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認知症とBPSD~すぐに立ち上がろうとする行動はBPSD?

4時間ほどファミレスでPC作業をしていたらお尻が痛くなりました。慣れない革張りの椅子に座っているとお尻の表面がひりひりしてきます。そして疲れました。その間何も身体を動かしていません。何もしないのに疲れるのではなく、何もしないから疲れるのではないかと思ってしまいます。そんな時ふと昔とった統計を思い出しました。

BPSDの発生頻度ランキング

これは以前に施設内でのBPSD(認知症の行動・心理症状)の発生頻度を数えたものです。BPSDとは、認知症の中核症状である認知機能の障害を背景として、環境やそのときの状況によって出現したり、しなかったりする症状のことです。

1位 夜間不眠 2位 日中傾眠 3位 無気力 4位 不意の立ち上がり

施設にお勤めの方は、必ず見る光景ですよね。日中ウトウトして、夜はずーっと起きている方。ウトウトしてないけどボーっとしている方。BPSDは睡眠と関連が深そうですよね。ところで4位の不意の立ち上がりについてはどうでしょう?施設のスタッフさんからすると、急に立ち上がられてびっくりするなんてこと多いですよね。私のいた施設でも、こっちの方を座らせたら、あっちの方が立ち上がる、もぅモグラたたきの様でした。

しかしこれ、BPSDなのでしょうか?この「不意の立ち上がり」にはいくつかの理由があると思います。ひとつは冒頭の私のように、お尻が痛いから。もう一つはトイレに行きたいとか、部屋に戻りたいとかそういった意思表示ではないかと思います。もしかしたら下着が濡れて気持ち悪いのかも。これらの訴えが出ているのに、再度座るよう促すのは酷かもしれませんね。

行動には目的があるわけでして。理由もなくピョコピョコ立ち上がれば確かに奇異な行動なのかもしれませんが、たいてい理由がありそうです。いつもそういった行動がみられるようであれば、なぜその行動をするのか、時間帯やタイミングなども含め、原因を分析してみたほうがいいかと思います。クッションを変えてみようとか、車いすの調整をしてみようとか、トイレ誘導してみようとか、何かしらのアプローチを試みるといいかなと思います。

たそがれ症候群

夕方にそういった行動がみられるようであれば「たそがれ症候群」かもしれません。夕方は皆さん、おうちに帰りたくなるものです。そんな時に、「ここは施設なんだから、おうちじゃないのよ。」なんて言ったら余計に混乱します。「今日はここに泊まるのよ。」なんて言っても混乱しますし、「そんな…わたし泊まるお金なんかないわよ~。」なんて困ってしまう方もいます。そっとお部屋にお連れして、ご自身の持ち物を見せるだけでも落ち着かれる方もいます。

アプローチの仕方はそれぞれの方によって違いますが、そこが個別ケアの奥深いところなのかもしれません。急な立ち上がりによる転倒は怖いのですが、いずれにしても、「行動には目的がある」ということを念頭に置いてケアにあたっておりました。

長文になりましたが、最後まで読んでいただいてありがとうございました。

息抜きに、と思い書き始めましたが、さらにお尻が痛くなりましたのでこの辺で終わりにしたいかと思います。

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