日本酒地図を作ろう!!〜㊻宮崎の巻〜
どことなく酸味が強いように感じるその香りで「懐かしさ」に包まれるところから、千徳とのお手合わせは始まりました。香りというのは不思議なもので、多くの思い出を頭の中に映し出します。
七五三のお参りで、初めて日本酒で唇を湿らせた5歳の頃。お菓子やジュースじゃない変な香りと味がして、盃1杯分の御神酒が、それ以上私の身体に染み入ることはありませんでした(その傍で、当時3歳だった妹はぺろっと平らげてましたっけね)。
父の郷里で迎えたお正月。「おぅ、小学生になったんなら酒ぐらい飲めないとダメだろ」とかなんとか言って、小学生に酒を勧めるダメ親父どもにちょっとだけ日本酒を舐めさせられました。
また、大学の時の宅飲み。いろんな種類のお酒を楽しむために、つまりは、特に飲みたくて買っていたわけではないワンカップ酒は、いざ飲んでも決して美味しいものではなく、「結局日本酒ってこの程度」って思わされていました。
というように、古き良き日本酒の香りには、あまりいい思い出がないんですよね。だから私は、「あ、、もしかしてハズレ?」って思ってしまって、恐る恐る飲むことになりました。
ところが飲んでみると美味っっしいんですよ😍
とろみを思わせる口当たりが、純米酒ならではの甘さを舌に残してくれます。まるで、マッサージしてもらった肩や腰が、しばらくほんのりあったかい、あの感じ。それでいて、決してしつこくないので、スッキリした印象を与えてくれます。
私のちょっとネガティブだった「昔の日本酒との思い出」は、千徳のおかげでキレイさっぱり上書きされて、俄然食卓への集中力が高まります。妻が並べてくれたのがコチラ
鶏なんですよ、鶏!!素晴らしいマッチング😍
「日本酒なのに魚との相性はイマイチなんて、不思議だなぁ」と感じてしまうほどに、鶏との相性が抜群に良い!その中でもぼんじりとの組み合わせがベスト・オブ・ベストです。写真撮るのを忘れましたが、鴨ローストと合わせても素晴らしくて、夫婦共々唸り声を上げました。つまりは、鶏の脂と溶け合ったときにこそ、千徳の真価は発揮されるということだと思います。
流石は養鶏王国宮崎!下記のレポートによれば、宮崎県で養鶏が推奨され出したのは、明治39年だとされているのですが、そこから平成30年までのおよそ110年間で、宮崎県で飼育・生産されるブロイラーの数は、実に61倍強!弛まぬご努力が、「鶏と言えば宮崎」というイメージを、私たちに定着させたということでしょう。
https://www.pref.miyazaki.lg.jp/documents/8753/8753_20210922164614-1.pdf
「今晩のおつまみ、焼き鳥もモツも卵も、実は宮崎由来のものだった」。。。かどうかは分かりませんが、鶏を育てるために最適化された風土で造られたお酒と、鶏料理がマッチするというのは、意外と無理のない連想ではないでしょうか?奇しくも、千徳酒造さんのご創業が明治36年だそうでして、「生まれてからこれまでの間、知らず知らずとお互いが影響を与えながら歩んで来たのかな」などと、勝手な想像を膨らませてしまいます。
宮崎県にある酒蔵さんで、日本酒を作ってらっしゃるのは千徳酒造さんと雲海酒造さんのわずか2つのようなので、宮崎のお酒と巡り会える機会というのはものすごく貴重でした。なのに実は「日本酒発祥の地」ともされる宮崎県です。私が勝手に知らないだけで、共にすれば深くて貴い歴史と物語があるんだということを、旅の終盤で学ばせていただきました。