page.3 概念関数
ある概念 nx∈N の“意味”は,その概念の存する概念集合 N から真理値集合 T への関数として定義できる。また,その関数空間は当該概念集合の論理的関係を網羅する。
一般に,概念集合 N={n1,n2,...,nm} について各要素の意味を,それぞれNから T={⊤,⊥} への関数として定義する。
たとえば概念 n1∈N の関数による理解は, N={n1,n2,...,nm} の要素を一つ一つ n1∈N に割り当てていき,それを内包するときに限ってT={⊤,⊥} から ⊤ を,そうでないときに限って ⊥ を割り当てる。
具体例として, n1∈N を[車である]とする。
N={n1,n2,n3,n4} として, n2~n4 のそれぞれを命題[プリウスである][N-BOXである][兎である]としよう。
このようなとき, n1∈N の意味(概念として,N内の他の概念との包含関係)を次のように定義出来る。
n1(n1)=⊤n2(n1)=⊤n3(n1)=⊤n4(n1)=⊥
上からそれぞれ次のように読むことが出来る。
[車であるものは,車である]➡︎真なる命題[プリウスであるものは,車である]➡︎真なる命題[N-BOXであるものは,車である]➡︎真なる命題[兎であるものは,車である]➡︎偽なる命題
このように nx∈N の意味を, N から T への関数として理解したとき,その関数 nx∈N を“概念関数”と呼ぶ。また, N を nx∈N の“概念関数空間”(=Concept Function Space)と呼び,以後CFSと略記することがある。特に, N から T へのCFSを N▶︎T と書くことがある。
それぞれの要素が関数となって,それぞれの要素を真理値へと写像するわけである。
関数 f が N▶︎T に属する関数であることを, f:N▶︎T とも書く。
先の例で N▶︎T は, n1,…,n4 の集合となる。
さらに,意味の有無を次のように表現する。すなわち, nx∈N:N▶︎T が全射であれば,そしてそのときに限って, nx∈N は有意味である。
先の例示について言えば,概念 n1∈N (車である)は, N において,【 n1〜n3 (車であるもの)】と【 n4 (車ではないもの)】とを区別する役割を持っている。
ここで N が n1〜n3 までの集合であれば,すべて車であるのだから, n1 (車である)という性質は用を成さない。このような意味で, N において n1∈N は概念としての意味を成さない。