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ワインのオンラインサービスに必要なもの。それは感情・・・? 2020/5/6

5月に入り、ニューヨークは新緑が眩しい季節になりましたが、引き続き、自宅待機要請の日々が続いています。

 ここ1ヶ月ほど、ニューヨークの飲食店やワイナリーは、人気シェフがZoomで料理教室を開いたり、FacebookやInstagramでのライブ ワインテイスティング講座、ワインメーカーとソムリエのライブトークが行われたりと、インターネットを通じての取り組みが活発に行われています。

ワイナリー主催のライブ オンラインテイスティングに参加
そこで私も、ニューヨークのブルックリン、ウィリアムズバーグ地区にあるワイナリー、「Brooklyn Winery」のライブテイスティングに参加してみました。このワイナリー、実は、私の住むアパートから徒歩5分以内の場所にある、ご近所さん。カリフォルニアやニューヨーク州のフィンガーレイクスやロングアイランドから購入したブドウをブルックリンにて醸造する、”都市型ワイナリー”で、ワイン造りに魅了されたITスタートアップ企業の同僚2人が、2010年に設立したそうです。土日はワイナリーで結婚パーティを行っていることが多く、行きたいとは思っていたものの、なかなかチャンスがないままロックダウンを迎えてしまい、もっと早く行っておけば良かったと後悔していたところに、テイスティング講座を行うことを知り、良い機会!と、参加することにしました。

 事前にテイスティングを行うワインが告知され、オンラインを通じて購入します。講座2回分のワインが、「ヴァーチャルテイスティング4本セット」として、販売されています。

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開始日時の4月21日、18時30分に彼らのFacebookページにいくと、醸造責任者であるConor McCormack氏とマーケティング担当の女性が画面に現れました。

女性は自宅と思われる場所から、醸造責任者はブルックリンワイナリーからの配信でした。

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私が参加した日のワインは、ロゼとジンファンデルの2種類。共にカリフォルニア産のブドウで、ロゼはグルナッシュ100%とのことでした。

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ワインメーカーの「Cheers!(乾杯!)」という声で、画面越しに乾杯のポーズを。ワインを飲みながら、まずはロゼの説明から始まりました。ライブということで、Facebookのコメント機能を使い、コメント欄に視聴者が投稿する質問に次々と答えていきます。

ライブであることの面白さ
正直、参加するまではライブで見る必要がどれくらいあるのかな・・・と思っていたのですが、想像以上に、このライブQ&Aが面白かったのです。

私も、「ロゼがこの細いボトルの形をしているのは何か特別な理由があるのか?」とか、「ボトルに書かれている数字の意味は?」など、コメント欄に質問をテキストで送りました。すると、すぐさま、ナビゲーター役であるマーケティング担当の女性が質問を読みあげてくれます。「Mariからの質問です。ロゼのボトルの形が細長いのは理由がある?」すると、ワインメーカーが答えます。「リースリングによく使われるボトルの形ですね。このボトルを使っているのは、見た目がかっこいいからですよ!」と。

 視聴者である私、ナビゲーターである女性、ワインメーカー、3人とも別の場所にいます。しかも、私の姿は彼らに見えないのですが、まるで、同じ場所で一緒に話しているような不思議な感覚になりました。テイスティング講座は30分。あっという間に終わってしまいましたが、その30分前には何とも思わなかった目の前のワインに、愛着が生まれていることに気づき、楽しかった~!という余韻と共に、オンラインサービスの新たな可能性をぼんやりと感じました。

相互的なコミュニケーションが鍵?
何が面白かったのかをもう少し探ってみるために、翌週も参加することに。大事だと感じたことは、オンライン上での、相互的なコミュニケーションの繋がり。前回記事に書いたcourseraのワインテイスティング講座は、自分の好きな時にすでに録画されているビデオを見て学習する一方方行なタイプだったので、淡々と学び、誰に知られるわけでもなく、淡々と終了し、そこに嬉しいや悲しい、などの感情の起伏は起きませんでした。

一方、今回のブルックリンワイナリーのライブテイスティングは、名前を呼んでもらって嬉しい、同じ時間に同じワインを飲んで話しているのが楽しい、という人とのコミュニケートから生まれる感情的にぐっと掴まる何かがありました。人と物理的に距離を取らないといけない状況下、Eコマース等のオンラインサービスは、この様な人との相互的な繋がりがますます重要になってくると感じました。

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(チャット欄から送った私の質問に対して答えているワインメーカー)

 彼らは定期的にこのオンライン テイスティング講座を実施し、この状況下でのワイン販売を促進しています。最近では、Zoomを通じてのプライベートテイスティング会も始めたそうです。

 18時30分から30分のテイスティング講座を受けた後、19時の恒例のエッセンシャルワーカーへの感謝を伝える拍手(clapbecausewecare)が鳴り響く中、予想できない近い未来がどういう姿になるのか、そこで自分は何ができるのか、と考えるきっかけになりました。


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