元旦にロングアイランド最古のワイナリーへ 2020/1/3

日本より14時間遅れてニューヨークも新年を迎え、元旦の朝は気温6度と暖かく、清々しい天気の中、ロングアイランドで年越しを迎えました。

 ロングアイランドは、ニューヨーク州の南東に位置する街で、マンハッタンからは車や電車で約1.5~2時間ほど、場所によってはマンハッタンへ通勤している人も多い地域です。

ロングアイランドのイメージは、ニューヨーカーにとってはビーチタウンの別荘地であり、日本だと東京から鎌倉や逗子へ行くような感じでしょうか。そんなロングアイランド、実はワインの産地としても有名です。今回、アイスリップという街にある友人のご実家で新年を祝うことになり、元旦から彼らにワイナリーに連れて行ってもらいました。

 ちなみに、ロングアイランドの南側に位置するSouth Forkは高級別荘地が立ち並ぶハンプトンという町で有名。フィッツ・ジェラルドの「グレート・ギャッツビー」の舞台となった場所です。「セレブ御用達ロゼ」として日本にも輸入されているWolfferEstateは、このハンプトンにあります。ハンプトンを更に東へ行き、端っこにあるのがモントーク。こちらも夏場はリッチなニューヨーカーがこぞって遊びに来るリゾート地として有名です。(ロングアイランド出身の友人曰く、夏は人が多すぎて道がすごく混むし、おすすめしない・・・と何ともローカルらしい発言)

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(夏のハンプトンの様子。画像はWolfferEstateより)

そして実際にワイナリーが多く集まるのは、North Forkという北側のエリアで、AVAロングアイランドのサブリージョンにあたり、ハンプトンの繁華なイメージではなく、ブドウ畑やリンゴ畑が並ぶ、落ち着いた瀟洒な街でした。

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(NorthForkのワイナリーマップ。記載は38ですが、実際は大小約60のワイナリーが集まっています)

元旦ということで、ほとんどのワイナリーが閉まっていましたが、 空いている一つのワイナリー、Castello di Borgheseへ行ってきました。なんとこのワイナリー、ロングアイランド最古のワイナリーで、1973年に設立されました。

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もともとはジャガイモ畑だったいうこの土地。恐らく経済的な理由(じゃがいもではお金を稼げなくなった)もあり、ブドウ畑に転換、ワイン造りを始めたとのこと。ちょうど同じ時期、1976年に、ニューヨーク州において、「ファーム・ワイナリー法」が施工され、小規模生産者が、自分たちで作ったワインを直接、消費者に販売することが可能になりました。(それまでは小規模生産者達が実際に販売できるのは総生産量の5%まで、且つ膨大なライセンス料が必要だった為、大手ワイナリーにブドウを販売するしかできなかった)また、ニューヨーク州産100%のブドウであれば、買いブドウでもワインを作ることが認められました。

この法律によって、この地でもワイナリーが次々と設立され、ニューヨーク州のワイン産業(フィンガー・レイクスやハドソン・バレー沿い等の地域も)が発展したといわれています。地元の友人によると、ロングアイランドでいえば都会に近い事もあり、結果、土地の値段が高騰し、もともと住んでいた地元の漁師さん等が住めなくなり、他の土地に移らないといけなくなった、、、という一面もあるようです。

 彼らのワインを試飲しながら、この場所からロングアイランドのワイン産業が始まったのか、と思いを馳せました。

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(ぬくもりのあるセラードア)

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(個人的に一番美味しかった2018年のピノ。価格は1本$50(約5500円))

ロングアイランドは「ニューヨークの ボルドー」と言われているように、温暖な海洋性気候。メルロやカベルネ・フランが多く栽培されているそうですが、ここはピノ・ノワールも栽培。地元の友人は、「なんて表現するか難しいけど、ワインを飲めばNorthForKのワインだって分かるよ」とのこと。North Forkビギナーの私にはまだ特徴がつかめません。白ワインは全体的に酸味が高く、ライムの風味や石っぽさが感じられるスッキリしたものが多くて、ロングアイランドの名産であるオイスターと合いそうです。

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(剪定直後のシャルドネの畑)

トータル年間生産数5000ケースで輸出はなし。

どこでも何でも簡単に手に入る時代に、そこでしか飲めないってやっぱり魅力。元旦から、初詣ならぬワイナリー詣ができたことが嬉しく、新しい年の素晴らしい始まりとなりました。次はロングアイランドのどこのワイナリーへ行こうか?色々リサーチして、巡りたいなと、今年の楽しみが更に1つ増えました。

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