じっと目を見るのはあなただけ①
日曜日、久しぶりに話しましたね。意図したらなかなか会えない私たちだけど、この日はちょっとばかりの意図をはらんで向かいました。案の定、いつもの場所では会えない私たち、と思った直後、あと数秒ずれていたら会えない場所ですれ違いましたね。連絡先を知らないわけでもないのに、何か障壁のある関係でもないのに、いつも敢えてこんな会い方をする私たち。まあ状況的にその場所ではオープンには出来ないけど、敢えてする必要もなくて。すごくシュールだけど、お互い何のラインを守っているのか未だよく分からない感じ。何時にいるから来る?とも言わないあなた。何時に行くけど会える?とも言わないわたし。あなたはどう考えてるのか、ただ不得手なだけなのか、何か遠慮してるのか分からないけど、わたしはそれが楽しいです。自分の意思で、勝手に相手に合わせるのって楽しい。気まずさも、偶然さも楽しい。
その日それきりかなと思っていたら、その後お互い用事を終えたタイミングで、戻ってきたあなたとまた会って、意図せず二人きりになりましたね。あのタイミングで。今度はあなたが図ったんですか。あの時みたいに、もしかしたらと思って話しかけに来てくれましたか。こういうことがあるから、いろんなことがあっても、出会った意味を多少なりとも考えて、信じてしまうのわかりますか。
こんなに顔を見て話すのはいつぶりだろうね。二ヶ月くらい空いてしまった気がする。日曜だから人は多かったけど、邪魔する人はいなかった。
最初の一言二言、そっけない。わたしはそれに毎回怯むけど、でもあれは緊張なんです、って毎回教えてくれてたから、慣れようと努力はしてる。あなたには「慣れたよ」って言ってるけど、慣れてはない。
でもわたしと話そうとすると緊張するんだって。なんでよ。そしてそれがどうしてそっけない表情で表に出るの?
愛おしいと思えるほどの耐性はなかったけど、今は少し愛おしい。
そっけない表情が愛おしい訳じゃない、
「前にも言ったと思うけど、あれは緊張です」って教えてくれた時の表情が未だに愛おしい。
初期の諍いの全てはそういうとこから始まったんだから、未だ慣れなくても無理はない。この愛おしいの感情は、理解なのか諦めなのか、はたまた希望なのかよくわからない。でも一度愛おしいゾーンに入ったら、わたしの度量の深さが、勝手にわたしを試し始めるような感覚にさえなる。
少しずつ距離をつめてくるあなたに、邪魔する人も、疑る人もいないのを確認して、いつか渡そうと思ってたお菓子をあげた。あなたの好きなキャラクターのね。いつもこれ。疲れた頭と体には甘いものがいいよね。休憩全然取れないってこの前も愚痴言ってたの覚えてる。
「ラムネってブドウ糖だからすぐに力になるんだよ。」
あなたは健康を生業にしてるのに、今日のわたしよりはるかに不健康で、一体誰が誰に講釈垂れてるんだかさっぱり分からないけど。
ちょっとは頭を回してわたしのことも考えてください。
わたしはあなたの顔をじっと見るのが好きみたいです。正確にいうと、目を離すのを忘れてる。なかなか直接話せないから? いや、自分の魅力がそこから全部出るって知ってるからかもしれない。もっとあなたを捉えたいから? 堕としたいから? そのどれかかもしれないけど、どれでもないかもしれない。ただあなたの顔から目を離したくない。もっと見ていたい。わたしは無意識に持ちはじめたプラスの感情を隠せない。
電話よりメッセージより直接話すのが一番得意ってあなたにも話しましたね。そして多分あなたはその反対で。
でも本来、わたしは人の目を見て話すのが何より苦手なのに。仲良くなってあとから指摘されるレベルで。そして仲良くなったからと言って話してる途中に目を合わせるのが得意になるかどうかもまた別なのに。
でも初めにあなたに言われて気づいたこと今も覚えてます。無意識に、「わたし人と目を合わせるのめちゃくちゃ苦手で」って言ったら、「あの時も、そう言いながら、僕の目をじっと見てました」って。
言われるまで気づかなかったけど、言われてみれば確かにそうで。それがめちゃくちゃ緊張したんだとか。でも「じっと見てくれた」っていうワード、そのあともよく言ってた。自分のことを見てくれる、目を合わせてくれる、っていうのが、きっと嬉しいことなんだよね。
いつも大体私が座ってて、大体あなたが右側に立ってて。あなたは視線逸らしながら話すけど、よく考えたら私はその顔も全部見てる。気づいたら面白いね。それでも前よりあなたもよくこっち見てくれるようになりましたね。ちょっとは慣れてくれましたか。
あなたは目を合わせてお互いの顔を見ること、「にらめっこしませんか」ってよく言ってました。日曜にしたのはにらめっこだったのかな。構えて始めるにらめっこは私が負けちゃうことが多いから、あれは違うか。わたしは、水面下で(?)恥ずかしがってるあなたの顔を見るのが好きで得意みたいです。
続く