d. schoolコーチの先輩からの学び(3.5)/デザイナーはワークショップで率先して下手な絵を描こう
こんにちは。ちょっと時間が空いてしまいましたが、こちらの続きです。本当は④として「アイデアはワークシートに書いてはいけない」という内容を書こうとしましたが、今日は閑話休題として別の話を書きます。
というのも、ちょうど今日、会社の別の先輩が企画しているワークショップに参加してきました。その内容がIAMASのアイデアスケッチの手法をとりいれたワークショップで、アイデアを言葉でなくひたすら絵で書いていました。その最中に、ふと先輩と雑談していたときに話していた内容を思い出して、忘れないうちに今日投稿することにしました。
内容としては、アイデアを絵で書くときの注意点について書きます。イメージとしては前に書いた③の補足です。なので③でも④でもなく3.5としました。
③では、アイデアをPost-itに書くときに言葉でなく絵で書くことで、見た人がまた連想をして新しいアイデアを思いつきやすいという話を書きました。今日はそれに補足する形で、ワークショップのときにデザイナーが書く絵は下手な方がいい、という話を書きます。
この投稿を読んでくれている人のうち、デザイナーとして働いている人は少なくないと思います。中でも、ワークショップで絵を書いたことがある人はどれくらいいるでしょうか?
もし参加したことがある人がいたら、自分はそのときにどんな絵を書いたのかを思い出しながら読んでもらえたらと思っています。
絵がうまいのは技術と訓練
まず、最初に1つ断りを入れておきたいと思います。イラストレーターやデザイナーなどの絵が上手い人は「めちゃくちゃ練習して」「めちゃくちゃ時間をかけて」います。それはとても尊敬すべきことです。
タイトルはやや語弊気味だったかもしれませんが、僕は決して絵がうまい人たちが要らない、ということを書きたいわけではありません。
最近「ブルーピリオド」という美大受験をするヤンキーの漫画が話題なのですが、とてもおもしろいので見てください。後は有名だけど「かくかくしかじか」もいいですよ。
ワークショップで上手い絵を描くと参加者にプレッシャーがかかる
やや漫画の話で脱線しましたが、ようやく本題です。皆さんはワークショップで絵を書いたことはありますか?デザイナーの人も、そうでない人も。
「アイデアを絵で書いてください!」と言われたとき、どんな絵を書きますか?上手い絵ですか?それとも下手な絵ですか?
本来、絵は上手いほうがいいのですが、実はワークショップにおいては別です。むしろワークショップで描く絵は下手なほうがいいのです。後半の1つのアイデアをアウトプットとしてきれいに仕上げる場合は別ですが、それ以外のチームでのブレストのときは、むしろ下手な絵のほうがいいのです。
なぜなら、上手いを絵をデザイナーが書いてしまうと他の参加者が萎縮したり、変なプレッシャーを感じてしまうからです。例えば、ブレストでアイデアをデザイナーのあなた以外のメンバーが出すときに、
「デザイナーである○○さんと比べると下手な絵ですが…」
と謙遜の言葉を誰かが言い始めたら、そのブレストは黄色信号だそうです。参加者がアイデアを出すことに臆病になるそう。確かに、僕も昔同じ思いをしたことがある。上手な絵じゃないとだめなんじゃないかとかを考えるようになった。
確かに、うまい絵をだすと、確かに伝わりやすいしきれいなものが出来上がるんだけど、それは他の人はできないし、続かない。
むしろ望ましいのは、下手な絵でもチームメンバーが自分のいいと思ったアイデアをガンガンだす状態です。だからこそ、デザイナーはワークショップのときに率先して超ラフで下手くそな絵を描くのがいい。
プロフェッショナルだからこそ自分の技術に自信を持っている。だからデザイナーに下手な絵をかけ、というのは難しいかもしれないけれど、チームメンバーのアイデアを引き出すためには、下手な絵を最初に書いてハードルを下げていくのがよいし、そういうデザイナーが増えたら、もっとチームでアイデアが出るようになる。そして、アイデアの量が増えれば、結果的にアウトプットの質も高まる。
(ちなみに、なんで絵だとアイデアが引き出しやすいのかについては③に書きました!)
まとめ
とまあ、デザイナーでない立場から偉そうにいろいろと書いてしまったけれど、やっぱりきれいな絵を描ける人はすごい。
僕なんかはここに書いたようなことを意識しなくてもナチュラルに絵が下手なんですが、知り合いのデザイナーは、きれいな絵を恐ろしいくらいにさっと描く。
それまで叩き込んだ技術(というかもう身体に染み付いているレベルだろうけど) をすぐに引き出せるのは本当にすごい。だからこそ、それを最大限活用してチームをファシリテーションしてほしいなーと思うばかりです。
とまあ、今回は、ワークショップで参加者の創造性を引き出すためにデザイナーができることについて書きました。次回こそはアイデアとワークシートの関係性について書こうと思います。今日はこれでおしまい。また次回!