されていると思う。
米も「コメは食べるものではない。売るためのものだ。」と言う言葉が書かれていて、輸入業者やトレーダー達が目指しているのは、売り上げと利益だけなんだと理解した。
綿花は服を作る上での原材料だが、アフリカの栽培割合が多くなっているが品質の低下によりブラジルの一人勝ちになり、アフリカの綿花業界は崩壊の危機に陥る。
フェアトレードは「公正な取引」と言う意味であるがその言葉の正しさに惹かれるが、実際には負の部分もあり、決して生産者を救うために機能していない。メディアが大々的なキャンペーンを実施しても、理想は良くても実際は問題が多過ぎている様だ。
そして、最近の「SDGs」が加熱している状況は正しいのだろうか。両者は関連性があるわけではないが同じ匂いを感じてしまうのは、うがった見方をし過ぎなのだろうか。
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